公開特許公報 特開2015

〔実 4 頁〕
公開特許公報(A)
(19)日本国特許庁(JP)
(12)
(11)特許出願公開番号
特開2015-124155
(P2015−124155A)
(43)公開日 平成27年7月6日(2015.7.6)
(51)Int.Cl.
FI
テーマコード(参考)
A01N 25/08
(2006.01)
A01N
25/08
2B121
A01N 43/56
(2006.01)
A01N
43/56
D
4H011
A01P
7/04
(2006.01)
A01P
7/04
A01M
1/20
(2006.01)
A01M
1/20
A
審査請求
(21)出願番号
特願2013-267932(P2013-267932)
(22)出願日
平成25年12月25日(2013.12.25)
未請求 請求項の数3 OL (全6頁)
(71)出願人 390000527
住化エンバイロメンタルサイエンス株式会
社
(出願人による申告)平成21年度、独立行政法人農業
・食品産業技術総合研究機構、イノベーション創出基礎
大阪府大阪市中央区道修町二丁目2番8号
(71)出願人 504147243
的研究推進事業における「シロアリの卵運搬本能を利用
国立大学法人
した擬似卵型駆除剤の実用化」に係る委託研究、産業技
岡山県岡山市北区津島中一丁目1番1号
術力強化法第19条の適用を受ける特許出願
(72)発明者 松浦
岡山大学
健二
岡山県岡山市北区津島中一丁目1番1号
国立大学法人岡山大学内
(72)発明者 日室
千尋
岡山県岡山市北区津島中一丁目1番1号
国立大学法人岡山大学内
最終頁に続く
(54)【発明の名称】シロアリ駆除剤
(57)【 要 約 】
【課題】
シロアリ駆除組成物、および当該シロアリ駆除組成物を用いてシロアリを防除する方法を
提供する。
【解決手段】
一般式1
(式中RはClまたはCNを示す。)で表された殺虫活性成分を疑似卵用の基材に塗布ま
たは含有した疑似卵であることを特徴とするシロアリ駆除組成物を用いてシロアリを防除
する方法を提供する。
【選択図】
なし
( 2 )
JP
1
2015-124155
A
2015.7.6
2
【特許請求の範囲】
【特許文献】
【請求項1】
【0004】
一般式1
【特許文献1】特開2000−342149号公報
【特許文献2】特開2008−194007号公報
【非特許文献】
【0005】
【非特許文献1】「創立五十年誌」、第5章防除技術の
変遷、社団法人日本しろあり対策協会、平成21年3月
25日発行、p31−35
10
【発明の概要】
(式中RはClまたはCNを示す。)で表された殺虫活
【発明が解決しようとする課題】
性成分を疑似卵用の基材に塗布または含有した疑似卵で
【0006】
あることを特徴とするシロアリ駆除組成物。
本シロアリ駆除法に用いられる擬似卵の基材に塗布また
【請求項2】
は含有するシロアリ駆除組成物、その薬量範囲および当
疑似卵用の基材1粒当たりに、0.0005∼1μgの
該シロアリ駆除組成物を用いてシロアリを防除する方法
請求項1に記載の殺虫活性成分を塗布または含有するこ
を提供することが本発明の課題である。
とを特徴とする請求項1に記載のシロアリ駆除組成物。
【課題を解決するための手段】
【請求項3】
【0007】
請求項1または2に記載のシロアリ駆除組成物を用いて
したがって、本発明は、一般式1
、シロアリを防除するシロアリ防除方法。
20
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、シロアリ駆除・防除のためのシロアリ駆除組
成物およびシロアリ防除方法に関する。
【背景技術】
【0002】
(式中RはClまたはCNを示す。)で表された殺虫活
現在、主に実用化されているシロアリ駆除法としては、
