チタノセン錯体上で起こる炭素−炭素結合切断と生成を 用いたインデン

第 25 回記念福岡シンポジウム Poster 発表要旨
チタノセン錯体上で起こる炭素−炭素結合切断と生成を
用いたインデン誘導体の合成反応
Synthesis of Indene Derivatives via Carbon—Carbon Bond
Cleavage and Formation on Titanocene Complex
水上 雄貴 1、宋 志毅 1、中島 清彦 2、高橋 保 1(北大触セ 1・愛知教大 2)
炭素−炭素結合切断反応は、有機化学における未開拓な素反応として近年大きな注目を集めてい
る。しかし、通常は反応性が低い炭素−炭素結合を活性化するのは難しく、これを効率的に有機合
成に用いることは挑戦的なテーマとされてきた。
当研究室ではこれまでに、チタナシクロペンタジエン 1 に対し種々の反応剤を加えると、Cp 配
位子とブタジエン部位のカップリング反応が進行したのち、様々な炭素−炭素結合切断反応が起こ
ることを見出している。この炭素−炭素結合の切断と生成を用いることで、従来法では合成が困難
であったインデン誘導体の合成に成功している。錯体 1 に対し反応剤として酸化剤やアゾベンゼン
を加えると、対応する四置換インデン誘導体が生成する[1, 2]。
本研究では、チタノセン錯体の多様な反応性を明らかにするために反応剤・添加剤の検討を行っ
た。その結果、反応剤にアゾベンゼン、添加剤としてトリメチルホスフィンを用いると、ジエン部
位と置換基の間の炭素−炭素結合がひとつ切断され、三置換インデン誘導体 2 が得られることを見
出した[3]。本発表では、三置換インデン誘導体合成の反応機構からわかる反応剤・添加剤の役割に
焦点をあて、なぜ三種類のインデン誘導体の作り分けが可能になったのかについて報告する。
<参考文献>
1)Takahashi, T.; Kuzuba, Y.; Kong, F.; Nakajima, K.; Xi, Z. J. Am. Chem. Soc. 2005, 127, 17188.
2)Takahashi, T.; Song, Z.; Hsieh, Y.-F.; Nakajima, K.; Kanno, K. J. Am. Chem. Soc. 2008, 130, 15236.
3)Mizukami, Y.; Li, H.; Nakajima, K.; Song, Z.; Takahashi, T. Angew. Chem. Int. Ed. 2014, 53, 8899.
発表者紹介
氏名
水上
雄貴(みずかみ
所属
北海道大学 大学院生命科学院
生命医薬科学専攻
学年
D2
研究室
有機合成触媒研究室
ゆうき)