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専門科目/医療・福祉マネジメント科目群
認知症ケアと自我心理学
担当教員:訓覇 法子
2単位
認知症ケアの基礎をなす、人間を理解するための自我心理学
講義目的・到達目標
良い認知症ケアとは何か
認知症は高齢になるほど発症率が高くなるため、認知症ケアは長寿・超高齢社会日本が直面する最も深刻な課題である。認知症ケア
の先進国スウェーデンは、国政基本方針(2010年)
において早期医学診断の他、本人中心のケアや複数専門職によるチームワークの
必要性とともに、教育の重要性をケアの質向上の重要な条件として掲げる。本人を中心としたケアとは、
良い認知症ケアの出発点とは
何か? 信頼ある人間関係の形成はなぜ重要なのか? 支援する人のパーソナリティ
(人なり、人柄、個人性)
を理解することは、
ケアの質
向上にどのような意義をもたらすのか?教育による知識向上がもたらす意義を考える。
パーソナリティを構成する自我機能
認知症ケアの難しさは、認知症疾患とその進行によってパーソナリティの基礎をなす自我機能が悪化・低下することにあり、
これらの変
化は多様な認知障害
(問題行動)
の背景をなす。認知症の人の尊厳や自己決定を尊重し、
できる限り自立した生活を可能にするのが、
弱まった自我を支える対応法である。最善のケアを提供するには、
まず認知症の人の自我機能の変化を理解し、内包される多様な能力
を総合的に把握することが必要である。
自我とは、認知、感情、行動などの精神諸機能を統制する心的機関・装置である。実践を根拠
あるものにし、
良い人間関係を形成するにあたっても、精神的負担の重い介護職員や家族が自らの自我機能を分析することが必要で
ある。支援を必要とする人と支援する人の出発点として、12の自我機能の基礎知識を修得する。
講義の構成
講義の流れ
講義のポイント
まず、講義の目的と目標を明確にし、講義の進め方を確認する。
次に、認知症ケアの質向上のために必要な教育(知識向上)
の
意義を理解し、最善の認知症ケアとは何か、
ケアの出発点をな
す人間関係の形成について考える。次に、
なぜ認知症ケアにお
いて自我機能に関する自我心理学の知識が必要なのかを考え
る。
さらに自我及び自我機能とは何かを理解し、
自我心理学者ベ
ラック
(Bellak, 1973)
に基づいた12の自我機能とそれらの自我
機能の相互作用を理解する。
これらの基礎知識を踏まえて、認
知症疾患によって生じる多様な認知障害・自我機能の変化(悪
化・低下)
を考察し、支援する人が
「補助自我」
として認知症の
人の弱まった自我機能を補助し、支える対応法の具体例を取り
上げ、各自の実践や経験に照らし合わせる。適切な時点で、認
知症ケアの重要な前提である認知症疾患に関する医学的な基
礎知識を習得するために、認知症疾患の専門医によるゲスト講
義という形で導入する。
知識を単に暗記するのではなく、批判的検証力を履修者各自が
身に着けることを重視する。批判的検証・考察に必要な
「各自が
考える作業」
と
「根拠ある見解」
を生成するために、担当教員が
提起する課題についてグループ討議を行い、各グループが発表
し、発表結果を担当教員が整理し、理論化する方法をとる。
した
がって、履修者の積極的な授業参加を要求する。
1
講義の目的と目標の設定・講義の
進め方
2
良い認知症ケアとは何か
3
本人中心のケアとパーソナリティ
4
パーソナリティの基礎をなす
12の自我機能
5
認知障害による自我機能の変化
6
自我を支える対応法
受講するにあたって
26
①事前学習の
すすめ
①認知症ケア分野や他の介護分野における支援の難しさや曖昧な点を整理しておくこと。②参考図書の認知
症ケアと自我機能に関する部分を読み、理解の難しいあるいは曖昧な点を整理しておくこと。
②参考図書
キャッシュ&サンデル
(訓覇法子訳)
『認知症ケアの自我心理学:自我を支える対応法』
クリエイツかもがわ、2015
③評価基準
グループ討議への積極的参加を評価に加える。講義2日目の終わりに、1時間の筆記試験を実施する
(持ち込み
不可)。評価は、講義内容の正確な理解力と批判的検証による考察力を重視する。講義は積み重ねであるため
完全出席の努力とともに、単位修得のみの動機による履修は控えること。
④より学びを
深めるために
2日間の講義では十分内容を理解することは難しいために、担当教員が適切であると判断する参考文献を指定
し、必要に応じて資料を配布する。
自分の理解が正しかったかどうかを確かめ、理解を深めるためにそれらを必
読すること。