ソーシャルワーク国際比較

専門科目/医療・福祉マネジメント科目群
ソーシャルワーク国際比較
担当教員:訓覇 法子
2単位
ソーシャルワークの国際比較から日本のソーシャルワークを理解する
講義目的・到達目標
ソーシャルワーク国際比較の意義と定義に関する基礎知識
今日、
ソーシャルワークは経済発展や文化を問わず、世界的な現象として存在する。国際比較の意義を明確にするために、①比較とは
何か比較の目的と方法、国際比較に必要な条件に関する基礎知識を習得する。次に、②実践としての・科学としてのソーシャルワーク
とは何かを明確にする。
③国際比較的視点から、
ソーシャルワークの歴史的発展とともに、
ソーシャルワークとは何か、多様な定義方法と
定義を取り巻く一連の問題を理解し、考える。
社政策モデル・福祉レジームとソーシャルワーク・モデル
ソーシャルワークの原型は欧米諸国の慈善事業にさかのぼるが、近代的な社会福祉制度の成立に伴って発展してきた諸実践がひと
つの専門職として体系化され、
その方法、手段、
技術を総称してソーシャルワークと呼ばれるようになった。
日本では、古くは社会事業、社
会福祉援助技術などと訳されてきた。今までの研究により、
ソーシャルワークの機能は社会政策モデル・福祉レジームに依存することが
明らかである。
ゆえに、
ソーシャルワーク・モデル
(国際類型)
も異なる。
ソーシャルワークの国際比較の仕方や、国際類型とそれぞれの内
容・類似性と差異は何かを学び、理解する。
ひいては、国際比較的視点から日本のソーシャルワークの特徴を考察し、明らかにする。
講義の構成
講義の流れ
講義のポイント
まず、講義の目的と目標を明確にし、講義の進め方を確認する。
次に、実践として、科学としての社会福祉とは何かを考え、明確
にする。同時に、社会福祉とソーシャルワークの用語の関係や
使い方についても整理する。次に、実践としての社会福祉を巡
る多義的な概念定義の方法を取り上げ、定義に使用される基
準について吟味する。
ソーシャルワークの歴史的発展(時代や
状況)
とそれを促した要因、
ソーシャルワークの方法と技術、
ソー
シャルワークの社会的機能の二重性について理解する。
さら
に、
ソーシャルワークの国際比較例を取り上げ、特に社会政策
モデル・福祉レジームとソーシャルワーク・モデルの相互関係、
ソーシャルワーク・モデルのそれぞれの特徴、
その意義を考察
する。国際類型を基軸として、
日本の社会政策モデル・福祉レ
ジームとソーシャルワークの特徴について整理し、考察する。
1
講義の目的と目標の設定・講義の進め方
2
実践としての・科学としての社会福祉とは何か
3
概念社会福祉とソーシャルワーク
4
ソーシャルワークの定義のための
基準と問題点
5
ソーシャルワークの歴史的発展と
社会的機能の二重性
知識を単に暗記するのではなく、批判的検証力を履修者各自
が身に着けることを重視する。批判的検証・考察に必要な
「各
自が考える作業」
と
「根拠ある見解」
を生成するために、担当教
員が提起する課題についてグループ討議を行い、各グループ
が発表し、発表結果を担当教員が整理し、理論化する方法を
とる。
したがって、履修者の積極的な授業参加を要求する。
6
ソーシャルワークの国際比較の方法
7
社会政策モデル・福祉レジームと
ソーシャルワーク・モデル
(国際類型)
8
日本のソーシャルワークの特徴
受講するにあたって
①事前学習の
すすめ
①ソーシャルワークに関する理解の曖昧な点を整理しておくこと。②参考図書を読み、理解の難しいあるいは曖
昧な点を整理しておくこと。可能な限り「社会福祉政策国際比較」を履修する、あるいは履修が不可能な場
合はそれに相当する基礎知識を受講条件とする。
②参考図書
訓覇法子・田澤あけみ
『実践としての・科学としての社会福祉 現代比較社会福祉論』法律文化社。訓覇法
子『アプローチとしての福祉社会システム論』法律文化社、
もしくは訓覇法子『福祉社会システム論』
日本福祉大
学、2014
③評価基準
グループ討議への積極的参加を評価に加え、講義2日目の終わりに1時間の筆記試験を実施する
(持ち込み不
可)。評価は、講義内容の正確な理解力と批判的検証による考察力を重視する。講義は論理的な積み重ねで
あるため完全出席の努力とともに、単位修得のみの動機による履修は控えること。
④より学びを
深めるために
2日間の講義では十分内容を理解することは難しいために、担当教員が適切であると判断する参考文献を指定
し、必要に応じて資料を配布する。
自分の理解が正しかったかどうかを確かめ、理解を深めるためにそれらを必
読すること。
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