学校だより ふうしゃ 児童・生徒版 平成27年6月9日 アムステルダム日本人学校 No 2 http://www.jsa.nl/ 林間学校に向けて 校長 尾後貫 智 運動会が無事に終了し、林間学校の準備が始まりました。係や部屋割りを決めたり、当 日の活動の準備など計画的に進めたりしていることと思います。 林間学校の準備を進めるにあたり、私から皆さんへお話ししておきたいことがありま す。「楽しさは自分で創るもの」ということです。もちろん先生方や係の人が中心になっ て活動は運営してくれると思いますが、肝心の自分が楽しもうと努力しなければ、何をや っても楽しめないと言うことです。「〇○は楽しくなかった」と終わった後で思ったとし たら、それは先生や係の人のせいではなく、楽しもうとしなかった自分に問題があったの ではないかと考えてください。自分から楽しもうと思って積極的に活動に参加していかな かったとしたら、ただ受け身で参加していたら、楽しくなるはずはありません。林間学校 の二泊三日間はだれのものでもなく、皆さん一人一人のものです。一人一人が自分から活 動に積極的に参加することで初めて「楽しさ」が生まれてくるものだと思います。 では、林間学校での「楽しさ」とはいったいどんなものでしょうか。林間学校での楽し さは、ゲームがクリアできたとか、自分のわがままが思い通りになったなどの「個人的な 楽しさ」ではありません。自分たちで計画して準備して、予定通り活動が実施できたとい う達成した楽しさや、活動を通してみんなで心が一つになれたという喜び(楽しさ)や、 全体を通して友だちと絆がさらに深まったという喜び(楽しさ)などみんなで「共有する 楽しさ」だと思います。ですから、自分とみんなの間に壁を作っていたら楽しくはなれま せん。 この「共有する楽しさ」を持てるように、一人一人が積極的に準備に加わって当日は楽 しもうと努力してほしいと考えます。 自分一人くらい怠けても大丈夫という気持ちが国をほろぼす 昔、Aという国とBという国がありました。A国とB国は隣同士で両方とも小さ な国でしたが、あまり仲が良くありませんでした。小さな争いは何回もありまし たが、それでも何とか平和を保っていました。 あるとき、B国の王様が家来を連れてA国に来ることになりました。そこで、A 国の王様はB国の人たちをもてなすために、国民にワインを一瓶ずつ持ってくる ように頼みました。A国の国民は王様の頼みなので、ワインを瓶に入れて持って きました。そして宮殿の中の大きな木の樽の中に次々と入れていきました。大き な木の樽はあっという間にワインでいっぱいになりました。 そしていよいよB国の王様が家来を連れてやってきました。A国の王様は国民が 持ってきた樽の中に入れてあるワインをごちそうすることにしました。樽の栓を 抜いてワインをコップについでB国の人たちに渡しました。B国の人たちは大喜び でワインを口にしましたが、全員変な顔をしてワインの入ったコップを置いて飲 むのを止めてしまいました。A国の王様はどうしたんだろうと思い自分も樽の中 のワインを飲んでみました。するとどうしたことでしょう、ワインと思っていた コップの中身は水だったのです。 さて、みなさん、樽の中にいっぱい入っていたワインは何故水になったのでしょ う?それは、A 国の人たちが、王様からワインを持ってくるように頼まれたときに、 「自分だけなら水を入れても分からないだろう」 「自分一人くらいなら水を持って行っても大丈夫だろう」とみんなが考えたから樽 の中は全部水になったのです。 この話には続きがあります。B 国に帰った王様と家来は、 「あんないい加減で無責 任な国民ばかりいる A 国ならきっと戦っても勝てるだろう」と思い A 国に攻め込 み、ついに A 国は滅ぼされてしまいました。 さて、これからも運動会や学習発表会などの行事がいっぱいありますね。この話 のように「自分一人くらい怠けても大丈夫だろう」とみんなが考えたら、よい林間 学校や学習発表会にはなりません。反対に「自分一人でも頑張ろう」とみんなが考 え実行したら、素晴らしい行事になると思います。みんなで力を合わせて素晴らし い行事を創り上げてください。
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