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アジア
2016年7月14日
中国経済、2016年後半の課題
中国の6月のドル建の輸出入はいずれも前年割れとなる一方、人民元建輸出が前年同月比でプラスを維持しました。
中国当局が目指す2016年のGDP成長率目標を達成する上で、消費や投資に加え貿易の寄与にも注意が必要です。
中国6月貿易統計:輸出入ともにドル建は予
想以上の減少
中国税関総署が2016年7月13日に発表した6月のドル建の
中国輸出は前年同月比マイナス4.8%と、市場予想(マイナス
5.0%)並みとなったものの、前月(マイナス4.1%)を下回りまし
た。輸入はマイナス8.4%と市場予想(マイナス6.2%)、前月(マ
イナス0.4%)を下回りました(図表1参照)。
なお、人民元建て貿易統計によれば、輸出は前年同月比で
+1.3%と市場予想(+0.3%)、前月(+1.2%)を上回りましたが、輸入
はマイナス2.3%と市場予想(マイナス1.2%)、前月(+5.1%)を下回
りました。
中国の6月のドル建の輸出入はいずれも前年割れとなり、国
内外の需要の弱さを示唆する内容でした。ただし人民元建
では輸出が前年同月比でプラスを維持しており、恐らく人民
元安を反映したものと見られます。中国当局が目指す2016
年のGDP(国内生産)成長率目標(6.5~7.0%)を達成する上で、
消費や投資に加え、貿易の寄与にも注意が必要です。
中国の6月の貿易統計を見ると、ドル建は輸出入とも軟調な
動きで、外需、内需共に回復の鈍さが示唆されました。ただ
し、人民元建で輸出を見ると前年同月比でプラスを確保して
おり、背景として人民元安が輸出を下支えしたと見られます。
輸入は人民元建でもマイナスで、貿易収支はプラスを確保
する動きとなったことから、貿易収支(純輸出)は4-6月期の
GDP成長率に小幅ながらプラス寄与する見込みです。
消費主体の成長へと構造改革を進める中国ではGDP成長
率は長期的に低下傾向ですが、急激な落ち込みは投資の
増加などで回避されてきました。しかし、例えば、1-3月期に
成長率を支えた固定資産投資は足元落ち込んでおり(図表2
参照)、4-6月期の成長に不安がある中、貿易収支がプラス
寄与となれば固定資産投資落ち込みの緩和も期待されます。
中国当局は過剰債務・過剰生産への対応として、その元凶
ピクテ投信投資顧問株式会社
図表1:中国貿易統計(前年同月比)と人民元(の推移
(日次、期間:2013年7月15日~2016年7月13日、貿易統計は月次)
6.8 人民元/ドル
% 60
人民元(対ドル、左軸)
40
輸出(ドル建、右軸)
6.6
輸入(ドル建、右軸)
20
6.4
0
安 人民元 高
どこに注目すべきか:
中国貿易収支、人民元、過剰生産、債務
とも言われる国有企業の改革を進める必要があります。6月末
に中国の国有鉄鋼企業2社が再編協議入りを表明するなど、
過去、積極的とは言いがたい国有企業改革にも着手していま
す。中国当局の最近の発言から過剰生産などへの対応は続
ける意向と見られます。しかし中国の体制では雇用の確保も
求められており、成長目標の達成は、ある意味、改革の必要
条件の性格も帯びていると見られます。
こうした中、中国当局は景気対策を今後も繰り出すものと見ら
れ、金融緩和姿勢は維持することに加え、やや頭打ちの投資
も年後半は長江下流の洪水の復興投資などが見込まれます。
また資本逃避が起きては元も子もありませんが、緩やかな人
民元安は輸出回復に向け許容するものと見られます。
6.2
-20
6.0
13年7月
14年7月
-40
16年7月
15年7月
図表2:中国固定資産投資の推移
(月次、期間:2015年6月~2016年5月)
12
%
固定資産投資(前年比)
11
10
9
8
15年6月
15年9月
15年12月
16年3月
出所:ブルームバーグのデータを使用しピクテ投信投資顧問作成
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