福島印刷(7870)

2015 年 10 月 16 日
福島印刷(7870)
担当 織田真由美
レーティング:NEUTRAL(2014/10/3)→
NEUTRAL
3 期ぶり営業減益見通し。経営基盤・配当は安定。
売上高
(百万円)
伸び率
(%)
単 12/8
5,644
単 13/8
5,518
単 14/8
5,946
単 15/8
6,024
単 16/8(予)
6,200
株価(2015/10/16)
期末発行済み株式数(15/8 末)
期末自己株式数(15/8 末)
時価総額
企業価値(EV)
ROE(15/8 実績)
予想配当利回り
予想 PER
BPS(15/8 実績)
PBR
CFPS(15/8 実績)
PCFR
EV/EBITDA(15/8 実績)
+2.6
-2.2
+7.8
+1.3
+2.9
営業利益
(百万円)
234
193
335
411
217
395
6,000
0
2,370
2,965
6.9
2.5
33.4
692.80
0.6
123.80
3.2
3.2
伸び率
(%)
経常利益
(百万円)
伸び率
(%)
当期利益
(百万円)
+10.5
-17.7
+73.8
+22.8
-47.2
円
千株
千株
百万円
百万円
%
%
倍
円
倍
円
倍
倍
217
179
332
416
223
+13.0
-17.5
+85.8
+25.1
-46.2
108
101
194
274
71
伸び率
(%)
+56.4
-6.7
+92.2
+40.9
-74.1
EPS
(円)
1 株配
(円)
18.10
16.89
32.46
45.73
11.84
10.00
10.00
11.00
12.00
10.00
株価チャート(週足)
出所:福島印刷、ブルームバーグ、今村証券
ビジネスフォーム(帳票類)など事務用印刷の中堅。ビジネスフォームや商業印刷が落ち込
むなか、データプリント(DP)サービスに注力。殊にIPDP(インフォメーション プロセ
ッシング データプリント)サービスとよばれる事務通知関連や、DMDP(ダイレクトメール
データプリント)サービスとよばれる通販業者などの販促関連を強化しており、付加価値の高い
サービスで他社との差別化を図っている。
2015 年 8 月期決算は増収増益。売上高は 2
期連続で過去最高を更新し、営業利益、経常
利益は期初見通しを 2 億円程度上回り、2 期
連続の増益となった。ビジネスフォーム関連
や商業印刷分野が低迷しているものの、DP
サービスが好調なことが要因だ(資料1参
照)。事務通知関連のIPDPサービスが前
期比 10.7%増の 11 億 97 百万円と伸長し、販
促関連のDMDPサービスも同 4.6%増の 31
億 35 百万円と好調を維持し、業績に貢献し
ている。
利益面では、増収効果に加え、予定してい
た設備投資が後ずれしたことによる減価償
却費の下ぶれ、及び年金資産の評価額の向上
によって想定を上回る結果となった。
資料1:売上高推移
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1
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ITの普及・進展に伴い印刷需要は低迷し、
市場は縮小傾向にある。経済産業省発表の工
業統計表をみると、印刷・同関連業の製造品
出荷額等は減少を続けている(資料2参照)
。
こうした中、同社は旧来のビジネスモデル
からの変革を図り、データプリント(DP)
サービスに注力している。DPサービスとは、
「台紙の印刷 → 宛名などの可変データ出
力 → 封入封緘 → 積層はがき加工 → 投
函」という一連のサービスの総称で、IPD
Pサービスとよばれる地方自治体や金融機
関向けの事務通知関連と、DMDPサービス
資料2:印刷業の動向
とよばれる通販業者などの販促関連がDP
出所:経済産業省 工業統計表
サービスの柱となっている。BPO
(Business Process Outsourcing(ビジネ
ス・プロセス・アウトソーシング):企業運
営上の業務を専門企業に外部委託するこ
と。)の流れの中で、同社は情報出力アウト
ソーシング受託企業として、「国民健康保険
証の出力 → 封入業務」
、「各種DMの出力
→ 発送業務」など、数多くの実績を構築、
2014 年 2 月 21 日-2015 年 2 月 20 日の月平均
DM処理件数は 2,583 万件にまで規模を拡大
した(資料3参照)
。
DPサービスは、印刷業というよりはむし
ろ情報処理業の様相が強い。この分野は顧客
資料3:個人情報取扱件数(月平均)推移
データなどの個人情報を扱うため情報管理
などが厳しく求められ、競合するのは数社に
すぎない。同社は 2008 年 11 月にデータプリント(DP)サービスに向いた高速インクジェット
プリンタを北陸で初めて導入、製品開発を進めたことが現在の強みとなっている。また、圧着式
のはがき印刷も同社が強みを持つ分野で、こうした付加価値の高いサービスによって、他社との
差別化を図っている。
今期業績は増収減益見通し。需要は堅調に推移するとみられるものの、今期は大型の設備投
資が負担となる。同社は 6 月に広済堂と業務提携し、さいたま市の広済堂工場をサテライト工場
として活用することを発表している。今期はさいたま工場に最新鋭の印刷機を設置するほか、金
資料5:設備投資と減価償却費推移
資料4:売上高と売上高営業利益率
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2
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沢の本社工場でも設備投資を積極化することで設備投資額が 9 億 73 百万円と高水準となる。こ
れに伴い減価償却費が前期に比べ 1 億円近く増加することが利益を圧迫する。加えて、前期に計
上された年金資産評価の反動が見込まれることも利益率低下につながり、大幅減益見通しだ(資
料4、資料5参照)
。
大幅な減益見通しではあるものの、ビジネスモデルの変革は着実に進行しており、安定した
経営基盤や配当を考慮すれば、中長期の投資対象と捉えられる。ただ、流動性が低いこと、株価
に割安感がないことから、投資判断はNEUTRALを継続とする。
---------------------------------------------------------------------------------------------------------アナリストによる証明
本資料に示された見解は、言及されている発行会社とその発行会社等の有価証券について、各アナリストの個人的見解
を正確に反映しており、さらに、アナリストは本資料に特定の推奨または見解を掲載したことに対して、いかなる報酬
も受け取っておらず、今後も受け取らないことを認めます。
---------------------------------------------------------------------------------------------------------レーティングの定義
O U T P E R F O R M:今後 12 ヶ月間のトータルリターンが TOPIX の予想リターンを 10%超上回ると予想される。
N E U T R A L:今後 12 ヶ月間のトータルリターンが TOPIX の予想リターンの+10%と-10%の間に入ると予想される。
U N D E R P E R F O R M:今後 12 ヶ月間のトータルリターンが TOPIX の予想リターンを 10%超下回ると予想される。
トータルリターン:株価変動率+配当利回り
目標株価は 12 ヵ月間の投資を想定しており、将来発行されるレポートで修正されることもあります。
---------------------------------------------------------------------------------------------------------本資料に記載された意見及び予想は、記載された日付における今村証券の判断であり、これらは予告なく変更される場
合があります。今村証券は本資料の記載された日付以降に内容の変更・修正を行う義務を負いません。本資料はお客様
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とって適切であると表明するものでもありません。投資に関する最終決定はあくまでもお客様ご自身の判断でなさいま
すようお願い申し上げます。
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