練習問題 No.2

2015 年度線型代数学練習問題プリント No.2
練習問題 (計量線型空間)
◎グラム・シュミットの直交化は,順序によって結果が異なることに注意.
3
36. R を標準内積により,実計量空間と見なす.次のベクトルの組にグラム・シュミットの直交
化法を適用することで,R3 の正規直交系を構成せよ.
     
     
−2
1
3
1
1
1
     
     
(2) −1 ,  5  ,  6 
(1) 2 , 0 , 3
2
1
2
1
−4
−5
37. 実数を係数とする,2次以下の 1 変数多項式全体 P2 (R) := {a0 + a1 x + a2 x2 | ai ∈ R} の基
∫ 1
底として 1, x, x2 を採用することができる.P2 (R) の内積 ⟨f, g⟩ :=
f (x) g(x) dx に関し
−1
て,1, x, x2 にグラム・シュミットの直交化法を適用することにより,P2 (R) の正規直交基底
を構成せよ.
38. 前問と同じ状況の下で,x + 1 と直交するような P2 (R) の元を全て求めよ.
39. x を不定元とし,実数を係数とする
1 変数多項式全体の集合を P(R) で表す.ここで f, g ∈
∫ ∞
2
P(R) に対し,⟨f, g⟩ :=
f (x) g(x) e−x dx とすると,これは P(R) 上の内積になる.
−∞
n
2 d
2
n = 0, 1, 2, . . . に対して Hn (x) := (−1)n ex
e−x (エルミート多項式という) とするとき,
n
dx
次の問に答えよ.
(1) Hn (x) は,n 次多項式であり,xn の係数は 2n であることを,数学的帰納法で示せ.
(2) m > n なら ⟨Hm (x), Hn (x)⟩ = 0 であることを示せ.
√
(3) ⟨Hn (x), Hn (x)⟩ = 2n n! π であることを確かめよ.
40. 標準エルミート内積により,C 2 と C 3 を複素計量空間と見なす.次のベクトルの組にグラム・
シュミットの直交化法を適用することで,正規直交系を構成せよ.

    
( ) (
)
1+i
2
i
1
1+i

    
(1)
,
(2)  1  , 1 , −i
i
2i
−i
i
−i
41. (お約束) 以下の略解の誤りを全て正せ.
練習問題略解
 
 
 
 
 
 
1
2
2
1
2
0
1  1  1 
1   1   1  
2 ,
−2 ,
1 . (2) √
−1 , √
1 , √
1
36. (1)
3
3
3
3
6 −1
2 1
2
1
−2
1
√
√
1
6
10
37. √ ,
x,
(3x2 − 1)
4
2 2
38. k(3x2 − 1) + ℓ(3x − 1) (k, ℓ ∈ R) と表される多項式.
2
2
39. (1) Hn (x) の定義より,Hn+1 (x) = −ex {Hn (x) e−x }′ であることを使え.(2) 部分積分を繰り返せば,
m
2 d
e−x
Hn (x) の積分になる.(1) の結果より,この被積分関数は 0. (3) (2) と同様に計算し,(1) の
dxm
2
結果を使うと,2n n!e−x の積分になる.






(
)
( )
1+i
2
2i
1 1
1
1 −1 + i
1
1
1 ,  1 + i , −1 − 3i.
40. (1) √
. (2)
,
2 1+i
2
4
4
2 i
−i
1 + 3i
1+i
講義プリントの問の略解
問 2.4.1 W ⊥ の定義に従って確かめればよい.(S0) が満たされることは命題 2.1.2 または 2.3.4 の (5) からわか
る.また (S1) については,x1 , x2 ∈ W ⊥ なら全ての w ∈ W に対して ⟨x1 , w⟩ = ⟨x2 , w⟩ = 0 である.
これと (IP1) を用いて,全ての w ∈ W に対して ⟨x1 + x2 , w⟩ = 0 であることを導けばよい.(S2) に
ついても同様.
問 2.4.2 (1) x′ ∈ W は w1 , . . . , wr が W の基底であることから明らかでしょう.x′′ ∈ W ⊥ は ⟨x′′ , wi ⟩ = 0
(i = 1, . . . , r) と w1 , . . . , wr が W の基底であることからわかる.
(2) x ∈ W かつ x ∈ W ⊥ であることを使って ⟨x, x⟩ の値を求め,(IP3) を使うとよい.
(1) より V = W + W ⊥ であり,(2) と命題 1.4.3(プリント 4 ページ) より V = W ⊕ W ⊥ である.
問 2.4.3 (1) まず直交補空間の定義から W ⊂ (W ⊥ )⊥ であることを導け.次に次元公式を使うと,dim(W ⊥ )⊥ =
dim V − dim W ⊥ = dim V − (dim V − dim W ) = dim W となるので,定理 1.7.6(プリント 9 ページ)
より W = (W ⊥ )⊥ である.
(2) 直交補空間の定義と和空間の定義を使えばできる.⊂ の包含関係は,W1 ⊂ W1 +W2 , W2 ⊂ W1 +W2
であることを使えば確かめられる.⊃ の包含関係はほぼ明らか.
(3) (2) の W1 , W2 を W1⊥ , W2⊥ で置き換えた式を考え,(1) の公式を使うとよい.