Gard Alert ドゥアラ水路における座礁事故の増加 海図提供: Transas, TX97 こちらは、英文記事「Increased number of groundings in the Douala channel」(2015 年 5 月 27 日付)の和訳です。 狭く浅く混雑したドゥアラ水路は要注意 カメルーンのドゥアラ(Douala)に向かう船舶は、ドゥアラ港に到着するまでにウーリ(Wouri)川の狭い水 路を 50 キロメートルにわたって航行しなければなりません。 Gard が知る限り、ドゥアラ水路では 2014 年 5 月以降少なくとも 8 件の座礁事故が発生しています。調 査の結果、各座礁事故に共通するいくつかの要因が明らかになっています。ドゥアラ水路は狭い(最大 でも 150 メートル)上に水深が浅く(海図基準面から 6.2 メートル)、さらに航行過密地帯です。感潮 河川であるため常に土砂堆積物が沈殿しているものの、定期的な浚渫が行われていないことから、水路 の境界線内に砂や泥が堤状に堆積してしまっています。許容喫水は公式海図どおりではないと考えられ ます。また、水先人乗船地点よりも上流に進まなければ水先人が乗船できない場合が多いことが、水先 人の意図する航海計画を乗組員らが十分に理解する時間的余裕がなくなります。さらに、浮標が無灯火 であったり、正しい位置になかったり、なくなってしまっているケースもありました。 最近 Gard に報告されたある事故の発生経緯をご紹介します。本舶は錨地を出発して港に向かって航行を 開始したところ、海図に記載された水路入口の水先人乗船地点に水先人がおらず、7 海里上流で水先人が 乗船するのでそこまで進むようにとの指示を港湾当局から受けたようです。その新たに指定された乗船 地点へ向かう途中、港から出港する他船を水路の中央に発見しました。本船は、水路が狭いためやや右 © Gard AS Page 1 of 2 に寄って他船をやり過ごすようにとの指示を受けました。しかし、本船は、出港船とすれ違ったところ で堆積した泥に座礁してしまいました。 推奨事項 同水路は U 字ではなく V 字形状をしており、大量の土砂堆積物がすぐそばに広がっています。喫水 8 メ ートル超の船舶は、特に注意が必要です。内水路は狭く、水路の外は水深が 2.5 メートル程度のところも あります。海図上は水路の最低水深は 6.1~6.5 メートルで、潮差は 0.3~2.9 メートルです。 したがって、以下のことを推奨します。 • • • • • バースからバースまでの全航程を含む詳細な航海計画を備えておくこと 水路に進入するときは細心の注意を払い、常に水路中央を航行すること 港の混雑時やバース待ちをする場合は、満潮時に係船するか曳船の手配をすること 海図上の水先人乗船地点から上流に進む場合はリスクが高まることを考慮すること。 可能な限り、 海図に記された水先人乗船地点で水先人を乗船させることが推奨されます。そうすることで、船 長と水先人の間で十分な情報交換を行うための時間が確保できます。 船舶代理店や現地のコレスポンデントとコンタクトを取り、ドゥアラ港への航路上にある浮標が 無灯火のものなどに変更されていないか、最新情報を確認すること。こうした情報は、船長と水 先人の間の情報交換にも反映させること。 ドゥアラとその進入経路の詳細については、Gard Insight「Douala - memories of a salvage expert from the gateway to Central Africa(ドゥアラ - 中央アフリカへの入り口。あるサルベージ専門家の経験) (英文)」 を参照してください。 本情報は一般的な情報提供のみを目的としています。発行時において提供する情報の正確性および品質の保証には細心の注意を払ってい ますが、Gard は本情報に依拠することによって生じるいかなる種類の損失または損害に対して一切の責任を負いません。 本情報は日本のメンバー、クライアントおよびその他の利害関係者に対するサービスの一環として、ガードジャパン株式会社により英文 から和文に翻訳されております。翻訳の正確性については十分な注意をしておりますが、翻訳された和文は参考上のものであり、すべて の点において原文である英文の完全な翻訳であることを証するものではありません。したがって、ガードジャパン株式会社は、原文との 内容の不一致については、一切責任を負いません。翻訳文についてご不明な点などありましたらガードジャパン株式会社までご連絡くだ さい。 © Gard AS Page 2 of 2
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