性成分を疑似卵用の基材に塗布または含有した疑似卵で
カーバメート系化合物、ピレスロイド系化合物等の殺虫
あることを特徴とするシロアリ駆除組成物、
活性成分を含有する製剤をシロアリで被害を受けた箇所 30
(2)疑似卵用の基材1粒当たりに、0.0005∼1
やシロアリが家屋に侵入する箇所等に散布する方法およ
μgの一般式1
びベンゾイルウレア系化合物等の昆虫成長制御剤を餌に
混入してシロアリに摂食させてシロアリ駆除を行うベイ
ト工法が挙げられる。
後者のベイト工法では、限定的に薬剤を使用するので環
境を汚染しないという長所がある反面、シロアリを駆除
するのに2,3か月もかかるという欠点があった。
【0003】
近年、殺虫活性成分をシロアリ巣の中枢に効率よく運搬
(式中RはClまたはCNを示す。)で表された殺虫活
させる方法として、擬似卵運搬によるシロアリ駆除法( 40
性成分を塗布または含有することを特徴とする請求項1
以下、本シロアリ駆除法という)が開示されており、本
に記載のシロアリ駆除組成物、
シロアリ駆除法に適用するためのシロアリ駆除組成物が
(3)上記(1)または(2)に記載のシロアリ駆除組
開示されている。これによれば、擬似卵の運搬を阻害し
成物を用いて、シロアリを防除するシロアリ防除方法、
ない範囲でピレスロイド化合物、有機リン化合物、カー
を提供するものである。
バメート化合物等の殺虫活性成分を使用できると記載さ
【発明の効果】
れている。しかしながら、実際に適用できる殺虫活性成
【0008】
分については、具体的にどのような殺虫活性成分が適す
本発明の殺虫活性成分を、擬似卵の基材に塗布または含
るのか、またその薬量範囲についても明らかにされてい
有するシロアリ駆除組成物を用いることで確実にシロア
なかった。
リを防除できる。
【先行技術文献】
50
【発明を実施するための形態】
( 3 )
JP
3
2015-124155
A
2015.7.6
4
【0009】
本シロアリ駆除法に適用できるシロアリ駆除剤を用いて
本シロアリ駆除法に使用する殺虫活性成分は、そのまま
シロアリを防除するシロアリ防除方法としては、シロア
擬似卵の基材に塗布または含有させることが困難である
リの生息場所、シロアリが食害している木材、シロアリ
ため、シロアリに対し擬似卵の運搬を阻害させない溶剤
の通り道である蟻道の中等に投与することでシロアリを
による希釈剤か、特殊な製剤にすることが望ましい。
確実に防除することができる。
そのような溶剤として、例えば、水、N,N−ジメチル
【0015】
ホルムアミド、エタノール、メタノール、グリセリン等
以下に実地例を示して本発明をさらに具体的かつ詳細に
のグリコール系溶剤、シリコーンオイル等のシリコン系
説明するが、実施例はあくまでも例示説明であり、本発
溶剤等が挙げられるが、シロアリに対して擬似卵の運搬
を阻害させない溶剤であればよい。
明を限定するものではない。
10
【実施例】
【0010】
【0016】
擬似卵の運搬を阻害させない特殊な製剤としては、乳剤
(実施例1)
、水性乳剤、活性成分の微粉末や微粒子分を分散剤や増
本願のシロアリ駆除組成物を以下のようにして調製した
粘剤等で水中に分散させた水性懸濁剤、微粒子や微粉末
。
を溶剤で溶解させて、ウレタン等の高分子樹脂で有効成
アルトリセット(登録商標)(有効成分化合物Aを5%
分を包み込み、その粒子を分散剤、増粘剤等を配合させ
含有、デュポン株式会社製)を水で希釈して、有効成分
て水中に分散させるマイクロカプセル製剤等が挙げられ
含量が5.0、0.5、0.05、0.005または0
る。
.0025重量%となるように調整した水希釈液1gを
【0011】
底部直径2cm高さ2.5cmのビーカー内にある5万
本発明の駆除の対象となるシロアリの種類は、世界中で 20
個の直径約0.4∼約0.6mmのガラスビーズに滴下
