総合理工学研究科 フォトニクス分析の新たなブレークスルー 材料・化学コース セレンの生理作用とタンパク質フォールディング 有機化学の技法を用いて生命現象の解明に挑む キーワード : セレン、有機合成、タンパク質、分子シミュレーション 主研究担当者 :岩岡 道夫(教授) どのような研究課題に取り組むのか Background and Motivation 生命現象を原子レベルから明らかにすることを目 的として、①含セレン酵素のモデル反応系の創生、 ②タンパク質分子の立体構造の安定化の仕組みや それが自然に折りたたまれる原理の解明、③含セレ ンアミノ酸の有機合成と応用、④単一アミノ酸ポテン シャル力場(SAAP)の開発などを行っています。 岩岡研究室では、有機化学の技法を用いて、生命 現象の解明に実験と理論の両面からアプローチして います。 どのような点が新しいか Originality セレンは第 16 族の元素であり、生物の生命維持 に必須の微量元素のひとつです。セレンは酸化も還 元もされやすく、化学的に特異な性質をもっていま す。セレン原子のもつこのようなユニークな特性を利 用することで、これまでの研究では不可能であった 様々な化学反応や生化学反応を行うことができるよ うになりました。また、単一アミノ酸の構造ポテンシャ ルに注目した新しいタンパク質シミュレーション技術 の開発も進めています。 研究展望とインパクト Impact and Perspective 当研究室では、特殊なアミノ酸であるセレノシステ インの新規合成法の開発に成功し、これを応用して セレノシステインを含むペプチドの合成を進めていま す。このようなペプチドは、セレンの生理活性の解明 およびセレンを含む抗酸化剤の開発に役立ちます。 また、タンパク質のフォールディング機構を明らかに するために、独自に開発した実験と理論を用いて研 究を進めています。この研究は将来、人工酵素の開 発や病気のメカニズムの解明に役立ちます。 研究グループからの論文 S. Yoshida, et al., Angew. Chem. Int. Ed., 2011, 50, 2125–2128. K. Arai, K. Dedachi, M. Iwaoka, Chem. Eur. J., 2011, 17, 481–485. K. Arai, F. Kumakura, M. Iwaoka, Biochemistry, 2010, 49, 10535–10542. M. Iwaoka, et al., Bull. Chem. Soc. Jpn., 2010, 83, 935–941. F. Kumakura, et al., Eur. J. Org. Chem., 2010, 440–445. M. Iwaoka, et al., J. Comput. Chem., 2009, 30, 2039–2055. M. Iwaoka, et al., J. Biochem., 2008, 144, 121–130. ◆電子メール:miwaoka※tokai.ac.jp(※印を@へ変更して下さい)
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