7 盛岡市の都市再生整備計画 平成 16 年度に国土交通省の認定を受けた「盛岡市地域再生計画」のなかで,河南地 区が計画の重点地区として挙げられ,以下のように位置づけられています. 盛岡城址を中心に中心市街地が高密度に形成された盛岡市の特性を活かし,キーワー ドを「まちなか観光」 , 「まちなか居住」とし,これを推進することにより中心市街地に おける観光や商業の活性化と市民の都市居住回帰を図り,活力ある地域経済の再生に努 め,「再び訪れたいまち」,「住みやすいまち」という元気なまちを実現するものとして います. 以下に都市再生整備計画の概要を示します. 図 -1 都市再生整備計画対象区域 - 36 - 表 -1 都市再生整備計画概要 地 区 の 面 積 49 ヘクタール 計 画 期 間 平成 17 年度から平成 19 年度 目 標 計画概要 地 区 の 現 況 地 区 の 課 題 目標を定量化する指標 居 住 人 口 来 街 者 数 生活環境の安全性,快適性,利便性の向上を図り,暮らしやすい都市 の実現を目指す. ・高齢者のまちなか居住を促進するなどし,中心市街地の活性化を図 る. ・再開発の必要性の高い地区を調査し,地域住民への啓発,研修を通 じ,まちづくりの機運の醸成を図る. ・あんしん,あんぜんなまち(道)を形成し,やさしさ,楽しさ,賑 わいを創出する. 肴町,中ノ橋を中心とする河南地区は,城下の中心街として繁栄を誇 ってきた既成市街地であるが,その後の市街化の進展に伴い盛岡駅方 向への都心の移動,拡張が起こり,併せて来街者の交通手段の変化及 びライフスタイルの変化,多様化などにより,経済的地盤沈下の傾向 にあることから,これまで市と地元が協力しながら地区の活性化に努 めてきたところである. また,既成市街地の再開発については盛岡市第三次総合計画(平成 7 年度から平成 16 年度)において,新市街地(盛岡駅西口地区及び盛 岡南地区)との均衡ある発展を目指し,都市機能の充実や良好な市街 地環境の創出,公共施設の整備,土地利用の適正化を図るため,既存 商業地区を中心に市街地再開発事業,優良建築物等整備事業などによ る再開発を推進するとの方向が示されているところでもある. 近年の少子・高齢化の進展,地球環境問題の深刻化,国家的財政危機 などの中にあって,盛岡市においても少子・高齢化が進展しており, 中心部の商業活動は低迷傾向,観光客は減少傾向,雇用状況は非常に 厳しい状況となっている.このような状況にあって,盛岡市のもつ歴 史,文化,環境,産業などのさまざまな資源を活かした個性豊かな地 域づくりが必要とされている. ・高齢者が安心して暮らせる居住空間を都市部に整備する必要があ る. ・人が自由に安全に歩いて楽しめる環境整備が十分ではない. マンションの建設に加え,福祉・医療施設等の整備により地区の快適 性の向上を図り,人口増加を目指す. 温浴施設等の整備により集客力の向上を図るとともに,観光スポット を結ぶコミュニティー道路の整備により回遊性の向上を図り,来街者 の増加を目指す. コミュニティー道路の整備により安全性の向上を図り,交通事故の減 少を目指す. 整備方針と主要な 事業名 交通事故発生 件 数 まちづくり勉 勉強会の活発化により,地域住民の意識の高揚を目指す. 強 会 高齢者のまちなか居住の促進など,中心市街地の活性化 ・優良建築物等整備事 ・医療,介護と居住の新しい形態のシステム化 業 ・高齢者の健康管理,維持施設の併設 ・高質空間形成施設 ・子供から高齢者まで誰でもふれあいのできる広場の設置 ・地域生活基盤施設 ・情報案内板の設置 地区住民への啓発・研修活動によるまちづくりの機運の醸成 ・まちづくり活動推進 ・専門家等の派遣,関係者による勉強会の開催 事業 - 37 - その他 やさしさ,楽しさ,賑わいを生み出す道づくり ・道路の平坦性,交互通行を維持し,舗装材の違いによるイ ・高質空間形成施設 メージ的歩車分離・八幡町通りと交差する ・特定交通安全施設等 ・道路との交差点に車の速度抑制を強調するハンプの設置・ 整備事業 休憩スペースとしてのたまり空間の確保 ・電線共同溝整備事業 ・歩道空間の融雪機能の向上,電線類の地中化 ・バリアフリー化 福祉マンションの居住者と地域住民との交流を活発に行う 事 業 終 了 後 の ・ふれあい給食 継 続 的 な 活 動 ・一人暮らし老人の見守り運動 ・趣味講座の開催等 本研究においては,基本的には「盛岡市地域再生計画」に示されている将来ビジョン を採り入れるかたちで,方向性や研究課題を設定しますが,区域の設定は中津川,岩手 公園を含めた区域を対象とします. - 38 -
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