適正使用ガイド

適 正 使 用 ガ イド
1. 使用に関する注意事項
パッチテストパネル®(S)
(以下本剤)
は、本剤に含まれるアレルゲンに感作が成立していることが示唆される患
者に適用されるパッチテスト診断薬です。本剤は複数のアレルゲンによる検査をまとめて行う製剤であるため、本
剤の使用により新たにアレルゲンに感作される可能性が否定できません。そのため、問診の結果等により原因ア
レルゲンが明らかで、本剤を用いたパッチテストが必要でない患者や、本剤以外を用いた検査が適切である患者
に対しては、本剤を使用しないでください。
本剤による検査を実施した際には原因アレルゲンについて問診の結果などを踏まえて総合的に判定する必要
があります。
重要な基本的注意(抜粋)
(1)本剤の使用前に十分な問診及び視診を実施し、本剤の使用が適切と判断した場合に使用すること。
(4)感作が誘発されることがある。検査実施後10∼20日以降に陽性反応が発現した場合には、新たな感作が
成立した可能性があるので後日の再検査の実施を考慮すること。ただし、再検査の際には慎重に使用する
こと。
(7)原因アレルゲンの特定に際しては、本剤による検査結果のみではなく、問診の結果等も踏まえて総合的
に判定すること。
本剤に含まれるフラジオマイシン硫酸塩及び金属アレルゲンなどにより、検査7∼10日後に遅発陽性反応が
発現することがあります。当該アレルゲンが原因と疑われる患者に対しては、本剤を剥がしてから1週間後などの
適切な時期にも判定を実施してください。
重要な基本的注意(抜粋)
(5)遅発陽性反応が検査7∼10日後に発現することがある。
2.判定結果に関する注意事項
海外での比較臨床試験において、従来法であるFinn Chamber法(FC法)との陽性一致率が低いアレルゲン
(ラノリンアルコール、フラジオマイシン硫酸塩、香料ミックス、ペルーバルサム、黒色ゴムミックス、パラフェニレ
ンジアミン二塩酸塩など)が確認されています。アレルゲンによっては、本剤とFC法で異なる判定結果が得られる
可能性があることを考慮してください。
アレルゲン別の判定分類一致率(FC陽性一致率が70%未満のものは青字で記載)
アレルゲン名
判定分類一致率
FC陽性一致率
FC陰性一致率
硫酸ニッケル
94.3%
(1,409/1,494)
95.2%
(378/397)
94.9%
(1,014/1,069)
ラノリンアルコール
98.5%
(1,697/1,723)
61.1%
(22/36)
99.6%
(1,671/1,677)
フラジオマイシン硫酸塩注1)
97.0%
(1,449/1,494)
57.4%
(31/54)
99.1%
(1,414/1,427)
重クロム酸カリウム注2)
96.5%
(1,441/1,494)
85.9%
(79/92)
98.4%
(1,353/1,375)
カインミックス
98.1%
(1,465/1,494)
84.1%
(53/63)
99.2%
(1,410/1,422)
香料ミックス
93.5%
(1,397/1,494)
54.6%
(71/130)
99.2%
(1,321/1,332)
ロジン
(精製松脂)
98.6%
(1,473/1,494)
86.2%
(50/58)
99.2%
(1,420/1,432)
パラベンミックス
99.0%
(1,705/1,723)
73.7%
(14/19)
99.6%
(1,688/1,694)
ペルーバルサム
95.2%
(1,422/1,494)
67.7%
(42/62)
97.7%
(1,377/1,409)
82.6%
(90/109)
100.0%
(7/7)
83.0%
(83/100)
塩化コバルト
94.4%
(1,179/1,249)
82.7%
(110/133)
97.8%
(1,051/1,075)
-ブチルフェノール
ホルムアルデヒド樹脂
99.4%
(1,712/1,723)
96.3%
(26/27)
99.6%
(1,683/1,689)
エポキシ樹脂
98.7%
(1,474/1,494)
78.6%
(11/14)
98.8%
(1,461/1,478)
カルバミックス
97.3%
(1,677/1,723)
80.5%
(33/41)
98.4%
(1,635/1,661)
黒色ゴムミックス
98.5%
(1,697/1,723)
62.5%
(10/16)
99.1%
(1,682/1,698)
イソチアゾリノンミックス
97.7%
(1,683/1,723)
70.0%
(35/50)
99.3%
(1,648/1,659)
メルカプトベンゾチアゾール
99.4%
(1,713/1,723)
94.1%
(16/17)
99.6%
(1,697/1,704)
パラフェニレンジアミン二塩酸塩注3)
96.3%
(1,439/1,494)
55.4%
(41/74)
98.8%
(1,397/1,414)
ホルムアルデヒド
97.3%
(248/255)
75.0%
(6/8)
99.2%
(242/244)
メルカプトミックス
99.4%
(1,713/1,723)
81.8%
(18/22)
99.6%
(1,695/1,701)
チメロサール
98.5%
(1,336/1,356)
87.7%
(50/57)
99.2%
(1,283/1,293)
チウラムミックス
98.6%
(1,473/1,494)
85.7%
(54/63)
99.4%
(1,414/1,423)
金チオ硫酸ナトリウム
注1)比較臨床試験時の用量:0.16mg/試験片
注2)比較臨床試験時の用量:0.020mg/試験片
注3)本剤にはパラフェニレンジアミンが含まれる
判定分類:陽性(+以上)、陰性(−)、その他(?及びIR)の3つに分類する。
判定分類一致率:FC法と本剤の判定が一致した割合
FC陽性一致率:FC法における陽性患者の中で本剤においても陽性と判定された患者の割合
FC陰性一致率:FC法における陰性患者の中で本剤においても陰性と判定された患者の割合
パッチテストは判定者や判定のタイミングにより、判定結果がばらつく可能性があります。正確なパッチテスト
を行ううえで、日本皮膚科学会接触皮膚炎診療ガイドラインをご参照ください。
2015年5月作成
PT15TME