レジュメ

所得税法ーー問題・解答
所
得
− 121 −
<TAC>無断複写・複製を禁じます(税16)
所上(8)
〔第一問〕 -50点-
問1
所得税法60条の2及び60条の3に規定される国外転出をする場合の譲渡所得等の特例及
び贈与等により非居住者に資産が移転した場合の譲渡所得等の特例の制度について説明し
なさい。
問2
事業所得を営む居住+者甲は、平成26年分の所得税に係る申告書を平成27年3月13日に
提出し、所得税額を納付していたが、平成27年分の所得税については、確定申告を行わず
税務署長による決定の処分を受けていた。
この度、平成28年5月9日に、税務署の調査官より、平成26年分の事業所得の金額の計
算上計上した必要経費が過大であると指摘を受けたことから、修正申告に応じ、増差税額
を直ちに納付した。
この場合において、以下の問に答えなさい。
⑴ 居住者甲が平成26年分の所得税につき、修正申告により納付すべき附帯税について説
明しなさい。
⑵ 平成26年分の所得税について修正申告をした結果、平成27年分の事業所得に係る必要
経費が増加した場合に甲が平成27年分の所得税について行うことができる措置があれば、
その措置について説明しなさい
-
A
1
-
− 124 −
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所上(2)
(2) 所得税の修正申告により納付した延滞税
28,800円
(3) 同業者団体の加入金等
231,000円
本年9月に、同業者で組織する団体に加入したことにより支払ったもので、上記金額は、
加入金 180,000円と1年分の年会費 51,000円の合計額である。
(4) 会館建設負担金
500,000円
これは、上記(3)の団体が建設する集会用建物(本来の用に供されるものであり、耐用年
数38年)の建設費用として、甲が本年10月に支払ったものである。
なお、この建物の建設は、本年8月に着手されている。
(5) 損害保険料
1,170,000円
これは、甲が所有する店舗建物を保険目的とした損害保険契約に係る保険料として、本年
4月に支払ったものである。
この保険契約は、
保険期間5年の一時払い損害保険契約であり、
上記金額のうち 780,000 円
は積立保険料に相当する金額である。
(6) 固定資産税
486,000円
これは、甲が事業の用に供している固定資産に係るものとして、本年4月に通知された金
額のうち、本年中に納付した金額である。
なお、第4期分 162,000円は翌年2月が納期であるため、納付していない。
(7) 接客マナー研修費用
100,000円
これは、より高い接客能力を身につけさせるため、従業員(青色事業専従者である妻を含
む。
)を接客マナー研修に参加させたことにより支払ったものである。
1人あたりの費用は 20,000円で、全員同額であった。
8.営業諸経費には、次の資産に係る減価償却費が計上されていない。
なお、本年中に取得した資産については、取得後直ちに事業の用に供している。
資
産
取得年月
取得価額
年初未償却残額
法
定
耐用年数
備
考
店
舗
平成24年5月
34,000,000円
27,766,666円
20年
倉
庫
平成17年1月
9,000,000円
4,431,600円
15年
(注1)
本年2月
1,300,000円
───
4年
(注2)
本年4月
3,000,000円
───
6年
(注3)
器具備品C
車
両
(注1)
本年9月に不動産業者に譲渡している。(上記5(2)参照)
なお、年初未償却残額は、家事用として使用していた期間の減価の額を適正に考慮
した金額である。
(注2)
器具備品Cは、新品の電子計算機である。
なお、特別償却を選択するものとする。
-
A
4 -
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〔第二問〕
所上(4)
-50点-
居住者甲(年令66歳)の平成28年(以下「本年」という。
)分の所得税の計算に関する事項は次
のとおりである。これに基づき、甲の本年分の確定申告により納付すべき所得税の額を、各種所
得の金額、課税標準等の計算の過程を明らかにして、甲に最も有利になるように計算しなさい。
