第2日 6月13日 E会場 セッション「コミュニティとジェンダー」 スコットランドにおけるコミュニティ・ビジネス振興の政策課題について 久留米大学 伊佐 淳 花園大学 立岡 浩 東海学園大学 東郷 寛 現在、わが国ではコミュニティ・ビジネスの振興策が実施され、地域社会におけるさまざまな課題 の解決に資するものと期待が高まっている。一方、アイルランドがその起源とされるコミュニティ・ビ ジネスは、スコットランドから英国全土に広まったといわれる。さらには、OECD加盟各国において も、コミュニティ・ビジネスはSocial Economyの担い手であるSocial Enterpriseの構成者であると位 置づけられ、その重要性が認識されるに至っている。 本報告では、スコットランドにおけるコミュニティ・ビジネスの定義や、コミュニティ・ビジネスが今後 さらに成功を収めるための条件整備・課題点等について、当地の中間支援組織(Community Busi ness Scotland Network、Community Enterprise Limited)に対するインタビューから得られた知見 を加えて報告したい。 1. スコットランドにおけるコミュニティ・ビジネスの定義 1980年代は法的構造からCommunity Businessを規定していた。90年代に入り、Social Enterpris eとSocial Economyという考え方が脚光を浴びるようになったが、Social Enterpriseの考え方につい て混乱が生じたという。そこで、これ以降は活動ベースでのSocial EnterpriseとSocial Economyの 定義付けが行われるようになっている。 2. スコットランドにおけるコミュニティ・ビジネスの中間支援組織の設立 1981年、スコットランド政府は、官民による共同出資によって、スコットランド全域をカバーする中 間支援組織・CBSNを設立した。コミュニティ・ビジネスを支援することは、人々の経済状態の改善を 通じて、生活水準の向上を図ることに繋がるとの判断からである。また、英国政府補助金を利用し た中間支援組織がスコットランド内7地区で地区毎に設立されたが、現在残っているのはEdinburgh のCELとGlasgowのCEISだけである。 3. 英国政府による社会的企業の支援策 2002年7月、英国政府による支援策が策定され、担当大臣が置かれた。また、新しい法人格の 創設(CICs)も予定されている。 4. スコットランドにおけるチャリティ制度の再検討 スコットランドでは、これまで独自の支援策が実施されているが、さまざまな問題も指摘されてい る。2002年にはスコットランド・チャリティ制度の見直しを提言した The McFadden Report が提出 され、政府部内で検討されている。 *今回のインタビュー調査の実施にあたり、本学会より研究助成金をいただいたことに対しまして、 深く感謝申し上げます。
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