週間天気予報解説資料 2015 年 8 月 28 日 10 時 00 分 発表 気象庁予報部 予報期間 8 月 29 日から 9 月 4 日まで 1.アンサンブル資料 ●アンサンブル(ENS):今予報期間、日本付近は西南西の流れ。関東や東北太平洋側に季節外れの涼しさをもたらしているオホーツ ク海高気圧は期間の中頃以降に不明瞭になるが、東・西日本付近に停滞する秋雨前線上を低気圧がいくつか通過していく見込みで、 北~西日本は曇りや雨の日が多い。沖縄・奄美も期間の前半は前線や湿った気流の影響で曇りや雨だが、後半は太平洋高気圧に覆 われて晴れる所が多い見込み。 ●500hPa基本場(週間予報支援図):実況の高緯度帯はメアンダーが大きく、シベリアとアリューシャン近海が顕著な正偏差のリッ ジで、それらに挟まれた千島の東が深いトラフ。シベリアのリッジは双極子型のブロッキングを形成し、黄海~朝鮮半島が逆位相 の深い谷場。このため日本付近は深い西谷で、北日本北部を除いて広く負偏差。予報期間も黄海付近が引き続き逆位相の谷場で、 日本付近は西南西の流れ。西日本の一部と沖縄・奄美は正偏差となるが、北・東日本は負偏差。 ●31日:次第に衰弱していくが、引き続き中国東北区に寒冷渦が停滞する。日本付近は西南西の流れで、西・東日本と東北地方は、 下層では暖湿気が流入する一方、上層には寒気(T500=-6℃程度)が予想される。このため、西・東日本と東北地方は対流雲 が発生しやすく、30日からの雨が残る所がある見込み。θe850集中帯の北側に位置する北海道地方では、晴れる所がある。 ●9月1~2日:中国東北区に停滞していた寒冷渦が、トラフとなってゆっくり東進してくる予想。このトラフは寒気を伴っており、 T500≦-6℃が西・東日本をすっぽり覆う。トラフの接近に対応して、西・東日本の直上~南岸付近に停滞する秋雨前線上をじ ょう乱が東進していく可能性もある。北~西日本は広く雲に覆われ、西・東日本を中心に雨が降る見込み。 ●3~4日:不確実性はあるが、5820m付近のトラフの通過後は、しばらく続いた西谷場が一旦浅くなる予想。上層には寒気が残る ものの、下層での暖湿気の流入は弱くなる。西日本は、一部に中層の乾燥域が見られる3日から天気は回復傾向で、4日は晴れ る所もある。東・北日本は、3日はトラフに対応するじょう乱の影響で曇りや雨だが、4日は晴れる時間帯がある見込み。 ●沖縄・奄美:期間の前半は、前線や湿った気流の影響で曇りや雨。後半は、太平洋高気圧に覆われて晴れる所が多い。 ・ アンサンブル(ENS)/27メンバー:31日の低気圧の予測位置について、北日本付近が全体の約6割、日本海が約3割、日本の東 が約1割。 ・ スプレッド:期間の前半は昨日と同じで、後半は拡大した。特定高度線のうち、5700mは期間の後半に大きくバラつく。 ・ 降水頻度分布:高降水頻度域は、西日本では31日に昨日資料より縮小し、1・2日は拡大した。東日本は2日に拡大した。北 日本は、31日に縮小し、2・3日は拡大した。 ・ 予想T850時系列:全国的に平年からの隔たりが小さく平年値近傍で推移する中、北・西日本は弱い負偏差の日があり、東日本、 沖縄・奄美は弱い正偏差の日がある。 2.防災事項等 ・ 特になし。 3.明後日予報(3時40分発表の短期予報解説資料も参照) ・ 中国東北区に寒冷渦が停滞して日本付近は西南西の流れが続き、東シナ海~西・東日本には秋雨前線が停滞する。西日本付近を低 気圧が北東進していく見込みだが、通過コースについてはまだ不確実性がある。また、オホーツク海~日本の東には高気圧が張 り出す。 ・ 秋雨前線や低気圧の影響で全国的に雲が広がりやすく、東北地方~奄美地方を中心に雨の降る所が多い。前線から離れた北海道地 方や沖縄地方では、晴れ間の出る所もある見込み。 4.全般週間天気予報(案) ・ 北~西日本は、前線や湿った気流の影響で曇りや雨の日が多い。期間のはじめと終わりは、高気圧に覆われて晴れる所がある。 ・ 沖縄・奄美は、期間の前半は前線や湿った気流の影響で曇りや雨。後半は、太平洋高気圧に覆われて晴れる所が多い。 ・ 最高気温・最低気温とも、北~西日本は平年並か平年より低く、平年よりかなり低い所もある。沖縄・奄美は平年並。 この資料は、気象事業者等が、気象庁の提供する週間天気予報の根拠を理解するための補助資料であり、そのままの 形で一般に提供することを想定して作成したものではありません。
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