チリ政治情勢報告(7月) 平成27年8月 1.概要 (1)内政面では

チリ政治情勢報告(7月)
平成27年8月
1.概要
(1)内政面では,ブルゴス内務大臣とチリ南部で事業を行う業界団体により,
南部の治安問題改善のための会合が実施された。
(2)外交面では,ペルーで開催された第10回太平洋同盟首脳会合にバチェ
レ大統領が出席したほか,7月末にはハワイで行われたTPP閣僚会合にレボ
ジェドDIRECON総局長らが出席した。
(3)8月2日発表のAdimark GfK社調査による3月のバチェレ大統領の支持率
は26%(前月比-1ポイント),不支持率は70%(前月比+2ポイント)
となった。
2.内政
南部の治安問題に関するブルゴス内務大臣と業界団体代表者の会合
14日,ブルゴス内務大臣と,南部で事業を行う業界団体の代表者の間で,南
部の治安悪化及び先住民問題への対応を検討する会合が実施された。出席者は
「ブ」内務大臣に対し,第9州(ラ・アラウカニア州)から第14州(ロス・
リオス州)に拡大している暴力行為に関する訴えを行い,「ブ」内務大臣は,
南部での暴力行為の増加という問題に確固たる姿勢で対応すると述べた。会合
に出席したマッテ全国農業協会(SNA)事務総長は,「ブ」内務大臣のもと
で,この問題の解決に向けた前進が見られるとして,(状況の改善に向けて)
大きな期待がもてる旨述べた。
3.外交
(1)バチェレ大統領による第10回太平洋同盟首脳会合出席
ア 首脳会合概要
2-3日,バチェレ大統領はペルー・パラカスで開催された第10回太平洋同
盟首脳会合に出席した(ムニョス外相同行)。同会合では,太平洋同盟枠組条
約が7月20日に発効することが決定されたほか,新たに10カ国のオブザー
バー国が追加され,オブザーバー国が合計42カ国となることに合意された。
「バ」大統領は首脳会合において,太平洋同盟とアジア太平洋地域との関係の
緊密化や,メルコスールといった他の地域統合イニシアティヴとの対話が進ん
でいることを強調。また,今般会合にはチリを含む加盟4カ国の企業関係者も
同行しており,「バ」大統領を含む各国首脳陣とのパネル会合等も実施された。
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イ 太平洋同盟とオブザーバー国の閣僚会合
今般首脳会合開催中には,太平洋同盟とオブザーバー32カ国の閣僚会合が実
施され,日本からは髙瀨寧・外務省中南米局長が出席した。髙瀨局長は,日本
は2013年1月にアジア初のオブザーバー国になるなど,太平洋同盟を中南
米の重要なパートナーと捉え,これまで関係強化に努めてきた旨述べると共に,
今後も太平洋同盟との対話を通じ,双方が裨益する関係を構築していきたい旨
表明した。
(2)ボリビアとの「海への出口」問題
ア 法王フランシスコのボリビア訪問に関連するムニョス外相の発言
8-10日,法王フランシスコがボリビアを訪問し,ラパスの大聖堂にて行っ
た説教の中で,「周辺国との外交関係の発展により,兄弟国との紛争を避ける
ことができ,問題解決のための率直かつ開かれた対話へとつながるだろう。私
はここで,海について考えている(注:チリとボリビアの「海への出口」問題
を指す)。対話は不可欠なものである」と述べた。9日,ムニョス外相は,上
記の法王フランシスコの発言に関し,「法王フランシスコは,主権について言
及したり,特定の立場をとったり,国際司法裁判所(ICJ)での係争につい
て触れることなく,対話に対する呼びかけを行った。これは非常に前向きにと
らえられる」と述べた上で,「しかし,対話を放棄し,ICJでの対決という
道を選んだのはボリビアであり,それが今日の現状である」とコメントした。
イ モラレス・ボリビア大統領の発言に対するムニョス外務大臣コメント
29日,ムニョス外相は,モラレス・ボリビア大統領が,チリとの外交関係再
開の条件として,法王フランシスコを保証人として5年以内に「海への出口」
問題を解決することを提案したことに関し,チリ政府としては引き続き即時か
つ無条件の外交関係再開を求める旨表明した。「ム」外相は,「チリとボリビ
アの外交関係は,1975年に再開した後,1978年にボリビアにより解消
されている。チリは現在でも,即時かつ無条件での外交関係の再開(の可能性)
についてオープンである」旨コメントした。
(3)環太平洋パートナーシップ協定
ア ムニョス外相とバイデン米副大統領らによる会合の実施
17日,ムニョス外相,バルデス財務大臣及びレボジェドDIRECON(外
務省国際経済関係総局)総局長は,米国においてバイデン米副大統領らと会合
を実施し,TPP交渉の中での米チリ間交渉につき協議した。「バ」財務大臣
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は,「前向きかつ非常に率直で,建設的な協議が行われた。しかし同時に,い
くつかの分野では依然として両国間に相違があり,多くの課題があることも示
された。TPPは非常に重要だが,参加国にとって,いかなるコストでも払う
ということではない」と発言した。
イ ハワイでの閣僚会合に関するDIRECONプレスリリース
28-31日までハワイで開催されたTPP交渉参加国の閣僚会合に関し,チ
リ外務省国際経済関係総局(DIRECON)は,以下のとおりプレスリリー
スを発表した。
(ア)TPP交渉参加国の貿易大臣による約4日間の交渉をとおして,投資,
金融サービス,環境,政府調達等の分野で重要な合意が達成された。しかしな
がら,TPP全分野での交渉を完了させるためには,まだ追加的な作業が求め
られるものもある。
(イ)ハワイでの閣僚会合でチリ代表団を率いたレボジェドDIRECON総
局長は,「未解決のテーマの中には,いくつかの農産品の関税削減や,自動車
産業における原産地規則の取り扱い,医薬品にかかる知的財産権等,重要かつ
センシティブな分野が存在する。医薬品の知的財産権に関しては,チリの保健
政策を保護するためにも,バランスのとれた合意を達成したいとするチリの立
場を再度表明した」と述べた。
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