29CK-pm15Q

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脳虚血再灌流障害治療に向けたリポソーム DDS 技術の開発
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◯石井 貴之 1 ,
尾山 大 1 ,
浅井 知浩 1 ,
清水 広介 1 ,
奥 直人(
静岡県大院薬・
Global COE)
【目的】脳虚血再灌流障害とは、脳虚血からの血流再開後に活性酸素や炎症サイ
トカインなどにより脳細胞に深刻な傷害が生ずる現象である。脳虚血患者の予後
に大きく関与するが、治療法が限られ新たな治療法の開発が望まれる。脳虚血時
や再灌流後には BBB の破綻が生じ、
血管透過性が亢進することが報告されている。
そこで我々は脳虚血再灌流後に DDS キャリアを用いた脳組織への薬剤送達が期待
できると考え、ナノ粒子の再灌流障害治療への適用を試みた。
【方法】本研究では脳梗塞/再灌流モデルとして栓子法による一過性中大脳動脈閉
塞モデルラットを用いた。再灌流後、2,3,5-triphenyltetrazolium chloride (TTC)染色に
よって脳細胞死を評価した。
また、
蛍光色素 DiI で標識した polyethylene glycol (PEG)
修飾リポソームを再灌流後に投与し、虚血部位における血管外集積を検討した。
DiI の蛍光は in vivo imaging system (IVIS)を用いて ex vivo で観察した。
【結果・考察】TTC 染色により判別された細胞死は再灌流 2 時間後までは観察さ
れず、3 時間後において観察され始め、時間経過に伴って細胞死領域は拡大した。
再灌流後に PEG 修飾リポソームを投与したところ、虚血部位への集積が再灌流後
早期から観察された。再灌流 3 時間後の投与までは時間経過に伴ってリポソーム
の集積量が増大したが、それ以降は減少した。さらに、集積した PEG 修飾リポソ
ームの虚血部位での長期的な滞留が確認された。この集積は虚血/再灌流後の血管
透過性亢進に起因し、PEG 修飾リポソームは明らかな脳細胞死が観察される前段
階で脳組織に集積した。さらにその血管外移行には粒子サイズ依存性が存在する
ことが明らかとなった。以上より、リポソームを含むナノメディシンは再灌流障
害治療への適応の可能性が示唆された。