SUVの測定精度に関する検討

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SUVの測定精度に関する検討
兵庫医科大学病院
核医学・PETセンター
○加藤千晴 源貴裕 後藤博 坂本清 尾上公一 木谷仁昭 前田善裕 樽岡陽子 矢野尾早苗 森下悦子 立花敬三
【目的】
FDG-PET/CT検査にてStandardized Uptake Value(SUV)は腫瘍の悪性度を判断する半定量値とし
て臨床に用いられている。そこで今回、ドーズキャリブレータの基本性能、自動注入器の投与精
度、Calibration Factor(CF)の再現性を検討して、SUVの測定精度への影響を検証した。
【方法】
(1)ドーズキャリブレータの基本性能について、985MBqの試料で時間減衰法を用いて直線性を調
べた。また、4.1、17.3、36.4、111、185、300、400MBqにて各々5回測定して変動係数により測
定精度を検討した。さらに、37 MBqで1mlの試料に、水を1mlずつ25mlまで加えて測定して幾何
学的影響を検討した。
(2)自動注入器の投与精度について、生理食塩液を用いて分注液量を0.2、0.3、0.5、0.7、1、2、
4mlと変化させ、各液量にて電子天秤により5回測定した値と比較してRIシリンジの分注精度を検
討した。次に、投与設定値を100、200、300、400MBqと変化させて、投与設定値と自動注入器内蔵の
定量センサー、定量センサーとドーズキャリブレータにより測定した実投与量を比較した。
(3)CFの再現性について、プールファントムに 18F-FDGを296MBq封入し、PET装置にて11時間連続で
測定してCFを求め、装置導入時から現在まで2年間で5回行ったデータを比較した。
(4)検討結果より得られた投与量の変動やCFの違いによるSUVの測定精度への影響は、臨床7例を
対象に、各症例で脳、肺、肝臓、大腿、病変部にROIを設定してSUVを求め、SUVの変化率を算出
して検証した。
【結果】
ドーズキャリブレータの基本性能は良好であった。幾何学的影響により、液量が1mlから26ml
まで増加すると、放射能量は1.6%の低下がみられた。自動注入器について、RIシリンジの分注
精度は、分注液量と測定値に最大で-3.5%の誤差があり、液量が増すごとに誤差は小さくなっ
た。また、投与設定値と定量センサーで最大6%、定量センサーと実投与量で最大2.5%の誤差が
みられた。CFは臨床で用いられている範囲では、最大で25%の違いがみられた。投与量の変動に
よるSUVの変化率はSUVの低い部位ではバラついたが、SUVの高い部位では平均2.5%であった。CF
の違いによるSUVの変化率はSUVの低い部位ではバラついたが、SUVの高い部位では平均25%であっ
た。
【考察】
投与量の若干のバラつきは定量センサーにおける幾何学的影響、RIシリンジによる送り出しの
影響と考えた。CFは比較的安定していたが、ファントム内の18F-FDGが不均一な分布の場合には
ズレが生じると思われた。SUVの値が高い場合ではSUVはCFや投与量の変化率に比例すると考えた。
【結論】
SUVは投与量の変動やCFの違いにより最大で28%の変化をすることがあった。さらに自動注入
器とCFの精度管理を行うことにより安定した値が得られると思われた。
[実投与量]-[定量センサー]
6
Calibration Factor
4
誤差〔%〕
2
0
-2
-4
-6
0
100
200
300
投与設定値〔MBq〕
400
500
Fig.1 定量センサーと実投与量の比較
4.5
4
3.5
3
2.5
2
1.5
1
0.5
0
2006/09/10
2006/10/11
2007/04/19
2007/11/23
2008/10/10
0
10000000 20000000 30000000 40000000 50000000
Average Single rate
Fig. 2 Calibration Factorの再現性
― 79 ―