花粉症 - 統合医療研究所T-LAB

Medical aroma News
(月刊第 3 号)
2014年3月号
Medical Aroma News
■発行/鳥居医療総研 湘南代替医療研究所●イクス 〒236-0021 神奈川県横浜市金沢区泥亀 1-15-8K’s ビル 1B
アロマセラピー&リフレクソロジースタジオIXは、本年より補完代替医療の研究施設「湘南代替医療研究所●IXイクス」と
して生まれ変わりました。これからも更に皆様の健康の維持・増進に有効な情報をお伝えできるよう努力して参ります。
「Medical Aroma News」では国内外の様々な精油に関する学術情報を毎月発信いたします。
花粉症
-Hay fever-
花粉症は誰もが認める増加している病気ですが、どの程度の患者がいるのかはっきりとしたデータはあまりありませ
ん。ある最近の調査によるとスギ花粉症の有病率は全国で 20%を超えると報告されています。また近年では花粉症
発症年齢の低下が叫ばれています。花粉症の有病率は刻々と変化をしていますが、現在の状況では極端に減少するこ
とは考えられません。スギ林の面積は全国の森林の18%、国土の12%を占めています。このためか花粉症の患者
さんの約70%はスギ花粉が原因です。スギをはじめとする風によって花粉を運ぶ植物(風媒花)は虫などが花粉を
運ぶ植物(虫媒花)よりも多量の花粉をつくり、花粉が遠くまで運ばれるので花粉症の原因になりやすいと考えられ
ています。原因となる花粉の種類は多く、日本ではこれまでに50種類以上の原因花粉が報告されています。このよ
うな花粉症を引き起こす風媒花には、樹木ではスギやヒノキの他にシラカンバ、ハンノキ、ケヤキ、コナラ、ブナ、
オオバヤシャブシなどがあります。草本ではカモガヤなどのイネ科の花粉症が多くなってきていますが、他にブタク
サ、ヨモギなどキク科の植物があげられます。主な花粉の飛散時期はスギ、ヒノキなどの樹木では春が中心ですが、
イネ科の場合は初夏に、キク科の場合は真夏から秋口に飛散します。
(厚生労働省ホームページより抜粋)
<花粉症に有効だと考えられる精油の作用>
◆免疫調整作用
侵入した花粉に対し体内では抗体が
作られます。精油の薬理成分は血液
中に取り込まれ、全身に作用して過
剰にはたらく免疫を抑えたり免疫力
を向上させると考えられます。
(2013年3月イクスアロマ通信より)
◆抗ヒスタミン作用、
抗アレルギー作用
花粉と抗体が反応し放出されたヒス
タミン(体内に広く存在しアレルギー
症状を起こす化学物質)などが神経
や血管を刺激して各種の炎症が起き
ます。精油成分がこの化学物質のは
たらきを抑制します。
◆抗炎症作用
起きてしまった炎症(鼻水や皮膚の
かぶれなど)を抑えるはたらきです。
鼻や皮膚から薬理成分が吸収され
炎症が起こっている部分に直接はた
らきかけると考えられます。
◆うっ血除去作用
化学物質により血管が刺激されて生
じるうっ血を除去するはたらきで、鼻
づまりなどを解消します。
■精油 -essential oil◆鎮痒作用
○免疫調整作用
皮膚のかゆみを抑えるはたらきで、
・クローブ(Syzygium aromaticum)ジンジャー(Zingiber officinale) 薬理作用をもつ成分が皮膚から浸透
クローブ精油とショウガ精油のマウスでの免疫調整作用の報告
して効果をもたらすと考えられます。
Immunomodulatory activity of Zingiber officinale Roscoe, Salvia officinalis L. and
Syzygium aromaticum L. essential oils: evidence for humor- and cell-mediated responses..
Carrasco FR1, Schmidt G, Romero AL, Sartoretto JL, Caparroz-Assef SM, Bersani-Amado
CA, Cuman RK.J Pharm Pharmacol. 2009 Jul;61(7):961-7
・ニアウリ(Melaleuca viridiflora)
ニアウリ精油のマウスでの免疫焼成作用の有用性の報告
ヒスタミンなど
Essential oil of niaouli preferentially potentiates antigen-specific cellular immunity and
cytokine production by macrophages. Nam SY1, Chang MH, Do JS, Seo HJ, Oh HK.
Immunopharmacol Immunotoxicol. 2008;30(3):459-74
炎症
*ニアウリはフトモモ科の植物でニューカレドニア原産。オーストラリアに広く生育。
・アンジェリカ(Angelica archangelica)
アンジェリカ精油の免疫機能向上を示唆する報告
The new progress of the study about volatile oil of the angelica.Du JR1, Bai B, Yu Y, Wang CY, Qian ZM. Zhongguo Zhong Yao Za Zhi.
