存在定理

存在定理
存在することを示す問題は,一般的にはなかなか難しいといえる。しかし,存在問題の証明
をしっかりと勉強することは, なにより数学への理解を深めるし, じっくり勉強しておくべき
テーマであるといえる。
存在することの論証は,より基本的で単純な存在原理に帰着させて示す。存在の証明方法は
直接証明:作ってみせる。構成できるものは存在する。
間接証明:鳩の巣原理。有限個のものの中での存在原理。
間接証明:中間値の定理。連続するものの中での存在原理。
等である。またそれを変型した論証もある。
問題文をよく読み,与えられた条件から, どのような存在原理に帰着させねばならないのか
を考えよう。
神戸大(積分と存在条件)
を実数とする。次の問いに答えよ。
が,
をみたすとする。このとき,
がみたす関係式を求めよ。
で求めた関係式をみたす正の数 が存在するための
の条件を求めよ。
大阪大学 理系(素数の存在)
個の整数
がすべて素数となるような正の整数
は存在しない。これを証明せよ。
大阪大学 理系(円周率の値)
円周率を
とする。正の整数
に対し
とおく。
を証明せよ。
を証明せよ。ただし
である。
京都大(整式の除法と余りの存在性)
を自然数とし,整式
を整式
で割った余りを
さらにそれらをともに割り切る素数は存在しないことを示せ。
とする。このとき
と は整数であり,
千葉大後期(図形の存在証明)
直角をはさむ
辺の長さがともに整数の直角三角形を「整直角三角形」という。 二等辺三角形でない二つ
の整直角三角形を
とし, それぞれの斜辺の長さを
とする。 このとき, これらの積
を斜
辺の長さにもつ整直角三角形が存在することを示せ。
大阪女子大(一次不定方程式の解の存在)
を満たす整数
は存在しないことを示せ。
を満たすすべての整数の組
以下,
を求めよ。
は互いに素な整数とする。
を整数とするとき,
き,
を
ならば
で割った余りを
で 表す。
を
以下の正の整数とすると
であることを示せ。
を満たす整数
が存在することを示せ。
神戸大(有限集合の写像の存在定理)
自然数
に対して, から
までのすべての自然数の集合を
とする。
から
への写像
が次の
条件
かつ
をみたすとき,
となる
ただし,集合
の各要素に対して集合
像という。 写像は
などで表し,
ならば,つねに
の要素
があることを示せ。
の要素を つずつ対応させる規則のことを,
の要素
に写像
で対応する
の要素を
から
への写
と書く。
京大理系後期(等面四面体の存在)
は鋭角三角形とする。 このとき,各面すべてが
と合同な四面体が存在することを示せ。
京大文系後期(奇数解の存在)
は
または正の整数とする。方程式
の解
で
がともに奇数であるものを奇数解
とよぶ。
が奇数解をもてば,
は
の倍数であることを示せ。
が奇数解をもつための必要十分条件を求めよ。
京大文系前期(一次不定方程式の解の存在)
以上の整数
ある。
を
に対して
でも
, が
で
の下 桁を表すことにする。 たとえば,
で
でも割り切れない正の整数とする。
以上の整数のとき,
となる
以上の整数
ならば,
であることを示せ。
が存在することを示せ。
東大文系(有限集合の写像の不動点定理)
白石
個と黒石
個の合わせて
個の碁石が横に一列に並んでいる。碁石が どのように並んでいて
も,次の条件を満たす黒の碁石が少なくとも一つあることを示せ。
その黒の碁石とそれより右にある碁石をすべて除くと,残りは白石と黒石が同 数となる。ただし,碁石が
一つも残らない場合も同数とみなす。
京大文系(有限集合の写像の不動点定理)
は自然数で
のとき適当な
とする。 穴のあいた
箇所でひもを切って
個の白玉と
個ずつの
個の黒玉にひもを通して輪を作る。 こ
組に分け, どちらの組も白玉
個 黒玉
個からな
るようにできることを 示せ。
信州大理系(中間値の定理の応用)
あるマラソン選手は出発地点から
間でちょうど
の地点までちょうど
時間で走った。 このとき,途中のある
分
の距離を進んだことを説明せよ。
京大文理後期(中間値の定理の図形の存在証明への応用)
各面が鋭角三角形からなる四面体
を含む平面
に点
,点
において 辺
と辺
から下ろした垂線の 足をそれぞれ
がすべて相異なり,しかも同一円周上にあるように
は垂直で はないとする。このとき辺
とするとき, 点
がとれることを示せ。
, ,