残留性化学物質によるヒト曝露と その影響に関する研究

平成 23 年度 新規研究計画書
残留性化学物質によるヒト曝露と
その影響に関する研究
新規研究
衛生化学部食品化学課 * 生活環境課
小西良昌、高木総吉 *、吉田 仁 *、安達史恵
柿本健作、永吉晴奈、山口貴弘
研究目的
ヒト試料の使用・取扱に関しては、既に当所倫理審査委
員会の承認を得ている。
本研究は環境中や野生生物で残留性が確認されている有
毒性試験に必要な機器は既に整備されているものを使用
機フッ素化合物(PFOS. PFOA 等)、紫外線吸収剤(Tinuvin,
する。
EHMC. EHS 等)および合成香料(HHCB, AHTN 等)の
研究計画と研究方法
残留性化学物質によるヒト曝露実態を明らかにし、その影
響を評価することが目的である。具体的な実験方法として
1)紫外線吸収剤や合成香料で現在標準品が入手可能なも
は、ボランティア(当所職員を予定)から血液を採取して
のについて機器分析条件を開発する。分析機器は GC-
ヒト血液中濃度を測定し、ヒト曝露実態を把握する。また、
MS、高分解能 GC-MS および LC-MS/MS を用いる。
食品と水道水中濃度を測定し、飲食による摂取量の影響を
2)食品、水道水、ヒト血液試料を対象とした紫外線吸収
明らかにする。さらに、細胞を用いた毒性試験を行い、摂
取量およびヒトでの残留量における毒性を調べる。これら
の結果を基に上記化学物質のヒトへの影響を総合的に評価
し、公衆衛生の向上に役立てる。
研究準備状況
上記残留性化学物質の測定は、当研究所に整備されてい
る GC-MS、高分解能 GC-MS、LC-MS/MS を使用する。
剤や合成香料分析の前処理方法を検討する。
3)食品中の有機フッ素化合物の調査および摂取量の推定
を行う。
4)細胞毒性試験や変異原性試験などの in vitro 毒性試験
について陽性対照を用いた予備実験を行い、対象化学物
質の毒性評価を行う準備を整える。
この研究に関連する国内外での研究状況
対 象 物 質 の 一 つ で あ る 有 機 フ ッ 素 化 合 物(PFOS.
今回対象とする化学物質について、水道水、食品、ヒト
PFOA)の水道水、ヒト血液分析方法は、既に報告した。
試料等個々での報告は若干見あたるが、非常に少なく、毒
食品に関しては現在検討中である。また、水道水、ヒト血
性評価についても十分な知見があるとは言い難い。曝露評
液中濃度については少しではあるが報告した。
価と毒性評価を包括的に行う本研究は、他の化学物質につ
紫外線吸収剤や合成香料の分析方法は、現在検討中であ
いても例が少ない研究であり、府民に重要な知見が提供で
る。
きると期待される。
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