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<TAC>無断複写・複製を禁じます(2016年合格目標)
不動産鑑定士試験
アクセス短答-鑑定理論
第1回
問 題
1.これは不動産鑑定士試験,鑑定評価に関する理論の問題です。
2.択一式の全20問,解答時間は60分,50点満点です。
3.解答は 所定の解答用紙 ※ に記入してください。
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4.解答用紙提出に関する注意事項
本
<教室生> 講義を欠席した場合は自己採点とさせていただきます。
窓口への後日提出は受け付けておりません。
<通信生> 解答用紙記載の「答案提出締切日」までに郵送でご提出ください。
窓口への提出は受け付けておりません。
5.成績データ(平均点等)はマイページにて公表いたしますが,個人別成績表,成
績優秀者ランキングはございません。あらかじめご了承ください。
※ 解答用紙は当冊子の中央にあります。取り外して解答し,ご提出ください。
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〔問題1〕
不動産とその価格に関する次のイからホまでの記述のうち,正しいものはいくつある
か。
イ
不動産の価格は,その不動産の効用及び相対的稀少性並びにその不動産に対する有効需要の
三者のうち,いずれかの作用によって生ずる不動産の経済価値を,貨幣額をもって表示したも
のである。
ロ
上記イの三者のうち,効用とは,我々の欲求を充足し得る不動産の能力(有用性)のことを
意味しており,その不動産にわれわれが働きかけることによって日常生活や経済活動に役立て
ることができるとき,その不動産に経済価値が生ずる。
ハ
上記イの三者のうち,相対的稀少性とは,我々の欲求との相対的関係において不動産が有限
であることを意味しており,その不動産を手に入れるためには何らかの経済的対価等を支払わ
なければならないとき,その不動産に経済価値が生ずる。
ニ
上記イの三者のうち,有効需要とは,購買力の裏付けを持った買手による不動産に対する需
要のことを意味しており,全額自己資金による購買が可能な買手が市場に存在しなければ,そ
の不動産に経済価値は生じない。
ホ
土地を我々人間が各般の目的のためにどのように利用しているかという土地と人間との関係
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は,不動産のあり方,すなわち,不動産がどのように構成され,どのように貢献しているかと
いうことに具体的に現れる。そして,この不動産のあり方を定性的に分類したものが不動産の
種別及び類型といえる。
(1) 1つ
(2) 2つ
(3) 3つ
(4) 4つ
(5) すべて正しい
〔問題2〕
土地の特性に関する次のイからホまでの記述のうち,正しいものをすべて掲げた組み
合わせはどれか。
イ
土地は,自然的特性として,地理的位置の固定性,不動性(非移動性)
,永続性(不変性)
,
不増性,個別性(同質性,代替性)等を有し,固定的であって硬直的である。
ロ
土地は,人文的特性として,用途の多様性(用途の競合,転換及び併存の可能性)
,併合及び
分割の可能性,社会的及び経済的位置の可変性等を有し,可変的であって伸縮的である。
ハ
土地の自然的特性は,土地それ自体に内在する固有の特性といえ,土地の人文的特性は,土
地に対してわれわれが種々の働きかけをする場合において,われわれと土地との関係として生
じてくる特性といえる。
ニ
建物は,土地と異なり,永続性を有しないことから,建物を含む不動産の鑑定評価に当たっ
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て収益還元法を適用する際には,有期還元法を採用しなければならない。
ホ
用途の多様性は,土地だけでなく建物についても認められることから,対象不動産の最有効
使用を,「店舗兼事務所ビルの敷地としての使用」というように複数の用途が併存する建物を
前提として判定することもあり得る。
(1) イとロ
(2) ロとニ
(3) イとロとハ
(4) ロとハとホ
(5) すべて正しい
〔問題3〕
不動産の地域性に関する次の記述のうち,正しいものはどれか。
(1) 対象不動産が属する地域を分析することを地域分析といい,対象不動産が属する地域以外の
地域を分析することを市場分析という。
(2) 不動産は,他の不動産とともにある地域を構成し,その地域の構成分子としてその地域との
間に,協働,代替,競争等の関係にたっている。
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(3) 不動産は,他の不動産とともにある地域を構成し,その地域の構成分子としてその地域内の
他の構成分子である不動産との間に,依存,補完等の関係にたっている。
(4) 個々の不動産の経済価値は,通常,その不動産の属する地域の特性の影響の下で形成される
ことから,不動産の鑑定評価に当たっては,専門職業家である不動産鑑定士自らが当該不動
産を購入することを想定のうえ,地域要因を分析し,対象不動産の属する地域の特性等を把
握しなければならない。
(5) 個々の不動産の経済価値は,通常,その不動産の属する地域の特性の影響の下で形成される
ことから,不動産の鑑定評価に当たっては,地域要因を分析し,対象不動産の属する地域の
特性等を把握してから,対象不動産の最有効使用を判定しなければならない。
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不動産鑑定士試験
アクセス短答-鑑定理論
第1回
解 答
【
アクセス短答
鑑定理論
第1回
正
問
題
見
解答
解
難
易
度
本
1
不動産とその価格
3
B
2
土地の特性
4
C
3
不動産の地域性
5
B
】
あ
な
た
の
解
答
難易度
A…易しい問題
B…合否の分かれ目となる問題
C…難しい問題
チ
ェ
ッ
ク
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〔問題1〕
イ
×
正解(3) 3つ
Bランク
不動産の経済価値は三者の相互作用によって生ずるものであり,三者のうちいずれかが
欠けていると経済価値は生じない。
ロ
○ 本肢のとおり。
ハ
○ 本肢のとおり。
ニ
×
正常価格(「基準」総論第5章)の前提条件と同様,必ずしも「全額自己資金」である必
