講義ノートNo.05

ノート 5:線形写像 (2)
5-1. 次元定理とその応用(注:教科書では除外されたが役に立つので追加)
次の定理は次元定理とよばれ,多くの応用がある.
(証明は簡単だが時間の都合上略)
定理 5-1 (次元定理)
線形空間 V, W と,線形写像 f : V → W に対して,
dim V =dim f (V )+dim (Ker f ) が成り立つ.
次元定理の応用例として,与えられたいくつかのベクトルから互いに線形独立なベクトル
をできるだけ取り出す方法を紹介する.
(言い換えると,生成元から基底を選ぶ方法),
(定
理 5-2,5-3 はその準備,定理 5-4 から方法が分かる)
定理 5-1 より次の定理が導かれる.
定理 5-2
f を m × n 行列 A によって表される Rn から Rm への線形写像とする.
このとき,dim f (Rn ) =rank A となる.
定理 5-2 の証明:
定理 5-2 より次の定理が得られる.
定理 5-3
m × n 行列 A = (a1 a2 . . . an ) に対し,
dim < a1 , a2 , . . . , an >=rank A となる.
定理 5-3 の証明:
rank A=rank t A であることと,
dim < a1 , a2 , . . . , an >= A の線形独立な列ベクトルの最大数(補足 3-3 の証明を参照)
より,次の定理が得られる.
(定理 2-1 の一般化)
定理 5-4
行列 A に対し,
rank A = A の線形独立な列ベクトルの最大数 = A の線形独立な行ベクトルの最大数.



例 5-1:W =< 

解答:
1
0
1
1
 
 
 
,
 
1
3
−2
1
 
 
 
,
 
1
−1
2
1
 
 
 
,
 
1
2
−1
1



 > の次元と基底を調べよ.

提出課題 5:
問 5-1


W1 =< 

0
1
1
2
 
 
 
,
 
1
0
1
2
 
 
 
,
 
1
1
0
2
 
 
 
,
 
1
1
1
3



 >,




W2 =< 

−2
1
−1
2
 
 
 
,
 
2
3
−2
1
 
 
 
,
 
(i) W1 と W2 の次元と基底を求めよ.


x1
 x 
 2 
(ii) ベクトル 
 が W1 , W2 に属すための条件をそれぞれ求めよ.
 x3 
x4
10
7
−4
−1
 
 
 
,
 
−2
9
−7
8



>
