2015/4/17 標本空間と事象 確率論 得られる結果が偶然に支配されている実 験を試行という。 ~事象・確率~ ある試行を行った際に、起こり得る結果を 標本点といい、その全体の集合を標本空 間という。標本空間はΩという記号で表現 される。 標本空間と事象 例1:さいころを1回投げたとき、起こり得る結果は ・1の目が出る ・2の目が出る ・3の目が出る ・4の目が出る ・5の目が出る ・6の目が出る の6つである。 で「iの目が出る」という結果を表すとすると、この試行 の標本空間Ωは 例2:1枚のコインを2回投げる場合、起こり得る 結果は (表、表)、(表、裏)、(裏、表)、(裏、裏) なので、標本空間は4つの標本点からなる。 よって Ω={ (表、表)、(表、裏)、(裏、表)、(裏、裏) } である。 となる。 標本空間の部分集合を事象という。必ず起 こる事象を全事象、起こり得ない事象を空事 象という。 コインを2回投げる試行では、 事象A:1回目に表が出る A={ (表、表)、(表、裏) } 事象B:1回目も2回目も裏である B={ (裏、裏) } などとなる。 ただ1つの標本点からなり、それ以上分解で きない事象を根元事象とよび、2つ以上の根 元事象に分解可能な事象を複合事象という。 前例の事象Bは根元事象であり、事象Aは複 合事象である。 1 2015/4/17 事象の演算 事象の演算 • 和事象 2つの事象A、Bに対して、どちらかの事象が起こるという 事象を和事象とよび、A∪Bで表す。 サイコロを1回投げる試行において、 事象A : 偶数の目が出る 事象B : 3以上の目が出る とすると、 • 積事象 2つの事象A、Bに対して、どちらの事象も同時に起こると いう事象を積事象とよび、A∩Bで表す。 サイコロを1回投げる試行において、 事象A : 偶数の目が出る 事象B : 3以上の目が出る とすると、 AとBが同時に起こることがない場合、AとBは互いに排反 であるという。 となる。 事象の演算 事象の演算 • 余事象 事象Aに対して、事象Aが起こらないという事象をAの余 事象とよび、ACで表す。 サイコロを1回投げる試行において、 事象B : 3以上の目が出る とすると、 • 差事象 2つの事象A,Bに対して、事象Aは起こるが事象Bは起こ らないという事象をAとBの差事象とよび、A-B(=A⋂BC)で 表す。 サイコロを1回投げる試行において、 事象A : 偶数の目が出る 事象B : 3以上の目が出る とすると、 となる。 となる。 これらの証明 事象の演算 (ド・モルガンの法則) 事象については次の等式が成り立つ。 (交換法則) 高等学校の教科書には 右のように書かれていますが… (結合法則) (分配法則) (ド・モルガンの法則) 2 2015/4/17 を示しなさい。 を示す。 (証明1) をとると よって、 よって、与式は成り立つ。 (証明2) のとき である。 をとると 逆に よって、 であり かつ である。 であり、 である。 のとき 以上から である。 よって、与式は成り立つ。 確率とは? 確率ってなに • 確率ってなに? (確率を習ったことのない小学生・中学生や文系高校生、 学校を卒業して何十年も経つ社会人に確率を説明して みましょう!) • 3の目が出る確率ってなに? 3の目が出る確率って何? 3 2015/4/17 確率の定義 • ラプラスの定義 • フォン・ミーゼスの定義 • コルモゴロフの定義 ラプラスの定義(1812年) ある試行において、起こりうるすべての結果がN個あ り、その各々は同様に確からしいとする。この中で、事 象Aが起こる場合の数が 個のとき、事象Aの確率 P(A)を と定める。 4 2015/4/17 フォン・ミーゼスの定義(1928年) コルモゴロフの定義(1933年) 確率がpであるということは、同じ実験や観察を 多数回繰り返すとき、その事象の起こる割合が pに近づくということである。 ある事象Aに対して、関数P(A)を考える。この関 数P(A)が下記の3つを満たすとき、 P(A)を確率 と呼ぶ。 経験的確率or統計的確率といわれることもある。 (1) すべての事象Aに対して0≦P(A)≦1 (2) P(Ω)=1 (3) 互いに排反な事象A1、A2、A3、・・・に対して P(A1∪A2∪A3∪・・・) = P(A1)+P(A2)+P(A3)+・・・ が成り立つ。 3つの条件は確率の公理と呼ばれ、この定義は公理主義的定義と呼ばれる。 確率の性質 (1)互いに排反な事象A,Bに対して P(A∪B)=P(A)+P(B) C (2) P(A )=1-P(A) (3) 事象A,BがA⊂Bであるとき、P(A)≦P(B) (4) 2つの事象A,Bに対して P(A∪B)=P(A)+P(B)-P(A∩B) (加法定理) が成り立つ。 演 習 1から9までの数字から、相異なるものを4つ選 んで作った4桁の整数全体の集合をAとする。 ((1)(2)3点(3)4点) (1)Aの要素の個数を求めよ。 (2)Aから整数を1つ取り出すとき、それが5以 下の数字のみで作られている確率を求めよ。 (3)Aから整数を1つ取り出すとき、4桁のうち少 なくとも1つは奇数が入っている確率を求めよ。 5
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