廃棄物管理の実務 第 29 回【 番外編 ~こんな時、どうする?どうなる?廃棄物処理法~ ~新聞報道事例から学ぶ!コンプライアンス~ 】 「ビーフカツ横流し事件」がテレビや新聞紙面を賑わせ、 食品業界、廃棄物業界だけでなく、一般市民含む社会全体に 強烈なインパクトを残すこととなりました。 そこで今回のテーマでは、排出事業者の立場から当事件を捉え、 廃棄物処理法違反が課せられるのか、また同様の手口に巻き込 まれないようにするにはどうすればよいか、解説します。 □□ □ポイント解説□□□ ●排出事業者の責任 は? 今回のようなケースでは、廃棄食品であるビーフカツが不法投棄されたわけではないため、 排出事業者が、廃棄物処理法における措置命令(生活環境の保全上支障が生じる、または その恐れがある場合に、その支障の除去や被害発生を防止させる命令)の対象となること はなさそうです。 次に排出事業者が問われるのは、排出事業者側に「委託基準違反」があったのかどうか。 新聞記事からの推測となりますが、排出事業者である壱番屋には、処分業者から電子マニ フェストによって「全量中間処理済み」との報告があったとのこと。委託契約書の有無ま では言及されていないようですが、それも当然あったものとした場合、排出事業者は処分 業者から虚偽の報告を受け、委託物を不正に横流しされた被害者です。廃棄物処理法違反 に問われる余地はないと思われます。 ●この事件の教訓 排出事業者側が何らかの法令違反とされなかったとしても、このような事件に巻き込まれ たことでマスコミに会社名が報道されてしまうと、ブランドイメージの低下につながりか ねません。 やはりまずは、委託基準違反に問われない廃棄物管理体制を日頃から構築しておくことが 望まれます。 そのための詳細な注意ポイントは別紙をご参照ください(過去記事で紹介した資料を再掲) 。 □□ □具体的な対策例□□□ 今回の事件を参考に、もしもの場合に備えたリスク回避のための具体的な対策例を次ペー ジで紹介します。 1 事件を起こした廃棄物処理業者の廃棄物保管場所では、パレットや袋が 積み重なり、悪臭が漂っていた。また、近隣住民からの苦情もあった。 定期的に処理業者へ出向き処理現場の現地確認を行い、 本当に適正な事業者かどうか自ら確認する。 実際に現地へ行った際は、以下の点をよく確認しましょう。 安全管理活動が現場のすみずみで徹底されているか 設備の故障や不調が放置されていないか 保管場所に廃棄物が大量にたまり過ぎていないか 飛散流出・地下浸透していないか、悪臭はないか 作業環境が整理整頓されているか 等 これだけで適正業者かどうかを判断するのは難しいかもしれませんが、取引先とし て問題がないか、リスクを把握することは充分可能と思われます。 2 事件を起こした廃棄物処理業者は破格の安値で受注していた。 複数の処理業者から見積りをとり、極端に安価な業者には発注しない。 (次ページに別紙→) ●別紙 委託基準違反等に問われないための注意ポイント① 委託基準違反等に問われないための注意ポイント② 監修:弊社顧問 尾上雅典氏(行政書士エース環境法務事務所代表)
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