チリ政治情勢報告(2月) 平成27年2月 1.概要 (1)内政面では,不適切な企業経営手法が問題視されたことを受け,バチェ レ大統領の息子であるダバロス大統領府社会文化局長が辞任した。 (2)外交面では,チリにおいて著名な女性リーダーが多数出席したUN Wo men関連会合が開催され,バチェレ大統領や潘基文国連事務総長他が出席し た。 (3)3月3日発表のAdimark GfK社調査による2月のバチェレ大統領の支持率 は39%(前月比-5ポイント),不支持率は52%(前月比+3ポイント) となった。 2.内政 (1)ダバロス大統領府社会文化局長の辞任 13日,バチェレ大統領の実の息子であり,バチェレ第二次政権では大統領府 社会文化局長(ファーストレディが務めることが慣例のポスト)を務めていた セバスティアン・ダバロス氏が,不適切な手法での企業経営に関わっていたと して,大統領府社会文化局長を辞任した(注:2月6日,「ダ」氏の妻が経営 するCaval社(コンサルタント業,資本金600万ペソ(約1万米ドル)) が,2013年12月後半に,第6州マチャリ市に44ヘクタールの土地を購 入するため,チリ銀行から65億ペソ(約1000万米ドル)の融資を受けて いたことが明らかとなった。後にその土地は用地変更が行われ,95億ペソで 売却され,Caval社には約25億ペソの利益が発生した(「ダ」氏は,2 012年7月から2014年2月まで社員として同社に所属)。「バ」大統領 にとって,息子夫妻がその立場を利用して利潤追求の手段としてきたことで, 大統領自身のイメージに与える影響が懸念されている。 (2)アルボルノス法務次官の辞任 20日,アルボルノス法務次官(DC:キリスト教民主党)が,次官就任前ま で行っていた民間での労働問題アドバイザーとしての活動を再開するため,法 務次官を辞任した。「ア」次官は,次官辞任の理由は政治的問題によるもので はないとしているが,その背景には法相との間で軋轢があったと見られている。 (なお,「ア」次官の後任としてバチェレ大統領は3月13日,イグナシオ・ スアレス氏を新たな法務次官に任命した)。 1 3.外交 (1)対ペルー関係:チリによる対ペルー諜報活動疑惑 20日,ペルー海軍士官3名がチリ側からの要請を受けて諜報活動を行ってい たとして,ペルー政府からの抗議文書がチリに接到したことを受けて,同日, チリ外務省が本件に関する声明を発表すると共に,イバラ駐ペルー・チリ大使 等を通した事実確認が行われた。なお本件に関しチリ外務省は,チリが諜報活 動を行っていたというペルーの主張を否定すると共に,チリ政府としてはペル ー政府と共に進めている二国間関係強化のプロセスを継続する意思を有してい る点を強調した(なお,20日にペルー政府から発出された抗議文書に対して は,3月3日に回答文書を送付しているが,ペルー政府はそれに対し再度抗議 文書を送っており,現在,各国において事実関係の調査が進められている)。 (2)チリにおけるUN Women関連ハイレベル会合の開催 ア 会合概要 27-28日,当地においてチリ政府及びUN Women共催のハイレベル会 合「権力及び意思決定における女性:違う世界の構築を目指して("Mujeres al poder y en la toma de desiciones: Construyendo un mundo diferente")」(シ ンポジウム形式)が開催され,バチェレ大統領が議長を務めると共に,潘基文 国連事務総長やムランボ=ヌクカUN Women事務局長,首脳級を含む60 カ国以上の女性リーダーが参加した(また,今般会合に招待されていたものの 都合により出席できなかったメルケル独首相及びヒラリー・クリントン前米国 務長官は同会合へのビデオメッセージを寄せた)。 (イ)行動の呼びかけ(A Call to action)のポイント 同会合にて,①2020年までに,北京宣言で指摘された12の重大問題領域 を完全に履行すること,②女性のエンパワーメントを推進すると共に,女性の 人権を保障し,2030年までに男女間の不平等を解消すること,③男女間の 根本的な格差を解消すること等が盛り込まれた行動への呼びかけ(A Call to action)が採択された。 2
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