肛門部疾患について 内痔核(イボ痔)編 大きくわけて肛門部疾患には、痔疾患、皮膚疾患、性行為等による感染、腫瘍等があ ります。この中から痔疾患について説明いたします。痔疾患は 1)内痔核、2)外痔核、 3)痔廔および肛門周囲膿瘍、4)裂肛などがあげられます。いずれか判明しづらい疾 患も、合併している疾患もあります。 今回は主に内痔核の説明をいたします。内痔核は正常の人でも 95%以上の有病率と 考えて下さい。その理由は人間が二足歩行するからだと言われています。内痔核を形成 する痔静脈叢には静脈の弁が存在せず、また重力の影響を直接受け血液が鬱滞するのが その原因だと言われています。内痔核は肛門内に存在するだけでは症状も無いので治療 対象となりません。また触っても分かりません。ただ、肛門管内や肛門外にまで下りて くると、疼痛が出現したり、外痔核を伴ったり、出血したりして治療対象となります。 外痔核を伴う急性期の内痔核の場合は、急な痛みと腫れが出ますが、冷凍療法と薬物療 法でかなり良くなり、さらに当院の保存的治療で発症から約 2~4 週で軽快します。し かし、慢性化すると排便時に肛門外へ脱出したり、また徐々に大きくなってきたりしま すので注意が必要です。内痔核のみの肛門外への脱出は意外に少なく、大概の場合は外 痔核を合併します。しかしそのような場合でも、手で肛門内に内痔核、外痔核を入れる 事が可能な場合には、痛みの少ない4段階注射法で加療する事が可能です。手術時間は 15~30 分です。 10 年以上にわたり、内痔核の肛門脱で悩まれている患者様がこの治療法で治られて いくのを目にして私共も喜んでいます。また、当院では医師だけでなく、看護師からも 詳しい説明を聞くことができるので、患者様には安心して治療を受けていただけます。 次回は、主に外痔核の説明を予定しています。 肛門外科:院長 東郷杏一
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