No.261 ニューヨーク駐 駐在 在員 員事 事務 務所 所情 情報 報 平成 27 年 11 月 2 日 伊予銀行 ニューヨーク駐在員事務所 <経済> 米国経済 米国経済は悪くない状態で、ようやくしっかりしてきたように感じます。緩やかな成 長、ということになるのだと思います。 8 月の下旬には、①米国の利上げ、②欧州債務問題、③中国の景気、というマーケッ ト参加者の心にあった懸念が顕在化し、マーケットは大荒れになりました。その後、① ~③の問題は解決されたわけではなく、そのまま存在しているのにもかかわらず、落ち 着きを取り戻しています。 振り返ると、昨年 12 月頃に米銀が個人に対してようやく(数年ぶりに)前向きに融 資をし始めました。今年 3 月頃にはミドルクラスの雇用が動き始めました。(私の家の 周りのアメリカ人で数年間仕事がなかった人たちも、朝、会社に行き始めました。)エ ネルギー、自動車、航空機以外は全然良くなかった米国経済が、その頃からようやくし っかりしてきたように感じました。 一方、エネルギー関連は 3 ヶ月くらい前から一段と悪くなった気配があるようです。 しかし、同じシェール絡みでも化学関連は昨年 12 月の原油安以降も、さほど大きく落 ち込むことなくプロジェクトが着々と進んでいます。 また、米国で 20 年ほど洋服を販売してコミッションだけで生き抜いている知人がい るのですが、彼の会社(米国の会社)の売上成績からみると、米国の景気は強いという ほどではないにしても悪くはない、まずまずだといいます。 今年 12 月か来年のどこかで断行されると見込まれる米国の金利正常化のスタートを 無難に何とかこなして、米国経済がまずまずの緩やかな成長を続けてくれることを祈る のみです。 <ビジネス> 就労ビザ取得の難しさ 米国で事業展開を考えるに当たって、検討段階でついつい忘れてしまいがちなのが、 米国の就労ビザ取得の難しさです。聞くところによると、アジア各国では就労のための ビザが海外進出のネックになるということはないようで、アジアに進出した後、米国進 出を検討する企業の場合に、米国進出検討段階では、ノーマークになっていることがあ るようです。 最近、米国展開・進出を検討している会社の話を(途中から相談を受けて)聞いてい て、「ところでビザは大丈夫ですか?どなたか米国生まれで二重国籍を持っているよう な人が社内にいるのですか?」というところで、振り出しに戻るという事案がありまし た。 1 No.261 ニューヨーク駐 駐在 在員 員事 事務 務所 所情 情報 報 平成 27 年 11 月 2 日 伊予銀行 ニューヨーク駐在員事務所 米国への事業展開にあたって、本来取得すべきビザは一般には「E ビザ」というビザ になります。この E ビザの取得が、リーマンショック以降、かなり厳しくなっていると 言われています。 E ビザの審査には事業計画を提出するのですが、 「(イメージとしては)店をひとつ米 国に作って、そのトップとその家族が食っていける程度の事業計画では、ビザを出して はもらえない」というのです。それよりも大きく事業を拡大していくような事業計画で、 米国でそれなりの雇用を生む…というイメージでなければ、ビザは発行してもらえない というのです。 また、業種別で見ても、リテール関係は特に審査が厳しいそうです。「なぜ米国人を 雇わないのか?」という根本的な観点で厳しくなるのだと思います。 このような状況のため、米国に 2 年前に進出したある日系のリテール企業は、就労ビ ザが取得できない万一の場合に備え、事前に(戦略的に)米国生まれで二重国籍をもっ ている日本人の採用を目指したという話があるくらいなのです。 ニューヨークの特殊性 ある日系企業(中小企業)のニューヨーク営業所長をしていた知人が(とても優秀だっ たので)米国全体のトップになることになり、工場のある LA に引っ越しました。それから 1 年が経ち、ニューヨークに出張でやってきた彼に会ったのですが、彼が「ニューヨークは 米国の他の町とは違う」というのです。 どう違うかというと・・・ ・ニューヨークにはアポイントメントを固めてなくても人が来る。最先端の空気、ビジネ ス、刺激を求めて日本から経営者がニューヨークを訪れる。ニューヨーク営業所長をし ていた頃は、そのような人の案内や同行視察で、私自身も刺激を受け、様々な新しい出 会いがあった。 ・しかし、LA には訪問先を固めている人しか来ない。刺激的な出会いが大幅に減ってしま った。 ・ニューヨークを離れるまで、ニューヨークがそういった意味で米国の中で特殊である、 ということに全く気がつかなかった。 というのです。 私自身を振り返ってみると、ニューヨークでの人との出会いの多さを、漠然と「海外で は普通のこと」というような具合に思っていた節があります。