マイナス金利付き量的・質的金融緩和 - 三井住友トラスト・アセット

マーケットレポート
ご参考資料
2016年2月1日
「マイナス金利付き量的・質的金融緩和」導入のJ-REITへの影響について
①「業績面のプラス」
マイナス金利の導入 ⇒ 金利低下 ⇒ 支払利息が減少 ⇒足もとの賃料上昇による増益要因
に加えて、J-REITの業績へのプラス要因とダブルの増益要因
②「バリュエーション面のプラス」
長期金利の低下 ⇒ J-REITと国債との利回り差の拡大要因 ⇒ 円建てで相対的に高い配当
利回りのJ-REITの魅力向上
③「不動産価格面のプラス」
マイナス金利の導入によって、不動産価格の押し上げ効果を期待
■ 「量」・「質」・「金利」と3次元で緩和を強化
1月29日、日銀は「マイナス金利付き量的・質的金融緩和」の導入を決定しました。金融機関が保有する日銀
当座預金に▲0.1%のマイナス金利を適用するものです。具体的には、当座預金を3段階の階層構造(基礎残高、
マクロ加算残高、政策金利残高)に分割し、それぞれの階層に応じてプラス金利、ゼロ金利、マイナス金利を適
用するものです。
日銀は、年間80兆円の長期国債の買入れでイールドカーブ全体の金利低下を促してきましたが、今回のマイ
ナス金利導入によりイールドカーブの起点を引き下げ、金利全体をさらに低下させることを意図しています。従
来の「量的・質的緩和の異次元緩和」に「マイナス金利」を加えた「三次元緩和」と言えます。
J-REITにとって今回のマイナス金利導入は、以下の点がポイントになります。
①金利低下により支払利息が減少し、分配金(業績)の増加要因となる。
②長期金利の低下により国債との利回り差が拡大し、円建てで相対的に高い配当利回りのJ-REITの魅
力が高まることから、価格上昇要因となる。
③不動産価格の押し上げが期待できる。
業績面では、足もとの賃料上昇による増益要因に加えて、金利低下による増益要因が加わることにより、円
建てで新興国経済減速の影響を受けにくいJ-REITにさらなる好材料が現れたと考えています。
また、従来からの年間約900億円の日銀によるJ-REIT買入れ継続もあり、日本銀行の政策は今後もJ-REIT
市場のプラス要因として寄与していくと考えています。
1月29日時点では、J-REITの予想配当利回りは3.18%*、10年国債の利回りが0.10%に低下していることから、
国債との利回り差も3.09%と高水準になっています。マイナス金利により金融機関から余剰の資金がJ-REITに
流入する効果が期待できます。
*J-REITの予想配当利回り:東証REIT指数(出所:Bloomberg)
なお、足もと不動産価格は上昇基調となっていますが、マイナス金利の導入でさらに不動産価格を押し上げ
る効果が期待できます。不動産価格の上昇は、J-REITのNAV(Net Asset Value = 純資産価値)の上昇につな
がり、J-REIT価格の押し上げが期待できます。
2014年の追加金融緩和に加えて、今回のマイナス金利の導入による緩和効果は、累積的にプラスに働いて
いくと考えられるため、J-REITにとって息の長いプラス要因として寄与していくと考えています。
以上
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