木材類、紙類、家屋・ビル類、堤防、森林、農作物、配
し、充分に攪拌させた。そこに、卵認識フェロモンとし
管・ケーブル類等を加害するシロアリ目に属するシロア
て、ヤマトシロアリの卵5個とグリセン10%含有水溶
リ類すべてに適用できる。
液1gを加えて、さらに充分に攪拌させることにより、
【0012】
擬似卵1粒当たり化合物Aを1.0、0.1、0.01
本発明に適用できる具体的な殺虫活性成分としては、例
、0.001または0.0005μg含有する本シロア
えば以下の一般式1
リ駆除法に用いられるシロアリ駆除組成物を得た。
【0017】
(比較例1)
サイゴー乳剤「ES」(有効成分ペルメトリン10.0
30
%含有、住化エンビロサイエンス株式会社製)を水で希
釈して、有効成分含量が0.1、0.05または0.0
1重量%となるように調整した希釈液1gを、実施例1
と同じようにして擬似卵1粒当たり有効成分0.02、
(式中RはClまたはCNを示す。)で表された殺虫活
0.01または0.002μgを含有する比較例のシロ
性成分において、RがClである化合物A、RがCNで
アリ駆除組成物を得た。
ある化合物Bを挙げることができる。
【0018】
【0013】
(比較例2)
本シロアリ駆除法に適する殺虫活性成分を擬似卵用の基
スミチオン(登録商標)10FL「ES」(有効成分フ
材に塗布または含有する薬量の範囲としては、疑似卵用
ェニトロチオン10.0%含有、住化エンビロサイエン
の基材1粒当たり、化合物Aまたは化合物Bを0.00 40
ス株式会社製)を水で希釈して、有効成分含量が0.5
05∼1μgであることが好ましい。疑似卵用の基材と
、0.25または0.05重量%となるように調整した
しては、直径約0.25∼0.6mmの球形粒子を用い
希釈液1gを、実施例1と同じようにして擬似卵1粒当
ることができ、直径0.4∼0.6mmが好ましい。球
たり有効成分0.1、0.05または0.01μgを含
形粒子は真球状である必要はなく、楕円体であっても良
有する比較例のシロアリ駆除組成物を得た。
い。材質としては特に限定されないが、ガラス、プラス
【0019】
チック、セラミック等を使用することができ、これらの
(試験例1)
中でガラス製が好ましく、ガラスビーズが好適に使用で
スプルース等の木粉を餌とし、角型ケース(221×1
きる。疑似卵とは、殺虫活性成分とシロアリの卵エキス
41×37mm)内に、ヤマトシロアリ約400個体を
を塗布または含有させた粒子である。
放虫して1ヵ月以上室温に放置して人工巣を構築させた
【0014】
50
。次に、実施例1および比較例1のシロアリ駆除剤約5
( 4 )
JP
5
2015-124155
A
2015.7.6
6
000個を上述の人工巣内の蟻道付近に配置させた。こ
【産業上の利用可能性】
れらのシロアリ駆除剤の薬量設定については次の通りと
【0021】
した。判定方法については、放虫2週間後における人工
本発明によるシロアリ駆除組成物を用いることにより、
巣内のヤマトシロアリの死虫率が60%以上の場合、そ
シロアリによる被害を効率的に防止することができる。
の巣が正常に機能しないことから、巣駆除が成功したも
のと判定した。
【0020】
【表1】
────────────────────────────────────────────────────
フロントページの続き
(72)発明者
横井
智之
岡山県岡山市北区津島中一丁目1番1号
(72)発明者
安芸
誠悦
兵庫県西宮市津門飯田町2番123号
(72)発明者
野口
国立大学法人岡山大学内
住化エンビロサイエンス株式会社内
裕志
兵庫県西宮市津門飯田町2番123号
Fターム(参考) 2B121 AA16
CC11
CC27
4H011 AC03
BB09
DA02
DD04
住化エンビロサイエンス株式会社内