ありがたいことだと肝に銘 じて毎日を過ごし直さねばならないと、反省した次第です。 2 No.261 ニューヨーク駐 駐在 在員 員事 事務 務所 所情 情報 報 平成 27 年 11 月 2 日 伊予銀行 ニューヨーク駐在員事務所 米国の見本市情報(2015 年 11 月~2016 年 1 月) ※上記見本市は予定が変更になる場合もありますのでご留意ください。 Automotive Aftermarket Products Expo (ラスベガス) 11 月 3 日~5 日 【備考】自動補修用交換部品、付属品、修理サービス設備など Ad tech New York (ニューヨーク) 11 月 4 日~5 日 【備考】広告ネットワーク、広告サーバー、アフィリエイト、クリエイティブサービス、出版など FABTECH 2015 (シカゴ) 11 月 9 日~12 日 【備考】溶接装置、産業ロボット、接合材、溶剤、切断機、金属成形装置など Greater New York Dental Meeting 2015 11 月 29 日~ (ニューヨーク) 12 月 2 日 【備考】歯科医療関連の最新製品、技術、サービスなど International WorkBoat Show (ニューオリンズ) 12 月 1 日~3 日 【備考】商業用船舶、海洋機器、関連サービス、各種作業船舶など Art Basel in Miami (マイアミビーチ) 12 月 3 日~6 日 【備考】モダン・近代アート、彫刻、写真、フィルム、ビデオ・デジタルアートワーク POWER-GEN International 2015 (ラスベガス) 12 月 8 日~10 日 【備考】発電設備・装置、電力事業 FAME (ニューヨーク) 1 月 10 日~12 日 【備考】ジュニア・ヤングコンテンポラリーファッション 41st Winter Fancy Food Show – San Francisco (サンフランシスコ) 1 月 17 日~19 日 【備考】専門食品、菓子、チーズ、コーヒー、スナック、自然食品など 3 No.261 ニューヨーク駐 駐在 在員 員事 事務 務所 所情 情報 報 平成 27 年 11 月 2 日 伊予銀行 ニューヨーク駐在員事務所 ★トピックスレポート(NY 現地スタッフ便り)★ 他国から来たファーストフード店 <マクドナルドの新サービス> ファーストフード店の本家とも言えるアメリカで、一番ポピュ ラ ー な の は 、 や は り マ ク ド ナ ル ド で す が 、 最 近 “ All Day Breakfast”というサービスを始めました。しかし、朝限定販売だ った朝食メニューを 1 日中注文できるようにしたところ、店内の 運営がうまくいかなくなったそうです。ニュースや新聞で報じら れていて、新聞記事内では”Disaster”(災難)とまで表現され、 相当現場が混乱しているようです。お店の予想を上回るほど、朝 食メニューが人気なのかもしれません。 そんなチェーン店大国アメリカの大都市・ニューヨークにも、 他国のお店が果敢に参入しています。日本にまだ出店していない と思われる店を 5 つ選んでみましたが、調べてみるともう既に 2 店、日本に進出していました。 < Pink Berry, Simit Sarayi, Kyochon の外観> 4 No.261 ニューヨーク駐 駐在 在員 員事 事務 務所 所情 情報 報 平成 27 年 11 月 2 日 伊予銀行 ニューヨーク駐在員事務所 ・オーストラリアのミートパイ店・Smile Pie (今年 10 月に日本進出) ・舌が痺れる程辛い韓国チキンフィンガー店・Kyochon (今年 9 月に日本進出) ・韓国のフローズンヨーグルト店・Pink Berry ・ベーグル、プレッツェルなどを置くトルコベーカリーカフェ・Sim It Sarayi (アジア圏未展開) ・カナダではおなじみのドーナツショップ・Tim Hortons ニューヨークでは、価格の安さを売りにしている日本の食べ物屋さんをあまり見かけま せん。一時期、牛丼の吉野家が 42 丁目のタイムズスクエアにお店を構えていましたが、数 年前に撤退してしまいました。ファーストフード店価格のお店といえば、金沢に拠点があ るゴーゴーカレーが、マンハッタン内では 4 店舗営業しています。店舗家賃も高いはずな のに定着していて、すごい企業努力だなあと感じます。 讃岐うどんや肉まんなど、気軽に買える日本のチェーン店の味が恋しくなることもあり、 もう少し色々進出してくれたらいいのに・・・と、お店を運営する側は大変に違いないも のの、ついそんな事を考えてしまいます。 5
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