日本マス・コミュニケーション学会第 35 期第 3 回研究会(放送部会研究主催) 「当事者問題としての男性学」とジャーナリズムの今後をつなぐ 日時:2016 年3月24日(木) 午後6時~8時(予定) 場所:新聞協会中会議室 〒100-8543 東京都千代田区内幸町 2-2-1 日本プレスセンタービル 7 階 ) 電話番号 03-3591-4401 報告者:田中俊之(武蔵大学) 討論者:中村秀明(毎日新聞論説委員) 司会: 谷岡理香(東海大学) [企画意図] 国境なき記者団が毎年発表する「報道の自由度ランキング」において、日本は 2015 年、 過去最低の 61 位という結果であった。(東日本大震災後の 2013 年は 53 位、2014 年は 59 位と、この数年下がり続けている。)ランクが下がった直近の原因の一つに特定秘密保護法 の成立があるだろうが、ランク付けの基礎データとなる報道の透明性や多様性という面か ら考えると、記者クラブ制度に代表される日本の報道組織の閉鎖性、女性の割合が世界最 低ランクであることなど、構造的な問題は否定できない。 報道の自由度で例年上位を占めているのは、フィンランド、ノルウェー、デンマークと いった北欧諸国である。このランキングと世界経済フォーラムが 2006 年以降毎年公表して いるジェンダーギャップ指数(GGGI)と重ね合わせると、男女平等指数の高い北欧諸 国は、報道の自由度が高い国とほぼ重なっている。これは偶然ではなかろう。 放送研究部会では、今回、男性学が専門の田中俊之氏に報告をしていただく。キーワー ドは、当事者性である。 田中氏は、人々の日常生活には職業領域、地域領域、家庭領域、個人領域の 4 分類があ るにも関わらず、日本の男性は生活の全てを仕事に注ぎ込める能力を求められている。そ のことが国際的に比較して、日本人男性の長時間労働が減らない原因であり、更には働き 盛りの男性の自殺率の高さにも繋がっていると指摘している。 この指摘はそのまま、日本の報道機関の働き方とつながる。「24時間臨戦態勢」を是と する価値観を男性管理職自身が持っていることはこれまでの研究・調査等で明らかになっ ているが、そうした働き方ができる人間はごく一部であり、その時点で多様性を排除して いると言えよう。当事者を筆頭にあらゆる人々が発信可能な時代にあって、報道機関で働 く個人としての価値観を何処に置くのか、当事者、男性をキーワードに田中氏の報告から 議論を重ねたい。討論者には毎日新聞論説委員の中村秀明氏を迎え、報道組織内の多様性、 人材活用という視点から議論を展開してもらう。
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