橡 200

工場ルポ № 200 金属製品の高品位塗装 庄本産業㈱
〒555-0012 大阪府大阪市西淀川区御幣島 6-17-37 TEL(06)6477-6511
(1)会社の沿革
今回は,「工場ルポ」シリーズが始まって第 200 回となる節目に当たる取材を高品位塗装で「塗
膜と歩み塗膜に生きる」を経営指針に掲げている庄本産業株式会社を紹介する。
庄本産業株式会社の創業は,1967 年。当時庄本塗装工業所の称号で,塗装専業メーカーとしての
スタートを切る。
以下に現在に至る経緯を紹介する。
1970 年:㈱庄本塗装工業所を設立
1973 年:豊中第 1 工場を新築・竣工
1974 年:庄本産業㈱を設立
1978 年:尼崎工場を新築・竣工
1979 年:豊中第 1 工場を増改築・新設備導入
1980 年:尼崎工場を増改築・新設備導入
1983 年:豊中第 2 工場 建屋付倉庫を収得
1989 年:庄本メタライジング㈱設立
1991 年:大阪工場を新築・竣工
1995 年:㈱庄本塗装工業所を㈱庄本貿易に社名変更
1997 年:大阪工場を増築・新設備導入
1998 年:豊中第 1 工場を大阪工場に統合
同社では現在,4 工場を稼動させているが,いずれも市街地に立地しているのが大きな特徴である。
市街での塗装工場の運営には,種々の制約があり,従来の塗装工場の立地条件の概念では,余り例
を見ないケースである。
この件に関して,同社代表取締役社長尾崎功一社長は,①市街地は,地価が高いため,立体工場
をつくり,スペースを隅々まで有効活用する。②消防法を遵守し,消化設備を惜しまない。③塗装
設備は,できるだけ上階に設置し,臭気,熱,ほこりやゴミによる品質不良を減らす。④近隣会社
や町会とのコミュニケーションを図り,周囲の清掃を怠らない。⑤工場のイメージアップを図り,
内外の美観を重視する。
ことをモットーに従来の塗装工場のイメージ一新すべく,日々高い意識レベルで工場の経営に当た
っている。
また,市街地に立地することで,工場管理および物流センターの有効利用を図っている。現在稼
動している 4 工場は,各工場間が車で約 20 分程度の距離ある。
各工場では,それぞれ少量,他品種,多色,多仕様のメーカーサイドでは「できない,しない」
種々の製品に短納期で対応している。
2.各工場の特徴
(1)豊中第 1 工場
建坪 410 坪(塗場−3F),主な塗装品目:マンション折戸,スチールサッシ等。
(2)豊中第 2 工場
建坪 390 坪(塗場−1F),主な塗装品目:重防食塗装−大橋用ケーブルバンド,ボトルナット,
常乾錆止め塗装−スチールサッシ。
(3)尼崎工場
建坪 610 坪(塗場−1,3F),主な塗装品目:計装盤・配分電盤・医化機器・アルミホイール他。
(4)大阪工場
建坪 1215 坪(塗場−5,7F),主な塗装品目:エレベーター,スチールサッシ,カーテンボッ
クス,モニュメント,その他。
今回,取材・撮影させていただいたのは,1991 年に新築し,さらに 1997 年には増改築した大阪工場
で,外観はまさに高層ビルを感じさせている。
3.大阪工場の塗装設備と概要
塗装場は,5 階と 7 階にそれぞれ被塗物の形状や要求品質によって分類されている。
今回,新規設備として導入されたのは,7 階に設置されている自動塗装ラインに,自動静電塗装シ
ステム「SUNAC2400 Ⅱ」1 レシプロ 4 ガン,2 基と前補正用に手吹きエアラップ静電ガン 2 基(旭サ
ナック㈱)である。
新規設備が本格稼動したのは,本年 5 月 7 日。導入に当たっては,①塗膜厚の均一性,②塗着効
率の向上によるオーバースプレーの低減,③ラインスピード安定による稼働率のアップ,等が期待
されたが,現状では,所期の目的がほぼ達成されている。
《塗装の工程(自動静電塗装ラインの例)》
素地調整→パテ付け→研ぎ→前補正(裏面)→前補正(表面)→自動静電塗装(1 レシプロ 4
ガン・裏面)→自動静電塗装(1 レシプロ 4 ガン・表面)→セッティング→焼き付け乾燥(130℃
×20min)→脱荷
このラインで塗装される被塗物は,4 コート,4 ベーク方式が採用されている。高品位塗装で
ある。素材はボンデ鋼板が 8 割を占める。
《塗装設備の概要》
コンベヤー全長:160m(同速度:1.5∼3.5m),自動静電塗装システム,1 レシプロ 4 ガン 2 基
(ガンは,回転霧化静電自動ガン「サンベル ESA60」を装着),手吹きエアラップ静電ガン「Te Top
AP1028NTW」ポンプ・レスブース 8 基,被塗物素材:スチール製品,使用塗料:アクリル系,色替
え:40 色/1 日,膜厚:被塗物により 25∼650 μ m。
このほか 5 階では,大型被塗物に対応するために手吹き塗装が行われている。乾燥は大型金庫
炉が設置されており,天井から吊された被塗物が二つの乾燥炉にスムースに移動できるように設
計されている。大阪工場では,随所にスペースの有効利用の工夫が見受けられる。たとえば,地
下には給水室や廃水処理タンク等が設置されている。
「ビルの中で塗装する」の指標のもと同社は 6 月 19 日 30 周年のイベントを控えている。庄本
グループの今後の展開が非常に興味深い。