修 士 論 文 の 和 文 要 旨 修 士 論 文 の 和 文 要 旨 リファレンスガバ

修 士 論 文 の 和 文 要 旨
大学院 電気通信学研究科
氏
論
要
名
文
題
博士前期課程
伊藤
幸祐
機械制御工学専攻
学籍番号
0233010
目 リファレンスガバナの最適設計とその応用に関する研究
旨
実際のシステムは拘束システムであり、このようなシステムを制御するアプロ
ーチとして、拘束条件が全く存在しないものとして通常のフィードバック補償器
を設計し、つぎに拘束条件により引き起こされる影響の抑制を目的とした、上位
の補償機構を構成するものが挙げられる。その具体的な手法の一つとして、リフ
ァレンスガバナと呼ばれる付加的な入力整形機構がある。このリファレンスガバ
ナの役割は、制御系に存在する拘束条件が常に達成されるよう適切に参照入力を
整形し、制御系への実際の入力とすることである。また実装の面からはすでに構
築された制御系に対して付加的に用いられるため、参照入力を変更するなどの比
較的容易な作業で済み、制御系に新たに手を加え必要はない。これらのことから
参照入力を整形する制御法や実装の簡便さに着目すると、多くの分野への応用も
考えられる。
本論文では、拘束システムがその拘束条件を破ることなく安全に動作するため
の条件が、状態拘束集合と正の不変集合(CPI)集合と呼ばれる集合で示されるこ
とを明らかにする。この2つの概念により、最も大きな正の不変集合(最大CPI集合)
の構成することが可能である。さらに、最大CPI集合の数値計算法を示すとともに、
数値例を用いて構成する。
また、拘束システムに許容される参照入力からなる集合の評価法、およびこの
ときに得られる参照入力集合と呼ばれる集合の性質に基づくリファレンスガバナ
の最適設計法を示す。ここでは、制御系に許容される参照入力からなる集合、参
照入力集合、と同時に制御系の動作状態を規定する最大CPI集合が構成される。さ
らに、制御系の平衡点を移動しながら許容される参照入力の評価を行い、参照入
力集合の連結、という手法を示す。またこの連結された参照入力集合の性質に基
づくリファレンスガバナの実現法を示す。
構成されたリファレンスガバナを用いて拘束システムに対して最適設計をし
て、その有効性について検討する。