写 ○ 平成 22 年 10 月 25 日 松江市長 松 浦 正 敬 様 松江市簡易水道使用料審議会 会 長 磯 部 美 津 子 松江市簡易水道使用料の改定について(答申) 平成 22 年 9 月7日付け貴職より諮問があった標記のことについて、慎重に審議 した結果、当審議会として諮問のとおり改定することは、妥当であると判断し同意 する。なお、答申内容については、下記のとおりである。 記 1.基本的事項 (1)簡易水道のおかれる現状と課題 水道事業は、地方公営企業法第 17 条で特別会計により経理し、第 21 条第 2 項で料金及び健全な経営を確保することが定められているなかで運営されてい る。 また、松江市においては、平成 28 年度までに簡易水道と上水道を統合するこ とを目処に「簡易水道事業の統合計画」を策定し、国の承認を得ている。 松江市の簡易水道事業は平成 17 年 3 月の 8 市町村合併後、34 事業、水源 48 か所、浄水場 36 施設、ポンプ場 46 か所、配水池 82 か所と給水効率が悪い 状況にある。また、料金は 8 体系で徴収されているが、料金収入が経費の四分 の一程度に留まり、多くは起債、一般会計からの繰入、国庫補助金等の財政的 支援に依存しながらの運営実態がある。 水道普及率がほぼ 100%に達し、国も上水道への統合方針を示すなど、経営 基盤の強化を求めてきている。松江市の簡易水道事業においても、給水区域の 市民に対して安心・安全な水道水を安定的に供給する使命が引き続き求められ ており、今後も持続的な健全経営を行うには、現在の料金体系では困難な状況 になると判断するに至った。 1 す (2)諮問に対する審議会の基本方針 本審議会により集約された料金及び料金体系の改定に向けての基本方針等は、 次に示すものである。 ① 算定期間を平成 23 年度から平成 25 年度の 3 年間とする。 ② 料金体系を基本的に口径別料金体系に統一する。 ③ 段階的改定により激変緩和を図りながら松江上水の料金水準に近づくこ とを主眼に調整する。 これらの基本方針は、合併協定を踏まえて、松江市の水道の「同一サービス、 同一料金」を実現する考え方に合致しており全委員の理解を得た。 なお、玉湯と宍道地区は、同地区内の同じ料金体系の上水道に統合するため、 今回の改定の対象から除外するとの説明があった。 2.答申事項 (1)松江市簡易水道料金について 松江市の簡易水道料金を平成 23 年度から平成 25 年度にかけて、島根地区、 美保関地区、八雲地区、八束地区を 2 段階ないし 3 段階の段階的改定による激 変緩和を図りながら、松江上水の料金水準に近づくように平均 11.89%の料金 改定を実施することは、妥当であると判断した。 (2)改定時期について 簡易水道料金の改定時期を、平成 23 年 4 月 1 日とすることについては、妥 当であると判断した。 (3)料金体系について 松江市4地区(島根、美保関、八雲、八束)の料金体系を松江上水の口径別 料金体系に統一すること。また、月に 1,000 ㎥を超える大口使用者の負担軽減 策として、逓減型料金体系を導入することは、妥当であると判断した。 (4)付帯意見 改定の実施にあたって、松江地区・鹿島地区は料金を据え置き、島根地区・ 美保関地区・八雲地区は 2 段階、八束地区は 3 段階の改定等の激変緩和措置を 講じられているが、このことについて、住民の理解と協力が得られるよう、ま た、スムーズに新料金システムに移行できるよう万全の態勢で臨まれるととも に、住民への周知の徹底を図られたい。 2 3.答申に付随した審議事項 (1)料金改定による影響と対応策について 今改定による一般家庭の平均使用者への影響は、極小にとどまるが、大口使 用者においては、地域、使用量によって、改定額、改定率に格差が生じること が判明した。 これにより、特に大量に水を使用する企業等への影響を懸念する意見があっ たが、激変緩和策として、料金改定を段階的に実施するとともに、使用水量が 月に 1,000 ㎥を超えるランクで給水単価が減少する逓減制を導入する一定の配 慮がなされており、やむを得ないとする意見が多くあった。使用者の痛みを伴 うものであり、十分な説明責任を果たすよう努められたい。 (2)今後の料金統一の見通しについて 平成 26 年度以降の上水道と簡易水道の料金統一の時期及び改定幅について は、尾原受水費の負担を見極め、大口使用者と一般家庭との負担のバランス、 逓増度の見直し等を検討したうえで判断するとの説明があった。 (3)消費者ニーズと公営企業について 水需要が減少傾向にある中で、収益確保の観点から、水の有効利用のための 広報や営業活動の考えが示された。 審議過程の中で、水の商品価値を高めるビジネスへの取り組みや企業振興と 地域の活性化施策を連携した消費者ニーズに応える形での水需要の掘り起こ しを求める意見があった。一方で、環境保護の観点から水資源の大切さ、水環 境・水循環の維持に貢献する等、住民の環境意識の高揚を図ることを求める意 見もあった。将来を見据えた事業計画の中で更なる施策の推進に努められたい。 (4)今後の事業経営の方向性について 事業経営にあたって、人口減少や社会経済動向を踏まえ、蓄積された情報を もとに、独自に水需要の分析を行い、確実な収入の見通しを立てるとともに、 施設更新等の投資も計画的に実施し、費用の抑制と平準化を図ることにより事 業の安定経営に努められたい。 3 4.検討資料 本審議会では、平成 22 年9月7日以来、2 回にわたる審議の中で、松江市か ら提供のあった「地区別口径別水道料金の現状比較」 「水道施設数」 「収支状況」 「簡易水道の財政推計」「改定に伴う口径 13mmにおける松江上水を中心にし た 8 地区別使用料の新旧比較(一般用並びに工業用)」 「簡易水道料金改定に伴 う口径別・年度別使用料比較(8 地区別)」を基に簡易水道料金改定に伴う基本 方針、改定内容・改定率について、事業状況、水道事業の認可状況、地区別課 題、尾原ダムの進捗状況、簡易水道と上水道の統合とそれに伴う影響等の説明 があった。また、第 2 回の審議会では、委員からの質問に対し普及率、総括原 価主義下の赤字経営問題、改定に一部用途別料金体系を残すことについて、工 業用水の実態、合併後の水需要の推移、地区別の将来収支の見通し、広報活動 として水道事業への住民参加等の補足説明と資料提供があった。 4
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