「腎癌骨転移症例に対する経皮的ラジオ波焼灼術と骨

「腎癌骨転移症例に対する経皮的ラジオ波焼灼術と骨セメントの併用治療の効果に関す
る検討」のお知らせとお願い
転移性腎癌の予後は悪く、5年生存率はわずか5%と報告されています。さらに腎癌の骨転
移を伴う場合の予後は不良で、長期生存が難しいのが現状です。腎癌骨転移の治療法は大き
く分けて局所治療と薬物治療があります。局所治療には、手術療法、放射線治療、経皮的局
所治療(ラジオ波焼灼術や骨セメントなど)があり、薬物療法にはサイトカイン療法、分子
標的治療などがあります。骨転移が孤立性の場合には、手術療法が予後を改善すると報告さ
れておりますが、手術時に孤立性でも、術後に他の部位に転移が出現する頻度が高く、局所
切除により根治できる腎癌骨転移症例は稀です。
骨転移が生存期間を短縮する1つの大きな
要因として、骨転移に伴う疼痛、神経障害、骨折などにより日常の生活動作が制限され、身
体機能が低下することがあげられます。このため骨転移に対する治療は、症状の緩和や、骨
折などの骨関連事象を予防することで、身体機能を維持する治療も重要と考えます。
疼痛を伴う転移性骨腫瘍に対して、
経皮的ラジオ波焼灼術が疼痛を軽減する効果に優れる
ことが報告されています。ラジオ波焼灼術では迅速な疼痛の軽減が得られ、その確率も非常
に高いと報告されています。
しかしラジオ波焼灼術で骨転移部の安定性を得ることは難しい
とされています。骨転移に対する骨セメント治療の有用性も報告されています。骨セメント
では骨転移部の安定性を得ることができ、疼痛の軽減と骨折予防の効果が期待できます。さ
らに骨セメント自体に抗腫瘍効果があるとされています。
ラジオ波焼灼術と骨セメントを併
用することで、
速やかな疼痛の軽減と骨の安定性を同時に得ることができる可能性がありま
す。我々は、防衛医大で過去に腎癌骨転移に対して経皮的ラジオ波焼灼術と骨セメントの併
用療法を行った患者さんの臨床成績について検討しております。
本研究では防衛医科大学校病院において 2013 年 12 月以前に腎癌の骨転移に対する治療を
受けた患者さんを対象としております。
本研究は、
過去の治療効果について検討するもので、
今後、研究のために患者さんから検体を採取したり投薬をしたりすることは無く、これまで
の外来及び入院治療での既存資料のみを用いる後方視的研究です。
患者さんの臨床データは
ID など個人情報とは無関係な番号付与による匿名化された状態で管理され、通常の診療と
同様にプライバシーが保護されます。また、2013 年 12 月以前に腎癌の骨転移に対して経皮
的ラジオ波焼灼と骨セメントの併用治療を受けた方で、
ご自分の治療経過等の臨床データを
研究に使わないで欲しい、というご希望があれば、各施設の治療担当医または研究リストの
連絡先までご連絡いただけますようお願い致します。なお、研究への使用の拒否の意思を表
明されても、防衛医科大学校病院泌尿器科における診療には全く何の影響も無く、いかなる
意味においても不利益をこうむることはありません。
連絡先:防衛医科大学校病院泌尿器科
伊藤敬一
Tel: 04-2995-1511(内線 2392)