２０１５ January Ｓｐｅｃｉａｌ-2 東京海上日動ＷＩＮクラブ http://www.tmn-win.com/ 雪害に備える昨年は、過去の積雪記録を更新する大雪が相次ぎ発生し、各所で大きな被害を生じました。平年以上の積雪や積雪が少ない地域での「思いもよらない」大雪により、自社の施設が直接的な損害を被るだけではなく、部品など調達や取引先への製品供給に支障が生じるなど間接的な影響が及ぶ可能性があります。企業活動の休止を防ぎ、取引先への信頼を得るためには、雪害に対しても十分な対策を検討しておく必要があります。 Ⅰ．大雪により生じる被害大雪時には、「除雪作業中などの死亡事故」、「家屋などの倒壊」、「落雪による屋外設備の損壊」、「交通機関の運休」、「家屋・車両内の閉じ込め」、「融雪による床下・床上浸水」など、様々な被害が生じる恐れがあります。その中でも、『除雪作業中などの事故』、『家屋・倉庫などの倒壊』、『部品供給などの途絶による操業中断』が、昨年の大雪の際に各地で相次ぎ、注目を集めています。 ① 除雪作業中などの死亡事故毎年 11 月～翌年 3 月までの期間に、雪による死図 1：雪による死者の死亡原因（平成 25 年 11 月～平成 26 年 3 月）亡事故により 100 名前後の方がお亡くなりになっ ■屋根の雪下ろしなど除雪作業中の死者ています。近年では、雪による死者数が、風水害による死者・行方不明者数を上回る年が多くなってい ■落雪などによる死者ます。 ■倒壊した家屋の下敷きによる死者また、死亡原因の約 7 割を、屋根の雪下ろしなど ■雪崩による死者除雪作業中の事故が占めています。屋根からの転落 ■その他や、軒下での作業中に落雪で埋まるなど、除雪作業中の事故に注意する必要があります。出典：総務省消防庁「消防白書」をもとに弊社作成図 2：大雪によるビニールハウスなどの倒壊 ② 家屋・倉庫などの倒壊雪の質により重さは異なりますが、例えば平らな屋根（20 坪）に 1m の積雪がある場合、その重さは約 16t となります。これは、軽自動車 20 台程度が、屋根の上に載っているイメージです。 2013 年１１月～2014 年 3 月までの期間に、全国各地で生じた家屋・倉庫などの被害は、全壊 28 棟、半壊 40 棟、一部損壊 5872 棟にのぼります。積雪が少ない地域では、思いもよらない大雪により、建物が倒壊する恐れがあります。写真提供：株式会社フォトライブラリー 1 Copyright (c) Tokio Marine & Nichido Risk Consulting Co., Ltd. ③ 部品供給などの途絶による操業中断昨年 2 月には、2 月 14 日夜半～15 日にか図 3： 2014 年 2 月 14 日～15 日にかけての大雪による操業中断状況けて関東地方の広い地域で大雪となり、各地で交通機関の運休やダイヤ乱れが相次ぎました。この影響は、降雪が無かった東海地方にも広がり、部品供給などの途絶により、工場などの操業を中断する企業が相次ぎました。大雪時には、降雪が無かった地域においても企業活動に影響を生じるため、注意する必要があります。出典：新聞報道／各社プレスリリースをもとに、弊社作成 Ⅱ．企業において取りうる対策大雪などの事前にある程度被害の発生が見通せるリスクの場合には、気象状況の進展や世の中の被害状況などに応じて、時間軸に沿った対応や対策をあらかじめ検討しておくことが、重要となります。特に、急激な気温の低下や平年を大幅に上回る積雪など、平年からの隔たりの大きな天候が予測される場合には、気象庁から「異常天候早期警戒情報」が発表されます。この情報は、情報発表日の 5 日後から 14 日後を対象として、出来るだけ早い段階で発表されます。日頃から気象予報や上記のような警戒情報の発表に注目しながら、大雪が降り始める前から対策を講じることにより、被害を最小化することが可能となります。図 4：企業において取りうる対策（例）時間軸大雪による世の中の被害状況降雪前（春～秋） ― ・屋根などの積雪荷重を確認・屋根の形状を変更、柱などの補強・融雪剤の散布大雪予報発表降雪開始～降雪中降雪後企業において取りうる対策（例）・交通機関の運休や、ダイヤ乱れが発生・早期帰宅の指示・電線などの断線による停電・受発注量の変更・高速道路などでの車両内の閉じ込め・納品日の変更・スリップなどによる交通事故・出勤時間の変更・積雪による幹線道路の通行止め・配送ルートの変更東京海上グループのソリューション【マニュアル作成支援コンサルティング】東京海上日動リスクコンサルティング（株）では、大雪が発生した際の初動対応に関するマニュアル作成支援や役職員向けの教育・訓練（対策本部訓練等）などを行っています（有料）。【超ビジネス保険】弊社「超ビジネス保険（事業活動包括保険）」で対応いたします。詳しくは、弊社代理店・社員までご照会下さい。 2 Copyright (c) Tokio Marine & Nichido Risk Consulting Co., Ltd.