道徳学習指導案

公開授業①
場所 4年1組教室
1.主題名
道徳学習指導案
道徳学習指導案
4年1組 吉松 智昭
4年1組 吉松 智昭
よりよい友だち関係とは 2-(3)
2.研究主題との関連
学びを創り続ける道徳の授業づくり
~学級活動と関連して、道徳的価値の内面化を図った単元構成~
(1) 主題について
本主題は、
「友達と互いに理解し、信頼し、助け合う。」という中学年2-(3)「友情」の価値をね
らうものである。友だちとは、家族以外で特に深い関わりをもつ存在であり、お互いに認め合い協力
したり、互いに考え方を交え影響し合ったりと、人生を豊かに生きる上での大切な存在である。学校
生活においても同様で、共に学んだり、遊んだり、何かをやり遂げたりと学校生活を充実するために
は不可欠な存在だといっても過言ではない。言い換えると、その友だちとの関係によって、学校生活
の在り方が大きく左右されることとなる。したがって、子どもたちには友だちとの関係をよりよく築
いていくことが必要とされる。それは、時間をかけて互いに思いを伝え合い、時には妥協点を見いだ
しながら、互いのよさを引き出し合うことで築かれていく。しかし、気の合う友だちとその場だけが
楽しければよいと考えたり、たいして相手のことを理解していないのに印象だけで判断したりと、浅
い友だち関係でよいのだという様子も見られる。そこで、改めて友だち関係について考えることは、
自分にとっての友だちという存在価値について考え直す機会となり、今後よりよく学校生活を過ごし
ていくための支えになるような友だち関係を築こうとする態度を養うことにつながる。
本学級では、4 月当初「みんなのことを考えてポジティブシンキング」という学級目標を立て、現
在もそれをめざして学校生活を送っている。この目標には、お互いに思いやりをもち、どんなことで
も仲良く協力し、助け合いながら学校生活を送っていきたいという子どもたちの思いやねがいが込め
られている。これまでに学級目標について見直す機会は多くあり、その内容に付け足すことはあって
も、基本的な思いやねがいは変わらなかった。つまり、子どもたち自身の中でも、充実した学校生活
を送るには友だちの存在は大切であることには気づいている。しかし、
目標にし続けるということは、
友だち関係を築いていくことは容易なことではないということも認識していることがわかる。確かに、
学級全体の雰囲気としては、みんなで仲良くしたい、友だちを大切にしたいという思いは強くあるも
のの、決まった集団ばかりで遊ぶ、自分の利害にこだわることで友だちとトラブルを引き起こすとい
ったことも少なくない。年度末のこの時期に、学級目標をふりかえる活動と関連し、道徳の時間で改
めて友だちとは何か、よりよい友だち関係とはどのような関係かということについて考えることで、
今年度だけでなく今後も互いに理解し、
信頼し、助け合える友だち関係を築いていけるようにしたい。
本資料「なんとなく」は、主人公みどりが幼稚園のころからの親友であったやよいをなんとなく疎
ましくなってくることから始まる。社会見学のグループ分けでは、自分を頼るやよいを無視してしま
う。やよいへの気持ちに同調するクラスメイトもあらわれ、孤立するやよいの姿を見て心が痛むが、
声をかける気になれないでいた。習字の時間になり、忘れ物をしてしまったみどりは、今まで注意し
てくれていたやよいを、実は自分も頼っていたことに気づいた。これからは「なんとなく」ではなく、
「しっかり分かり合える友だち」になりたいとみどりは思う内容である。このみどりが考えている「し
—
162 —
っかり分かり合える友だち」について考えることを通して、自分にとってのよりよい友だち関係につ
いても考えを深め、互いに理解し、よりよい友だち関係を築こうとする態度を養いたい。
(2) 道徳的価値の内面化を図る授業構成
① 重点内容項目を核に置いた教育課程編成
本時は「本校共有価値」の『人との関わりの中で思いやりの心を育み、相手の立場に立って行動す
る子ども。
』に関わる重点内容項目2-(3)にあたる授業である。信頼・友情の道徳的価値について内
面化を図るには、学校生活の中での友だちとの関わりが想起されやすい時期に授業を行うことが望ま
しい。
本時の授業予定時期は年度末にあたり、交友関係も広がる中で気の合う友だち同士で集まって、
その世界観の中だけで楽しもうとしたり、あまり関わりもしなかった友だちには、印象だけでその友
だちのことを判断したりするような実態が見えてくる時期である。さらに学級活動では学級目標につ
いてふりかえる時期でもある。残り1ヶ月間、学級目標を意識して友だちと関わったり、改めて自分
自身の友だち関係について考えたりすることは、次の学年での学級づくりへとつながることになり、
本校共有価値としても年間指導計画の中で位置づけるには最適の時期だと考える。
② 教育活動全体と関連を図った授業構成
上記のように、学級活動と関連づけて授業を組み立てることで学びの必然性を生むことができると
考える。授業構成というよりも、学級活動と道徳の時間の連結した単元として構成していく。学級活
動での取り組みは、自分たちで決めた学級目標に向かって自発的に行われる。その学級活動での話し
合い活動や友だちを理解しようとする活動をもとに授業を進めていくと、道徳の時間で友だち関係に
ついて考えていく必要性は違和感なく感じられる。よって、本時の道徳の時間における学びの必然性
は、学級活動と連結した単元構成によって生まれると考えられる。加えて、次の学級活動での取り組
みが控えていることや本学級で過ごす期間が残り1ヶ月間という見通しの中での学校生活を意識する
ことで、直近に控えている道徳的実践の場を意識することになる。
③ 学びを創り続ける姿を見取る
ワークシートでは、自分の思考の流れがふりかえられるような記述の仕方を工夫する。一人で考え
た後、ペアで考えた後、全体で考えた後、それぞれ色を変えて記入させる。黒鉛筆、赤鉛筆、青鉛筆
の順で記入することで、視覚的にも思考の流れが読み取りやすくする。本時のねらいとする道徳的価
値にせまる発問で、友だちの多様な考えに出合うことによる新たな道徳的価値のよさの発見や自己意
識の再構成によって、新たな価値創造へと繋がっているかワークシートから見取る。
終末では、本時での学びを明確化するために、自分の生活のふりかえりをワークシートに書くよう
にする。書く活動を取り入れることで、じっくりと自己へのふりかえりの時間を確保する。さらに、
導入で扱った学級活動での自分の考えに戻ることによって、直近の道徳的実践の場や今後の学びの場
を意識することができると考える。この道徳的実践の場を意識することで、具体的な道徳的実践への
見通しをもつことができ、道徳的実践意欲への高まりになると考える。
3.本時のねらい
みどりが考えているよりよい友だち関係について考えることを通して、よりよい学級をつくってい
くためにも、互いにしっかりと向き合い、理解し、よりよい友だち関係を築こうとする態度を養う。
—
163 —