所属: 鶴岡工業高等専門学校 創造工学科 機械コース 研究タイトル: 広圧力範囲で作動する真空ポンプの開発 氏名: 矢吹 益久 / YABUKI Masuhisa E-mail: [email protected] 職名: 准教授 学位: 博士(工学) 所属学会・協会: 日本機械学会,日本真空学会 キーワード: 真空ポンプ,希薄気体,表面粗さモデル 技術相談 提供可能技術: ・真空ポンプの開発 ・真空システム 研究内容: 広圧力範囲で作動する真空ポンプの開発 脱原発で更に注目度が上がっている太陽電池や完全地上波デジタルで急がれている液晶ディスプレイ産業には真 空技術が必須であり、これに対応した真空ポンプの開発が急がれている。現在、高真空領域まで真空環境を作るため には主ポンプと補助ポンプが必要である。本研究では、複合分子ポンプに着目して、1 台で大気圧から高真空領域まで 作動可能な真空ポンプを開発することを目的としている。この真空ポンプの開発が、半導体産業、特に先進的な製品の 製造に極めて大きな効果をもたらすと考えられる。 2006年6月に、日本の製造業の国際競争力の強化と新たな事業の創出を図ることを目的として中小企業ものづくり 基盤技術の高度化に関する法律が施行された。この法律は、支援する技術を特定しているのが特徴で、今19分野が 特定基盤技術になっている。その中に、真空の維持が取り上げられている。この真空の維持に関して、どのような技術 が確立されなければならないか達成目標が掲げられ、1. 生産性の向上、2.生産コストの低減、3.生産装置の最適化の3 つの技術開発課題が決まっている。著者は、3の生産装置の最適化の中の、大気圧から高真空まで排気できる真空ポ ンプの開発に着目している。この条件に現在、最も近いのが複合分子ポンプである。複合分子ポンプは 動翼および静 翼からなるターボ分子ポンプと気体の粘性摩擦を利用して高圧力域において性能を発揮するねじ溝式真空ポンプを直 列に結合して同軸で高速回転させ排気を行うポンプである。ターボ分子ポンプは低圧力域、ねじ溝式真空ポンプは高圧 力域で性能を発揮する。この複合分子ポンプは、広い圧力領域で作動、連続排気、クリーンな真空環境を作成すること ができる為、半導体産業や液晶ディスプレイ産業で多く利用されているが、1台で大気圧から高真空領域まで排気する ことが不可能である。 著者は、ターボ分子ポンプの研究において従来滑らかな表面が主流であった回転翼、静止翼の表面に粗さを設ける ことで性能が向上することを学術論文で報告している。同様にねじ溝式真空ポンプにおいても回転部に表面処理を施し 研究を行っており性能向上を把握している。 ◎ ターボ分子ポンプの研究においては、これまでのターボ翼の形状は平板形状のみしか製作されていないが、近 年のマシニングセンターの高性能化により、複雑な形状も製作することが可能であると考えられる。その複雑形状のタ ーボ翼を数値解析により最適形状を見つけることで大幅な性能向上が期待され、高真空域まで圧力範囲の拡大が予期 される。 ◎ねじ溝式真空ポンプの研究においては、これまで得られてきた実験値をもとに最適形状を見つけ、大気圧付近の 性能向上を追求する。 これらターボ分子ポンプとねじ溝式真空ポンプの各々で研究を行い個々の性能を向上させ一つに集約することで複 合分子ポンプの性能向上を目指している。 提供可能な設備・機器: 名称・型番(メーカー)
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