なお、復興特別所得税については考慮しないものとする。
【資料1】
甲は物品販売業を営んでおり、それに関する資料は次のとおりである。
損
益
計
自平成28年1月1日
年 初 商 品 棚 卸 高
商
品
営
仕
入
業
当
年
合
利
算
至平成28年12月31日
3,090,700
商
高
15,924,000
雑
費
益
計
書
高
30,721,190
入
1,094,900
10,378,507
年 末 商 品 棚 卸 高
2,840,000
5,572,533
貸 倒 引 当 金 戻 入
309,650
34,965,740
品
売
上
(単位:円)
収
合
計
34,965,740
(付記事項)
1
甲は平成9年分以後引き続き青色申告書提出の承認を受けている。
2
甲は甲の営む業務に関し、帳簿書類を備え付けて、取引の一切を正規の簿記の原則に従って
詳細に記録し、これに基づいて貸借対照表及び損益計算書を作成している。
3
甲は棚卸資産の評価方法は最終仕入原価法に基づく原価法を選定している。
4
甲は、開業以来Y市に第1店舗を構え、業務を営んでいたが、業績が好調なため、平成26年
4月にZ市に第2店舗を構え、以後業務を営んでいる。
甲は、従来より償却方法について、旧定率法を選定していたが、第2店舗の取得に際しては、
特に選定届出は行っていない。
5
商品売上高は適正額である。
6
雑収入には次のものが含まれている。なお、源泉徴収の対象となるものについては、源泉徴
収税額控除後の金額である。
⑴
納税準備預金の利子
15,400円
租税納付目的以外の目的で引き出されたものはない。
⑵
A㈱からの交付金
456,000円
これは、本年3月にA㈱(非上場)が解散したことにより受けたものである。
なお、解散直前におけるA㈱の資本金等の額は24,000,000円、発行済株式総数は200,000
株であり、甲は3,000株(1株当たりの取得価額は200円)を所有していた。
※
A㈱の純資産減少割合は1.000であるものとする。
-
A
2 -
− 125 −
− 126 −
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所上(2)
(注3) ゴルフ会員権は、預託金方式のものであり、本年6月に会員権業者を通じて譲渡
したものである。
〔資料Ⅳ〕
甲は、平成18年8月に相続により取得したZ土地を、本年10月にT市に贈与している。この土
地は父が平成元年に 3,000,000円で取得したものであり、T市に贈与した時の価額は 10,000,000
円である。
〔資料Ⅴ〕
甲は本年10月に盗難に遭い、現金と長女所有のダイヤモンドの指輪1点が盗まれた。
資
産
所有者
取 得 価 額
損害額(時価)
現
金
甲
───
2,962,000円
指
輪
長
女
200,000円
200,000円
〔資料Ⅵ〕
甲は本年中に上記のほか、次の支出をしている。
1.医療費
(1) 妻に係るもの
500,000円
これは、妻の歯の治療(保険のきかない「インプラント治療」である。)に係るものである。
(2) 妻の母に係るもの
1,100,000円
これは、妻の母が風邪をこじらせて病院に入院したことにより支払ったものであり、快適
な入院生活を送るために個室に移ったことによる差額ベッド代 300,000円が含まれている。
なお、入院給付金(差額ベッド代に係るものではない。)として 530,000円を受取っている。
2.社会保険料
647,000円
これは、甲に係るもの 300,000円と同一生計親族に係るもの 347,000円の合計額である。
3.a生命保険料
235,200円
これは、甲を被保険者、妻を受取人とする一般の生命保険契約に係る保険料であり、前納割
引料 4,800円控除後の金額である。
この生命保険契約は、本年10月に締結したものであり、毎月20,000円支払うべきものを1年
分支払ったものである。
4.b生命保険料
158,000円
これは、甲を被保険者及び受取人とする個人年金契約に係る保険料であり、平成20年に締結
したものである。
5.心身障害者扶養共済制度の掛金
160,900円
これは、障害者である次女に係るものである。
-
A
6 -