かつて恐れられた病魔 「結核」の復活(2)

B.J.A Column
かつて恐れられた病魔 「結核」の復活 ②
― 古い結核は化学療法で回復しますが新しい結核は 5 割の確率で死亡します ―
結核は体の内部から ゆっくりと確実に組織を侵食していきます。
その病原菌は「結核菌」と呼ばれる細菌です。結核菌は微細ですがウィルスよりサイズが大
きく、高性能の顕微鏡によって 19 世紀に発見されました。
咳やくしゃみによって人から人へ感染していきます。
当時、結核菌を殺す薬はなく、かつての各国の保険当局は感染者の隔離を行いました。「サ
ナトリゥム」と呼ばれる専門の病院に移され、患者は 回復するか 死ぬまで そこで何年
も過ごします。
生存の確立は5割でした。
1943 年 結核菌を殺す 初の抗生物質が開発されました。
待望の薬が出来たのです。
しかし、 結核菌は変異を重ね 新たな薬にも耐性ができてきます。
1960 年代には 6か月間毎日薬を飲めば結核菌が殺せることが判明し、その後 30 年間で
先進国の結核患者は激減し、結核は消滅するものと思われました。
しかし、それは間違っていました。
結核による被害は 減るどころか増えているのです。
インドやアフリカでは結核は根強く残っていますが、先進国での再流行を予想するものは誰
もいませんでした。
しかし、結核は 生活水準や仕事、学歴などで人を差別しません。
結核が 貧困層や少数民族の病気だという概念は、まったく間違っており、だれでも感染の
可能性があるのです。
感染しても発病率はわずか1割ですが、何十年も体内で休眠した後に発病する例もあり、治
療をしなければ死亡率は5割です。
しかし今、世界各地で、薬では殺せない 新型の結核菌が出現しているのです。
これは、人類にとって大きな脅威です。 ③へ続く
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