29 SUVの測定精度に関する検討 兵庫医科大学病院 核医学・PETセンター ○加藤千晴 源貴裕 後藤博 坂本清 尾上公一 木谷仁昭 前田善裕 樽岡陽子 矢野尾早苗 森下悦子 立花敬三 【目的】 FDG-PET/CT検査にてStandardized Uptake Value(SUV)は腫瘍の悪性度を判断する半定量値とし て臨床に用いられている。そこで今回、ドーズキャリブレータの基本性能、自動注入器の投与精 度、Calibration Factor(CF)の再現性を検討して、SUVの測定精度への影響を検証した。 【方法】 (1)ドーズキャリブレータの基本性能について、985MBqの試料で時間減衰法を用いて直線性を調 べた。また、4.1、17.3、36.4、111、185、300、400MBqにて各々5回測定して変動係数により測 定精度を検討した。さらに、37 MBqで1mlの試料に、水を1mlずつ25mlまで加えて測定して幾何 学的影響を検討した。 (2)自動注入器の投与精度について、生理食塩液を用いて分注液量を0.2、0.3、0.5、0.7、1、2、 4mlと変化させ、各液量にて電子天秤により5回測定した値と比較してRIシリンジの分注精度を検 討した。次に、投与設定値を100、200、300、400MBqと変化させて、投与設定値と自動注入器内蔵の 定量センサー、定量センサーとドーズキャリブレータにより測定した実投与量を比較した。 (3)CFの再現性について、プールファントムに 18F-FDGを296MBq封入し、PET装置にて11時間連続で 測定してCFを求め、装置導入時から現在まで2年間で5回行ったデータを比較した。 (4)検討結果より得られた投与量の変動やCFの違いによるSUVの測定精度への影響は、臨床7例を 対象に、各症例で脳、肺、肝臓、大腿、病変部にROIを設定してSUVを求め、SUVの変化率を算出 して検証した。 【結果】 ドーズキャリブレータの基本性能は良好であった。幾何学的影響により、液量が1mlから26ml まで増加すると、放射能量は1.6%の低下がみられた。自動注入器について、RIシリンジの分注 精度は、分注液量と測定値に最大で-3.5%の誤差があり、液量が増すごとに誤差は小さくなっ た。また、投与設定値と定量センサーで最大6%、定量センサーと実投与量で最大2.5%の誤差が みられた。CFは臨床で用いられている範囲では、最大で25%の違いがみられた。投与量の変動に よるSUVの変化率はSUVの低い部位ではバラついたが、SUVの高い部位では平均2.5%であった。CF の違いによるSUVの変化率はSUVの低い部位ではバラついたが、SUVの高い部位では平均25%であっ た。 【考察】 投与量の若干のバラつきは定量センサーにおける幾何学的影響、RIシリンジによる送り出しの 影響と考えた。CFは比較的安定していたが、ファントム内の18F-FDGが不均一な分布の場合には ズレが生じると思われた。SUVの値が高い場合ではSUVはCFや投与量の変化率に比例すると考えた。 【結論】 SUVは投与量の変動やCFの違いにより最大で28%の変化をすることがあった。さらに自動注入 器とCFの精度管理を行うことにより安定した値が得られると思われた。 [実投与量]-[定量センサー] 6 Calibration Factor 4 誤差〔%〕 2 0 -2 -4 -6 0 100 200 300 投与設定値〔MBq〕 400 500 Fig.1 定量センサーと実投与量の比較 4.5 4 3.5 3 2.5 2 1.5 1 0.5 0 2006/09/10 2006/10/11 2007/04/19 2007/11/23 2008/10/10 0 10000000 20000000 30000000 40000000 50000000 Average Single rate Fig. 2 Calibration Factorの再現性 ― 79 ―
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