HIV感染症 原因 HIV感染症は、ヒト免疫不全ウイルス(HIV, Human Immunodeficiency Virus)に汚染さ れた血液や体液が体内に入ることにより起こります。このウイルスはヒトの免疫細胞に感染す るため感染症への抵抗力が落ちて、健康であればかからないような病気にかかりやすくなりま す。これらの病気にかかった状態をエイズ(AIDS, Acquired Immune deficiency Syndrome 後天性免疫不全症候群)と呼びます。 現在の日本では輸血による感染は、厳しい検査により感染の可能性は極めて低いとされま す。乳幼児では、妊娠中に起こる胎内感染、出産時の産道感染、母乳からの感染があります。 思春期以降では、性交渉、薬物で汚染された針などの使いまわしで感染することがあります。 症状 感染してから数週間で発熱、のどの痛みなどの風邪に似た症状がみられます。その後、症状 がない時期を経てウイルスが増え、免疫細胞が減少するため病気にかかりやすくなります。乳 児期に感染すると、長引く下痢、体重が増えない、呼吸が苦しいなどの症状をきたすことがあ ります。 診断 血液検査を行い、抗体があるかを調べます。この検査は間違って陽性になることがあるた め、陽性の場合はさらに詳しい検査を行います。 治療 ウイルスの増殖を抑える薬剤を数種類組み合わせて治療します。 予後 治療をしながら定期的な外来通院します。血液検査でウイルス量と免疫細胞の数を測りなが らエイズの発症を予防します。治療を継続することで免疫細胞を維持し、普段と変わらない生 活を送ることができます。 予防 家庭内や集団生活の中での感染はほとんどありません。母子感染予防には、母親がきちんと した治療を受け、ウイルスが抑えられていることが大事になります。思春期以降では、性行為 で感染するため、コンドームなどの避妊具の使用が推奨されます。 東京都立小児総合医療センター 感染症科 2015.09
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