道徳教育研究部

道徳教育研究部
【平成28年1月現在】
主任
山内
実
部員
渡部由美子,安田奈津子
研究主題
児童が主体的・協働的に学ぶ道徳の時間
目指す児童の姿
共に学ぶことで,道徳的価値の意義や大切さについて,自ら考え,理解する児童
研
共に学ぶことで,道徳的価値の意義や大切さについて,自ら考え,理解する児童を育て
究 るために,児童の主体的な意思を尊重し,多様な感じ方や考え方を生かした協働的な学び
目 を充実させ,心を動かすような授業を構想することが有効であることを実践を通して明ら
標 かにする。
研
児童の主体的な意思を尊重し,多様な感じ方や考え方を生かした協働的な学びを充実さ
究 せ,心を動かすような授業を構想し,共に学ぶことで,道徳的価値の意義や大切さについ
仮 て,自ら考え,理解する児童を育てることができる。
説
Ⅰ 主題設定の理由
1
これからの道徳科の授業
道徳の時間は,道徳教育の要の役割を担うものとして,昭和 33 年に教育課程に特設さ
れてから,半世紀以上も経過した。ところが,心の危機とも言われる深刻な状況や道徳教
育の 実 施実 態の 課 題 な ど が生 じ てき た 。 これ を 踏 ま え,「 特 別の 教 科
道 徳」( 道徳 科 )
として新たな枠組みで位置付けられた。つまり,道徳教育の一層の充実を図る具体的な歩
みが始まったのである。小学校学習指導要領解説特別の教科道徳編では,児童が多様な価
値観を前提にして,他者と対話しながら,主体的に考え,議論する道徳科への転換を意図
していることが読み取れる。
2
これまでの研究より
こ れ ま で の 研 究 で は , 自 分 と の 関 わ り で 道徳 的 価 値に つ いて 考 え さ せる た め の発 問 の
工夫 や道 徳的 価 値 の理 解 を よ り深 め るた め の 言 語活 動 の 充実によ って,ね らいと する道
徳 的 価値 に つい て, 多 様な感 じ方 や 考え方 に ふれ させ ,児 童一 人一 人が 道徳 的価 値の 自
覚 を 深め る こと を意 図 した。 また , 資料か ら 離れ ,自 己を 見つ める 場面 にお いて は, 児
童 一 人一 人 にこ れま で の個人 体験 や 学級・ 学 校生 活な どで の共 通体 験を 想起 させ るた め
に,『私たちの道徳』やワークシート,道徳ノートなどの記述を基にして考えさせる具体
的 な手 立て を示 した 。そ の結 果, 深め た価 値意 識と 体験 がつ な がり,道 徳 的 価値 を 視 点
に 自 分自 身 を 振り 返 る 姿が見 られるよ うになっ た。し かし,ね ら い とす る 道 徳的 価 値 を
理 解 する こ とが 十分 では なか った 。こ の原 因の 1つ と して, 自 己や 他者 と対 話し なが ら
考 え を深 め させ るこ と, つま り, 主体 的・ 協働 的に 学 ぶこと が 十分 では なか った こと が
考えられる。
以上2点から,研究主題を「児童が主体的・協働的に学ぶ道徳の時間」,目指す児童の姿
を「共に学ぶことで,道徳的価値の意義や大切さについて,自ら考え,理解する児童」と設
定し,研究を進めることにした。
Ⅱ 目指す児童の姿の具現化に向けて
道徳的価値とは,特別の教科道徳編によると,よりよく生きるために必要とされるもので
あり,人間としての在り方や生き方の礎になるものであると述べられている。さらに,児童
が将来,様々な問題場面に出会った際に,自己の生き方を考え,主体的な判断に基づいて道
徳的実践を行うためには,道徳的価値の意義及びその大切さの理解が必要になるとも述べら
れている。そこで,本研究部においても,道徳的価値について主体的に理解する学習を目指
す。そのためには,多様な価値観の存在を前提に授業を構想し,児童が他者や自己と対話し
ながら,物事を多方面から捉えたり,様々な角度から考えたりする機会を設定し,多様な感
じ方や考え方に触れさせる授業を設定することが有効だと考える。このような協働的な学習
を 通し て, 道 徳 的 価 値 の 意 義 や 大 切 さ に つ い て , 自 ら 考 え , 理 解 し , 主 体 的 に 学 習 に 取 り
組 む こ と が で き る だ ろ う 。 ま た , 児童 の 問 題 意識 が 具 体的 に 授業 の 中 で 生か さ れ た問 題 解
決的な学習や体験的な活動を積極的に取り入れることも有効だと考える。このような動的な
活動を適切に設定することにより,児童は考える必然性や切実感を感じ,心が揺さぶられる
だろう。
さらに,道徳科がもつ特性から,児童の学習状況や道徳性にかかる成長の様子を継続的に
把 握 す るこ と も必 要 で ある 。 共 に 学 ぶ こ と で , 道 徳 的 価 値 の 意 義 や 大 切 さ に つ い て , 自 ら
考 え , 理 解 す る 児 童 の 育 成 を 目 指 し, 指 導 に 生か さ れ ,児 童 の成 長 に つ なが る 評 価を 行 う
こととする。
Ⅲ 研究内容と方法
以上のことを踏まえ,児童の多様な価値観を前提として,自己や他者と対話したり協働し
たりしながら,主体的に考えるような道徳科への転換を図る。例えば,道徳的価値の意義や
大切さについて考えを深めさせる場面において,物事を多方面から捉えたり,様々な角度か
ら考えたりできる話合い活動を設定し,多様な感じ方や考え方に触れさせる授業を工夫する。
また,児童の学びの振り返りに対し教師が記述を加えるなど,努力を認めたり,励ました
りする手立てを用いることで,学習状況や道徳性に関わる成長の様子を把握し,指導に生か
すための評価を行う。