「クラスという素敵な森を!」 平成 27 年 5 月 11 日 新年度が始まってからちょうど 1 ヶ月が経ちましたが、君たちのクラスの様 子はいかがでしょうか?賑やかなクラス、シーンとしたクラス、あるいは、和 やかなクラスなのでしょうか。 そう、今、君たちのクラスには、40 人の仲間がいます。その 40 人は、十人十 色と言われるように、顔かたちや性格も違っていて、みんな、それぞれ個性を 持っています。君たちは、学校生活のいろいろな場面で、その40人の個性と 否応なく出会うことになります。そうした個性と個性とがうまく響き合って、 お互いを高め合っていくことが出来れば、それは、実に素晴らしいことだと思 います。 しかし、人と人、個性と個性は、ぶつかり合うことも多くあります。時には、 相手の個性を素直に受けとめることが出来ずに、 「キモイ」、 「うざい」というよ うな心無い言葉を発したり、相手にかなりのダメージを与えてしまったりする こともあります。 どうして、人と人は、ぶつかり合い、上手くいかないことが起きてしまうの でしょうか。そういえば、ある人の詩に、このようなことが書かれていました。 「人というのは、一本の樹(き)のように、自分の個性を主張するために目 に見えない枝を張り出すものだ。だから、身近なもの同士で、許し合えないこ とが多いのは、張り出した枝と枝が深く交わるからだ。そして、いらだって、 身をよじればよじるほど、お互いに枝を傷つけ合い、その枝を折ることになっ てしまう。 」 確かに、この詩人の言葉は、人と人との関わりを的確に捉えたものだと思い ます。でも、私が思うに、他人の枝を傷つけている人は、自分の枝を傷つけて 1 いることに、なかなか気付いていないのではないでしょうか。このことを、し っかりと私たちは自覚しなければならないと思います。 そこで、今日、君たちに投げかけたいことは、君たち一人ひとりの個性とい う枝を、お互いに傷つけたり、折ったりしないようにするには、どうしたらい いのでしょうかということです。 君たちは、どう考えますか?その答えのヒントとなるものが、学年通信に載 っていた生徒の作文に書かれていたので、ここで君たちに紹介したいと思いま す。要約するとこんな内容です。 「ある時、クラスの人から話しかけられて、自分はすごく嬉しかった。まだ 話せていない人がたくさんいるので、話せたらいいなと思う。でも人といきな り話すのは難しいから、あいさつなど今すぐできることから始めていこうと思 う。そのためには、顔と名前を覚えなくては」という内容でした。 この生徒の作文に書かれているように、まずは、クラスの人の顔と名前を覚 えること。次に、いきなり話しかけるのが難しかったら、その人の名前を呼ん で、あいさつから始めてみること。そして、少しずつ、その人と話をし、相手 を理解していくことが大切だと思います。 クラスのみんなが、こうした取組みをしていければ、おそらく、君たち一人 ひとりの個性という張り出した枝は、相手をむやみに傷つけることもなく、う まい具合に相手の枝と交わって、ひいては支え合っていくことになるのではな いでしょうか。 「なんだそんなことか」と思うかもしれませんが、まずは、クラスの人の名 前を覚えること。そして、相手の名前を呼んで、あいさつをすることから始め てみてください。 この単純で簡単なことを、君たちが自然に出来るようになれば、将来的には、 2 40 人という個性的な木が、それぞれ心地よく枝を伸ばしていくことができ、爽 やかな風が吹き抜けるクラスという素敵な森ができると思います。 これから、1 年かけて、みんなの力で、クラスという素敵な森を作っていって ください。 3
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