都市と農山村の調和はいかに実現し得るか −農山村再生のための哲学

都市と農山村の調和はいかに実現し得るか
−農山村再生のための哲学−
早稲田大学教授
宮口侗廸
1.20 世紀までの画一化・標準化の長い流れ―みんな同じになろうとした―
水田化・工業化・都市化→世界に例のない一瞬の1億総中流意識
県庁所在地の画一的一人勝ち、小都市の衰退、手づくりの価値の敗退
さらにはビッグな存在からの系列化、グローバリゼーション
地域の違いはすべて格差に―大か小か、近いか遠いか―
20 世紀の終わりに違った風が→自分に合うか合わないか→個性化への流れ
2.21 世紀は違いを価値に育てる時代―みんなが同じにという発想からの脱皮―
地域は一つとして同じではない―広い世間の違いを知ろう―
場を活かし資源を活かすことが違いを価値に育てる
この作業は猿真似ではない、基本的にオリジナルな作業
地域をオリジナルに見ることができる人材が必要
ただし世間に通用するかどうか→普遍性
前回の国土計画における「多自然居住地域」の議論−人口の呪縛からの脱皮−
空間・資源の使い方を発展させることが、成長する都市とは異なる発展の原理
3.オリジナルなワザは単なる継承からは生まれない
違った眼を持つこと―交流と学びの意義―
交流は相互刺激による成長を促す→都市の価値がわかっているか
異人・異能・異端の価値→世間に通用するワザ師を育てるしかない
できる他人に場をいかにうまく使ってもらうか→I ターンの成功例は多い
交流から協働へ→違う力を組み合わせて飛躍的な力にすることが協働
協働の要は自治体職員→職員の育成は最重要課題→研修費は聖域
普遍化と画一化は別→ヨーロッパには小さくて普遍的な個性が
4.あらためて考える日本の農山村の人間論的価値
日本の農地を減らすことは地球上の優良農地を減らすこと
なぜお金を出すと食糧が買えるのか→国際食糧市場の意味
ワザの熟練とスローな営みが、美しさとゆとりとあたたかさを生む
過疎地域の役割→美しく風格ある国土の形成に寄与、人の役割が見える
→都市にはない価値を持つ少数社会
5.地域づくりは系列化に対するアンチテーゼ
世界が系列化に向かう時代にふさわしい地域固有の価値づくり−ブランド化−
田舎のキーワードはエコ、食、美しさ、スロー―時代を超えた普遍的価値―
逆転の発想があたりまえの時代、ツーリズムなくして田舎は生きられない
大分県由布院温泉の挑戦
熊本県小国町の九州ツーリズム大学
高知県馬路村のユズ産業
三重県の伊賀の里モクモクファーム
岩手県葛巻町の畜産開発公社
大分県安心院町の農村民泊
沖縄県東村のエコツーリズム
奈良県川上村の森と水の源流館
宮城県鳴子温泉のツーリズム研究会
参考文献(宮口著);
「地域づくり・創造への歩み(増補版)」2002 年、古今書院、2300 円
「新・地域を活かす−一地理学者の地域づくり論−」2007 年、原書房、2400 円