2005 Sep;30(18):1400-6.
*アンジェリカはセリ科の植物で、精油は根や種子から採取されています。生薬の当帰とほぼ同じです。
・クラリセージ(Salvia sclarea)
クラリセージ精油の血液生成、免疫システムの指数に対する影響
Effect of Salvia sclarea essential oil on indices of the hematopoietic, immune and enzyme systems.Tkachuk VG, Shapoval VV.
Vrach Delo. 1987 May;(5):83-4.
○抗ヒスタミン作用、抗アレルギー作用
・ティートリー(Melaleuca alternifolia)
ティートリー精油がヒスタミン誘発性皮膚炎症を減少させる報告
Tea tree oil reduces histamine-induced skin inflammation. Koh KJ1, Pearce AL, Marshman G, Finlay-Jones JJ, Hart PH.
Br J Dermatol. 2002 Dec;147(6):1212-7.
・ティートリー精油はマウスにおけるヒスタミン誘発性の浮腫を軽減させる。
Tea tree oil reduces histamine-induced oedema in murine ears.
Brand C1, Townley SL, Finlay-Jones JJ, Hart PH.
Inflamm Res. 2002 Jun;51(6):283-9.
・ラベンダー(Lavandula angustifolia)
ラベンダー精油がマウスにおいて肥満細胞顆粒減少の抑制によって即時型アレルギー反応を妨げることを示唆す
る報告。
Lavender oil inhibits immediate-type allergic reaction in mice and rats.
Kim HM1, Cho SH.. J Pharm Pharmacol. 1999 Feb;51(2):221-6
・ジャーマン・カモミール(Matricaria recutita)
マウスにおける抗アレルギー薬との併用で従来の抗ヒスタミン薬で、単独で解決できなかった痒みに効果がある
ことを示唆する報告。
Antipruritic effect of the single oral administration of German chamomile flower extract and its combined effect with antiallergic agents in
ddY mice.
Kobayashi Y1, Takahashi R, Ogino F.. J Ethnopharmacol. 2005 Oct 3;101(1-3):308-12.
・ジンジャー
ショウガ科の数種類の植物の精油の抗アレルギー作用の報告。
Anti-allergic activity of some selected plants in the Zingiberaceae family.
J Ethnopharmacol. 2007 Feb 12;109(3):535-8. Epub 2006 Aug 15.
Tewtrakul S1, Subhadhirasakul S.
・シソ(Perilla frutescens)
マウスへの経口投与による抗アレルギー作用の報告
Effect of oral treatment of Perilla frutescens and its constituents on type-I allergy in mice.
Makino T1, Furuta A, Fujii H, Nakagawa T, Wakushima H, Saito K, Kano Y. Biol Pharm Bull. 2001 Oct;24(10):1206-9.
・ブラックシード(Nigella sativa)
アレルギー疾患患者を対象にしたブラックシード油の経口投与の研究で、IgE、好酸球数の減少、また主観評価に
よる改善効果が見られた。
Effect of Nigella sativa (black seed) on subjective feeling in patients with allergic diseases.
Kalus U1, Pruss A, Bystron J, Jurecka M, Smekalova A, Lichius JJ, Kiesewetter H.
Phytother Res. 2003 Dec;17(10):1209-14.
*ブラックシードはニゲラ(キンポウゲ科)の種子から採取される精油です。
○抗炎症作用
・ティートリー(Melaleuca alternifolia)
ティートリー精油ヒトの末梢血白血球に対する抗炎症性効果の有用性
Potential anti-inflammatory effects of Melaleuca alternifolia essential oil on human peripheral blood leukocytes.
Caldefie-Chézet F1, Fusillier C, Jarde T, Laroye H, Damez M, Vasson MP, Guillot J.
Phytother Res. 2006 May;20(5):364-70.
・セージ
コモン(Salvia officinalis L.)
セージ精油の in vitro での抗炎症作用の報告
Essential oil of common sage (Salvia officinalis L.) from Jordan: assessment of safety in mammalian cells and its antifungal and
anti-inflammatory potential.
Abu-Darwish MS1, Cabral C, Ferreira IV, Gonçalves MJ, Cavaleiro C, Cruz MT, Al-bdour TH, Salgueiro L.
Biomed Res Int. 2013;2013:538940.
*セージはシソ科アキギリ属の植物で変種が多数あります。種類の違いは学名で判断します。
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2014年3月号