脳膿瘍 原因 細菌などにより起きる感染症で、脳に膿(うみ)がたまり、膿の周囲の脳にダメージを与 えることがあります。心臓の感染症がある、水頭症で頭とお腹をつなぐシャント(脳室腹腔 シャント)の感染がある、髄膜炎がある、中耳炎や副鼻腔炎がこじれる、虫歯からの感染が こじれる、外傷などが原因になることがあります。10-15%は原因不明です。 症状 発熱、頭痛、なんとなく元気がないなど、最初の症状は非特異的です。病状が進むと、嘔 吐、激しい頭痛、痙攣、意識障害が出現します。 診断 造影 CT 検査で診断します。炎症部位に造影剤が取り込まれ、白い輪のように映し出され ます。髄膜炎と異なり、髄液検査では異常を認めないこともあります。 治療 想定される原因菌に合わせた抗菌薬投与を行います。治療期間は点滴で最低でも 4-6 週 間と長く、画像検査で良くなったのを確認した上で、最終的な治療期間を決定します。膿を 洗い出す手術が必要になることもあります。 予後 脳膿瘍に関連した死亡率は 5~10%と言われています。脳膿瘍と診断された患者さんの 半分に体が動かしにくくなる、痙攣、行動や学習上の問題あるなど後遺症を認めることがあ ります。 予防 肺炎球菌やインフルエンザ菌が原因となることがあり、ワクチンを適切に接種すること が大切です。また虫歯も予防や治療をしましょう。 東京都立小児総合医療センター 感染症科 2015.09
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