要はなく,適切な借り入れと自己資金とによって資金調達ができればよい。
ホ
○ 本肢のとおり。不動産の種類(
「基準」総論第2章)のうち,
「種別」は「貢献」に,
「類
型」は「構成」にそれぞれ対応しているものといえる。
〔問題2〕
正解(4) ロとハとホ
Cランク
イ
×
「同質性,代替性」ではなく,
「非同質性,非代替性」が正しい(「基準」総論第1章)
。
ロ
○ 本肢のとおり(
「基準」総論第1章)
。
ハ
○ 本肢のとおり。
ニ
×
建物を含む不動産であっても,残存耐用年数が相当程度見込まれる場合等には,還元利
回りに償却率を含める等の方法により,将来の建替えを想定した永久還元法を適用して収
益価格を求めることができる。
ホ
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○ 本肢のとおり。
〔問題3〕 正解(5) Bランク
(1) × 対象不動産の属する地域やその周辺の地域等について分析することを地域分析,対象不
動産に係る市場について分析することを市場分析という。
(2) × 不動産は,その自然的条件及び人文的条件の全部又は一部を共通にすることによって,
他の不動産とともにある地域を構成し,その地域の構成分子としてその地域との間に,
「依存,補完」等の関係に及びその地域内の他の構成分子である不動産との間に「協働,
代替,競争」等の関係にたち,これらの関係を通じてその社会的及び経済的な有用性を発
揮するものである(
「基準」総論第1章)
。
(3) × 上記と同じ。
(4) × 個々の不動産の経済価値は,通常,その不動産の属する地域の特性の影響の下で形成さ
れることから,不動産の鑑定評価に当たっては,不動産鑑定士が「現実の市場参加者」の
観点から地域要因を分析し,対象不動産の属する地域の特性等を把握しなければならない。
(5) ○ 本肢のとおり。個々の不動産の最有効使用は,通常,その不動産の属する地域の特性の
影響の下にあることから,最有効使用の判定に当たっては,まず,その不動産の属する地
域の特性を明らかにしなければならない。
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不 動 産 鑑 定 士 試 験
アクセスα-
鑑定理論〔論文〕
第1回
(制限時間60分,満点50点)
問
題
不動産の価格を形成する要因(以下,
「価格形成要因」という。
)に関する次の問に答えなさい。
(1) 価格形成要因とは何か,簡潔に述べなさい。
(2) 一般的要因の定義を述べなさい。また,一般的要因の地域的偏向性とは何か,簡潔に述べなさ
い。
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【解説】
①
出題分野
本問は,
「基準」総論第3章(価格形成要因)からの出題である。
学習に当たっては,まず価格形成要因の意義・各要因の定義及び具体例をきちんとおさえるこ
とが大切だが,学習進度に応じ,各要因の鑑定評価上の意義(価格への影響を分析→最有効使用
を判定→各評価手法に分析結果を反映等)も整理しておくこと。
②
答案構成
小問(1)
総論第3章の前文を述べればよい。
小問(2)
一般的要因の定義は,
「基準」に即して確実に述べること。
地域的偏向性は,地域の種別によって一般的要因の作用の程度が異なるというものであり,解
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答例のように一般的要因の具体例を挙げて説明するとよい。
【採点基準】
小問(1)
価格形成要因の意義
…………………………………………………………………
3点
小問(2)
一般的要因の定義と分類
……………………………………………………………
3点
…………………………………………………………
4点
………………………………………………………………………
3点
一般的要因の地域的偏向性
小問(3)
地域要因の定義
地域の種別と地域要因との関係
……………………………………………………
住宅地域・商業地域・工業地域の定義と地域要因の具体例
5点
……………………
9点
……………………………………………………………………
3点
小問(4)
個別的要因の定義
建物とその環境との適合の状態と価格との関係
…………………………………
5点
……………………………………
5点
………………………………………………
5点
……………………………………………………………………………………
5点
建物等と敷地との適応の状態と価格との関係
賃貸経営管理の良否と価格との関係
裁量点
計
50 点
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【解答例】
小問(1)
不動産の価格を形成する要因(価格形成要因)とは,不動産の効用及び相対的
稀少性並びに不動産に対する有効需要の三者に影響を与える要因をいう。不動産
の価格は,多数の要因の相互作用の結果として形成されるものであるが,要因そ
れ自体も常に変動する傾向を持っている。したがって,不動産の鑑定評価を行う
に当たっては,価格形成要因を市場参加者の観点から明確に把握し,かつ,その
推移及び動向並びに諸要因間の相互関係を十分に分析して,前記三者に及ぼすそ
価格形成要因の意
義
「基準」総論第3章
の影響を判定することが必要である。
価格形成要因は,一般的要因,地域要因及び個別的要因に分けられる。
小問(2)
一般的要因とは,一般経済社会における不動産のあり方及びその価格の水準に影響を
与える要因をいう。それは,自然的要因,社会的要因,経済的要因及び行政的要因に大
別される。
見
本
一般的要因の定義
と分類
「基準」総論第3章
不動産は,他の不動産とともに,用途的に同質性を有する一定の地域(用途的地域)
を形成し,これに属することを通常とするが,一般的要因は,不動産の価格形成に関し
て,用途的地域の種別ごとに異なる影響を与えるとともに,同種別の地域に対しては同
質的な影響を与える傾向があり,これを一般的要因の地域的偏向性という。例えば,
「
住宅ローン金利水準の低下」や「住宅用地の課税標準の特例措置の施行」等の経済的要
因や行政的要因は,住宅地域内の不動産価格や需給動向に対して直接的な影響を与える
が,工業地域や農地地域等には直接的な影響を与えない。
【次回アクセス出題予告】
総論第5章を中心に
アクセスα鑑定理論
論文
第2回
一般的要因の地域
的偏向性