525第5章

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第2編 日本の食事と欧米の食事
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第5章
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日本食の過去と現状
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0 261
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表5-1.米国で1977年12月に提示された食事目標
1.肥満を避けるため、消費熱量と同じだけの熱量しか摂取しないこと。もし肥
満になれば、熱量摂取を減らし、消費を増加させること。
2.複合炭水化物及び「天然に存在する」糖分の摂取量を総摂取量の約28%か
ら48%に増加させること。
3.精糖及び加工糖の摂取を約45%減らし、総摂取量の約10%とすること。
4.全脂肪摂取熱量を総摂取量の約40%から約30%に減らすこと。
5.飽和脂肪の摂取量を総摂取量の約10%に減らすこと。多価不飽和脂肪と一
価不飽和脂肪の摂取のバランスをとり、それぞれが総摂取熱量の約10%にな
るようにすること。
6.コレステロール摂取を1日300 mgにまで減らすこと。
7.ナトリウムの摂取を制限するため、食塩の摂取を1日5 gに減らすこと。
ビッグマック+ポテトM+コーラM
成人が必要とする食事量とは?
エネルギー:約2000キロカロリー
タンパク質:約50グラム
(成人の食事量は乾燥重量で500グラム弱
したがって、食事全体の約10%がタンパク質で
あれば十分である)
欧米人の好む日本食とは
エネルギー たんぱく質 脂質 糖質 454(kcal)
5.3(g) 24.2(g) 53.7(g) エネルギー たんぱく質 脂質
547(kcal) 24.9(g) 30.4(g)
糖質 43.1(g) エネルギー たんぱく質 脂質 糖質 140(kcal)
0(g)
0(g) 35.1(g)
エネルギー たんぱく質 脂質
糖質 食塩相当量
1141(kcal) 30,2(g) 54.6(g) 131.9(g) 2.5(g)
エネルギー比率
糖質46% 脂質43% たんぱく質11% 糖質中の砂糖の割合27%
1
人はもともと何を食べていたのだろう
食生活の地域差
おそらくビタミンCを豊富に含むものが主食だったのだろう
一部の動物だけがビタミンC
を体内で合成できない
ほとんどの動物はビタミンC
を体内で合成できる
アジア型食生活と欧米型食生活
果物にはビタミンCが豊富である
温帯・亜寒帯へ進出→限界を迎える狩猟採集生活
熱帯雨林からサバンナへ
誰が最初に穀物(イネ科植物の種子)を食べたのか
2
麦類栽培の開始
稲作の開始
河姆渡文化(水稲)
(紀元前数千年)
江西省 湖南省(陸稲) (1万2千年前)
栽培稲のDNA解析:東南アジアイネ(ジャバニカ系)が
もっとも古い
日本への伝来:陸稲・縄文時代中期(紀元前4千年)
水稲・縄文時代末期(2500年前)
小麦栽培の伝播
メソポタミア:〜紀元前数千年
北アフリカ・欧州:紀元前3千年
中国:紀元前1世紀
日本:弥生時代
100 gあたりの栄養素(何故、穀物にこだわったのか)
米は高温多湿、小麦は冷涼乾燥
雑穀・遊牧地域
万里の長城は農耕と遊牧の境界線
小麦・放牧地域
稲作地域
3合の穀物(主に米)に依存した食生活=アジア型食生活
答え:
1)単位面積当たりの収穫量が大きい
(多くの人口のエネルギーを十分に確保できる)
2)穀物には10〜15%のタンパク質が含まれていた
(量さえ確保できれば、タンパク質も確保できる)
糖質
脂質
タンパク質
デンプンと植物および魚のタンパク質に依存
図5-1.エネルギー摂取における熱量素の構成割合(ラオス、2000年) 3合(約500グラム)の穀物を確保すれば深刻な栄養失調は起きない
3
人はパン(小麦)のみでは生きていけなかった
反芻動物(羊、牛など)を家畜として利用することの意義
小麦
米
単位面積当たり収量
畜産物を加えない限り
食糧の絶対量が不足した
人が食べられない植物
小麦の収量は米よりも悪く
かつ連作の弊害も大きかった
畜産物
畜産物に依存した食生活=欧米型食生活
地中海沿岸以外の欧州の大部分はジャガイモと豚肉で救われた
糖質
脂質
タンパク質
穀物デンプン以上に動物性脂肪に
依存し、タンパク質は畜産物に依存
図5-2.エネルギー摂取における熱量素の構成割合(ベルギー、20004年) 畜産物は脂が多くてうまい=脂肪の魔力
戦前までの日本の食生活
糖質
脂質
タンパク質
図5-3.エネルギー摂取における熱量素の構成割合(日本、1950年) 畜産物(脂)の味を覚えた民族は穀物が十分量入手できても畜産物(脂)を
欲する→地中海型食生活の形成
日本社会は米本位制
�1人の人間が年間に食するコメ
��3合 × 360=1080合=1石≒180 kg
��つまり1石とは成人1人が1年間に食する量
�コメ1石の価格:1両
�1石のコメがとれる土地:1反
��1反の1/360→1坪�つまり1坪とは1石の1/360
�である3合(1日分)のコメがとれる土地�
東南アジアと違い
→海産物の利用
4
日本では牧畜は難しい
実際は3合の確保は困難
→野菜や雑穀などで増量した飯を利用
高温多湿の日本では草原ではなく森林が育つ
アジア型
欧米型
エネルギー効率の低い食事の影響
糖質
脂質
タンパク質
糖質
脂質
タンパク質
ラオス(現在)
ベルギー(現在)
糖質
脂質
タンパク質
高脂肪(=低糖質)
低繊維
胃への負担
エネルギー効率
欧米型>アジア型
(欧米の食事は少量で
必要量を賄うことが可能)
日本(1950年)
高糖質(=低脂肪)
高繊維
高食塩
長い消化管
大量の糞便
食生活の欧米化とは.........
米を減らし畜産物を増やしたこと
すなわち、糖質を減らし脂質を増やした
グラム/日/ 人
400
350
300
<10
摂 250
取
量 200
150
50
糖質
糖質
脂質
脂質
タンパク質
タンパク質
野菜
25
米
乳製品
100
日本の反芻動物も山地性
豆類
肉類
1950年
2003年
魚介類
卵類
0
1950
1960
1970
1980
1990
2000 年
図5-4.日本人の食品群別摂取量の推移 5