6-アザ-アルテミシニン群の設計と短段階不斉合成法の開発 Design of 6-Aza-artemisinins and Development of Concise Asymmetric Synthetic Route 鈴木峻 1,比留間貴久 2,落合恭平 1,溝口玄樹 2,及川英秋 2,大栗博毅 2 (北大院総化 1,北大院理 2) 現在のマラリア治療では,アルテミシニン 1 の誘導体が第一選択薬となっている。7 つの不斉炭 素を含む四環性の 1 の全合成 1) や酵母を活用した前駆体の生産 2) にも進展がみられるが,1 の供給 は依然として植物からの抽出に依存している。当研究グループでは,骨格/立体化学や活性発現に 重要なペルオキシド架橋の導入位置を系統的に改変した 1 の四環性アナログ群を設計し,迅速に合 成した(全 7 工程)3)。この第一世代の骨格多様化合成で創出した天然物アナログ群の中から,1 よ りも優れた抗アフリカ睡眠病 (トリパノソーマ症) 活性を発現するリード化合物を数種類見出した。 しかし一方で,第一世代アナログ群の抗マラリア活性は 1 に及んでいない。 第二世代アナログの創製に向け,1 の構成要素を簡略化せずに,母骨格の 6 位不斉炭素を窒素に 置換した 6-アザ-アルテミシニン群 2 を設計した。元素置換により,(1) 迅速合成(4-5 工程) ,(2) 水 溶性・薬物動態最適化,(3) 機能性ユニット(R1 ‒ R3)の連結等が期待される。実際に我々は,ア ミン,アルデヒド,アセチレンを有する三種の構築ブロックの連結からわずか 4 工程で,9-デメチ ル-6-アザ-アルテミシニン誘導体 3(ラセミ体)の合成に成功している。現在,不斉触媒を活用し, 光学活性な 3 の合成を検討しているので,最新の成果を報告する。 <参考文献> 1) (a) Avery, M. A.; Chong, W. K. M.; Jennings-White, C. J. Am. Chem. Soc. 1992, 114, 974. (b) Zhu, C.; Cook, S. P. J. Am. Chem. Soc. 2012, 134, 13577. 2) 3) Paddon, C. J.; Westfall, P. J.; Pitera, D. J.; Benjamin, K.; Fisher, K.; McPhee, D.; Keasling, J. D.; Newman, J. D. et al. Nature 2013, 496, 528. Oguri, H.; Hiruma, T.; Yamagishi, Y.; Oikawa, H.; Ishiyama, A.; Otoguro, K.; Yamada, H.; Ōmura, S. J. Am. Chem. Soc. 2011, 133, 7096. 発表者紹介 氏名 鈴木 峻(すずき しゅん) 所属 北海道大学大学院総合化学院 総合化学専攻 生物化学コース 学年 修士課程 2 年 研究室 有機反応論研究室 E-mail [email protected] 研究室紹介写真
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