平成 26 年度卒業式 学長式辞 学長 奥島孝康 卒業生諸君、ご卒業おめでとう。ご両親、ご家族のみなさん、こうして卒業を 迎えられたお子様たちの立派な姿を見て、さぞかしお喜びのことでしょう。心か らお祝い申し上げます。 さて、君たちは、これから未知の世界へ、しかも混迷の世界へと旅立つことに なります。しかし君たちは、行きづまることがきっとあるでしょう。打ちひしが れることもあるでしょう。そんなとき、君たちには、4 年間友人たちと楽しく過ご したこの母校があることを思い出してください。そして、このなつかしいキャン パスに立ち戻り、心身をリフレッシュして再び社会へ復帰するのです。君たちは、 これまで「アカデミー」という機能集団に属していました。しかし、君たちは同 時に「アルマ・マーター」という共同体に属し、生涯にわたる校友の一員でもあ るのです。どうか、そのことを思い出し、時にはこのキャンパスを訪れ、元気を 取り戻してください。この思い出のつまったキャンパスに立てば、必ずや君たち はあの楽しかりし学生時代を思い出し、心が癒され、もう一度世の中に挑戦する 勇気を取り戻すことができるでしょう。 ここ小山の地は、かつて鎌倉武士の本拠地であり、司馬遼太郎の言うところに よれば、日本人の原型である「武士」を産み出した土地であります。その意味で、 君たちは武士の志を承け継ぐ者としての誇りをもって生きて下さい。武士はなに よりも「義」を重んじました。義とは、困難であっても正しい道をあえて選ぶ人 間の生き方を意味します。君たちも世渡り上手に生きようなどと安易な生き方を 選ぶのではなく、信念をもって正々堂々と胸を張って生きてゆくのです。それで こそ、鎌倉武士の志を承け継ぐ者です。それでこそ白鷗大学の卒業生です。吉川 英治はその代表作である『宮本武蔵』をこう結んでおります。 「潮騒は世の常であ る。波にまかせて、泳ぎ上手に、雑魚は歌い雑魚は踊る。けれど、誰か知ろう。 百尺下の水の心を、水のふかさを。」 本学のモットーは君たちもよく知っている「プルス・ウルトラ(さらに向うへ)」、 つまり“Let’s go beyond borders”です。君たちは、このモットーを生涯忘れず、 社会でもチャレンジの姿勢を忘れないでください。吉川英治は、その愛娘を嫁に 出すとき、こう謳いました。「菊根分け あとは自分の土で咲け」と。さあ諸君、 これからは自分の力で生きるしかないのです。しかし、本学のモットーを胸に抱 いて生きる限り、どんな困難があろうとも立派に生き抜くことができるはずです。 諸君の社会でのご活躍を心から期待しております。諸君、がんばれ!
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