企業法第2問解答のみ

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平成 27 年度論文式本試験解答・企業法・第2問
第 2 問 答案用紙
(企 業 法)
(注)解答は,この答案用紙1枚で行うこと。
問1 1
取締役その他の役員は、株主総会において株主が質問した事項について、説明する義務を負う
(314 条本文)。当該事項が株主総会の目的である事項に関しないものである場合は、説明義務を負わない
が、取締役選任議案について会社の業績改善に向けた考えは議題に関するものである。そして、設問に拒
否に正当な理由がないとあるので、説明義務が存在したのにこれをしなかったものである。従って、説明
をさせることなく、質疑を打ち切って決議をしたことは、決議の方法の法令違反である。
2
株主総会決議の有効無効は、会社を巡る多数の関係者の利害に影響を与えるので、一般原則による処
理に委ねることは法的安定性を害し適当でない。そこで、比較的軽微な瑕疵については、会社法は、会社
を巡る法律関係を画一的に処理するとともに、既存の法律関係をできるだけ尊重し、法律関係の安定を図
るため、株主決議取消しの訴え成訴訟の制度を設けている(831 条)。すなわち、招集手続や決議の方法の
法令違反等の軽微な瑕疵がある決議については、訴えによってのみその瑕疵を主張することができるもの
とし、主張権者を一定範囲に制限し、主張期間を決議の日から 3 か月に限ることとして、瑕疵の主張を可
及的に制限している(831 条 1 項)
。本問の説明義務違反は、831 条 1 項 1 号の取消原因に該当する。本問
の場合、違反が重大でないとはいえないから、裁量棄却(831 条 2 項)はできない。
株主総会に欠席していた株主であっても決議の公正を求めるための提訴権を害される理由はないので、
問題ない。そして、平成 26 年 8 月下旬は、提訴期間内である。
3
従って、株主Cは、裁判所に対し、説明義務違反を理由として、会社を被告として、本件選任決議の
取消しの訴えを提起すればよい。取消判決が出て確定すれば、本件選任決議は、効力を失う(839 条)。
問2
株主総会決議取消しの訴えは、前記のとおり、決議の日から 3 ヵ月以内に提訴することを要する。
これは、決議の効力を長期間不安定なものとすることを排除し、法律関係の安定を重視したのである。従
って、決議の日から 5 か月を経過した本問では、もはや、決議取消しの訴えを提起することはできない。
しかし、招集通知の欠缺が 70%と大量であった本件については、そのようにして開催された合議体は、法
律上の株主総会とみることができず、株主総会決議は不存在となる。従って、この場合、その決議の効力が
ないと主張する者は、決議の効力がないことを前提として法的主張をすればよいし、訴訟を提起して争う
というのであれば、株主総会決議不存在確認の訴えを提起することができる(830 条)。不存在を確認する
判決が出て確定すれば、対世効が発生する(838 条)
。
評点
- 1 -
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平成 27 年度論文式本試験解答・企業法・第2問
第 2 問
全体講評
後日掲載します。
合格ライン
後日掲載します。
解
説
解答参照。
以
- 2 -
上