工場ルポ No.350 (2015年9月) 『換気フードの静電塗装』

工場ルポ No.350
換気フードの静電塗装
株式会社藤田産業
〒955-0151
新潟県三条市藤平工業団地 1397-19
1.会社の沿革と塗装の変遷
㈱藤田産業はモノづくりの地域として、知名度の高い三条市(旧下田村馬場地内)で昭和 42 年 4 月に
創業。
以下に、同社の沿革とこれまでの変遷をおさらいしてみる。
昭和 51 年 4 月
㈱藤田産業を設立。資本金:500 万円。代表取締役に藤田一夫氏が就任。自動静電
塗装装置を増設。粉体塗装機を設置。
同 58 年 7 月
資本金 1200 万円に増資。
同 59 年 8 月
本工場旧下田村荻堀藤平工業団地に移転,量産体制を整える(敷地面積:2070 ㎡,
建屋面積:600 ㎡)。
自動静電塗装装置を設置。
同 62 年 7 月
平成 17 年 5 月
本工場を増築
若林信義氏代表取締役社長に就任、藤田一夫氏代表取締役会長に就任
2.会社の特徴と設備
同社のメーンのワークは換気フードの塗装。
このほかに、エアコンの室外機などを手掛けてきた。
換気フードの塗装が多くを占める中、これまでの塗装システム(自動静電塗装システム)を駆使して、
品質の安定と量産を維持していたが、さらなる品質の保持,塗料の節約,生産性の向上を目指して、本年
5 月に自動静電塗装システム・SUNAC4000EX・1 レシプロ 4 ガンを導入した。
ガンは EAB500 を装着(機器・ガンは旭サナック㈱)。
塗装ラインと前処理ラインは分離独立しており、それぞれがワークに合わせて稼動している。
(1)前処理ライン
前処理ラインは、シャワー方式を採用。全長 100m を 2m/min で運行している。
その工程は
脱脂→水洗→水洗→リン酸亜鉛皮膜処理→水洗→水洗→水切り乾燥(130℃×10min)
となっている。
(2)塗装ライン
塗装ラインは、全長 135m。運行速度は 3m/min。
その工程は
ハンガー掛け→エアブロー→自動静電塗装→焼き付け乾燥(155℃×20min)→取り外し
(3)塗装システムの特徴
今回導入された塗装システム・SUNAC EX シリーズはレシプロコントロールシステムを制御盤に組み
込み、生産性・作業性を大幅に向上させたことが最大の特徴。
ビジュアル画面で、操作性が抜群なため、誰(だれ)にでも簡単に制御ができる。
コンベヤー速度の変化への対応や塗装条件の自動追従による品質管理塗料の削減に寄与できる。
タブレット(オプション)による遠隔操作が可能なため、オペレーターが制御盤に移動することなく、
操作できる。
また、装着しているガンは EAB500。吐出コントロール性に優れ、塗料の微粒化,均一性などの効果を
発揮している。
3.新システム導入のメリット
今回導入された新システムは、品質の向上や生産効率のアップ、塗料節約などへの期待値が高かった。
塗料は、CO2 の削減効果を狙(ねら)って低温硬化型のアクリル樹脂塗料を採用している。
この塗料に関しても使用量が削減されている。この要因として、塗着効率のアップ(約 18%)が貢献
している。
特に生産性が 20%アップしたのは、レシプロコントロールシステムが寄与している。
さらに、これまで補正塗装作業が不可欠であったが、大きく軽減されている。
また、水洗塗装ブースを更新したことで、吸い込みが良好になり、作業環境の改善や塗装品質の向上
へとつながっている。
工場内は、女性の活躍が目につく明るく活気のある雰囲気が、塗装工場のイメージを刷新している。
新システムの導入により、作業環境の改善と共に清潔感のあるはつらつとした未来志向型の
ファクトリーと言えよう。
取材に当たっては、同社代表取締役若林信義社長をはじめ、現場スタッフの方々にお世話になり
ました。
厚く御礼申し上げます。
(野)
自動静電塗装ラインの概要
▲前処理設備入り口
▲塗装設備の全景
▲塗装ラインを進行するワーク群
▲ワークを脱荷