PEG news vol.2 GB胃瘻バルーンカテーテルシステムでの PEGスコープによる胃内視の妙 ∼ベッドサイド胃ファイバースコピーテクニック∼ 医師 髙塚 健太郎 先生 Exploration menu ①準備:前処置、体位、スコープの操作、送気と脱気 ②挿入:送気のタイミング、オリエンテーションと観察手順、視野の確保 ③観察:胃瘻部・胃上部・胃下部、噴門機能観察、球部観察 PEGスコープからベッドサイドスコープへ 第二世代のPEGスコープ (FP-7RBS2, PENTAX / HOYA さらに従来の内視鏡で誰も観たことがないⒸ噴門部の機能 製,図1) は胃瘻という新しい挿入孔 (orifice) から観察す 的観察が可能となる。本スコープは嚥下内視鏡検査 (VE) る内視鏡 (ファイバースコープ) である。この新しい内視鏡 としても用いることができ、まさにベッドサイドスコープと に期待する役割はⒶ交換された胃瘻カテーテルの直接確認 呼ぶにふさわしい。 に加えて、 Ⓑ挿入苦痛のない胃内視鏡観察が期待できる。 送気システムを備えた GB 胃瘻(富士システムズ)、チューブ型でもボタン型でも 本スコープは送脱気ができないため、スコープ単体では胃 弁が大口径に設計されているため本スコープで挿入観察が 内を観察することは困難が伴う。しかし GB胃瘻バルーン 可能となっている (図1,2) 。この GB 胃瘻システムを用い カテーテル(GB胃瘻)には専用の送気アダプターとエアー ることで交換後の胃内留置を確認するだけでなく、続けて 注入用ポンプが開発上市されている。さらに特筆すべきこ 広く胃内を観察し患者の健康状態をチェックすることができ とにチューブ型だけでなく、ボタン型においてもGB胃瘻は る。 図1 ・GB 胃瘻ボタンと内視鏡の組み合せ例 図2 PEG news vol.2 経胃瘻胃ファイバースコピー、観察の要は ● 胃液や栄養剤の残存が多いと観察が難しくなるので の観察し易いところに進める。 個々の患者に応じて禁飲水前処置をする。施行時の体位は ❹ 胃上部の観察は胃底部を確認したら 仰臥位でも座位(車いす)でも構わない。 (図6) 、粘膜所見を観察しながら噴門の スコープのアングル操作は上下のみ、軽 確認を行う。噴門はやや見つけ難いが小 く添えた右手指での軸保持で左右の動き 弯壁側を慌てずに探す。噴門を確認した 図6 を加える。送気は一回のエアー注入用ポ らしばらく観察し噴門機能を観る (図7(a) ンプ (ゴム球) スクイーズで 30mL 前後 閉じた噴門と (b) 噴門が開いて消化液が 注入される。アダプターを軽くつまむと 図3 胃内に送り込まれたところ) 。胃体部から 弁の隙間から脱気される (図3) 。 胃底部にかけては送気をすればするほど ❶ スコープを挿入していくと、白い X 線不透過ラインが見 広 がり、本 スコ ー プ の 観 察 深 度 (3 ∼ えてくる。X 線不透過ラインが消えたらバルーン部分なの 50mm) を超え、光量不足もあり視野を で一旦挿入をストップして前方に胃粘膜を 損なう。その時は随時脱気し、襞を寄せ 確認する。2∼ 3 回スクイーズして送気し るとオリエンテーションがつき易くなる。 スコープを通す隙間を確保すると共に、 噴門の観察を終えたら小大弯、前後壁を 図7(b) 対側に潰瘍など出来ていないか確認する らせん状に観察しながらゆっくりとスコー 図4 (図4) 。 図7(a) プを引いてくる。 ❷ 隙間からスコープを通し、ゆっくりとフ ❺ スコープをカテーテルまで戻し、先ほ ルアングルをかけるとバンパーが見えてく どと逆の隙間にスコープを進めながら胃 る (図5) 。視野を確保するために適宜送 粘膜を観察する。あまり大弯襞が目立た 気するが、以後の操作で守るべきことが 図5 二つ。㋐対物レンズが粘膜に接して視野が得られない場合 ないのが胃下部方向である。前庭部は ファイバーを引き戻すこと、㋑送気は必ず有視野下に行う に進めると幽門輪が確認できる。幽門輪 こと。すなわち見えないからといって闇雲にゴム球をスク を超えて挿入することも可能である。 イーズし続けるような行為は厳禁である。 十二指腸液を介して十二指腸のヒダも確認できるが (図9) 、 バンパーの確認だけでなく、その全周、根元部などの粘膜 十二指腸への送気は幽門輪が機能する限り難しい。スコー 面も十分観察する。 プを引いてくる際は胃上部と同様にらせん状に胃全周を観 ❸ 次にアングルを解除し、胃内の観察を行う。胃粘膜を確 察するように意識する。スコープを抜去したら脱気のため 認しながらスコープの位置を把握し、胃上部ないし胃下部 すぐには送気アダプターを外さない。 図8 一視野に収まり確認し易い (図8) 。慎重 図9 ベッドサイドでも高品位医療を ユビキタスなメディカルシステムは患者視点だけでなく、 機動性を確保できるよう携帯洗浄セット (現在ファイコンに 医療従事者の視点も重要である。使い難いツールは結局 て開発中、消毒薬の使用を最小とするエコな製品) などの 使用機会が減り本末転倒となる。ベッドサイドスコープでは オプションや得られた画像データに病態情報の包括的な管理 など、 有機的で使う人を選ばないシステムを創る必要がある。 発売元 http://www.fujisys.co.jp/ ・携帯洗浄セット(試作) 本 社 〒113-0033 東京都文京区本郷3-23-14 TEL(03)5689-1901 FAX(03)5689-1907 平成22年9月作成.CR
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