201lHP022 長谷川 智啓 要旨 人 と人 とのサポー トのバ ラ ンスは,お 互いの精神的健康 を保 つ ために重要である。人 は , サポー トの人手 と提供 のバ ラ ンスが崩れ て い る場合 ,負 債感や負担感 を抱 き,ス トレス を 感 じる こ とが示 され て い る。 サ ポー トのバ ラ ンスの崩れ が長期的 に続 き,負 担感 あ るい は 負債感 を感 じ続 けた時 ,こ のス トレス に対 処 しきれず に,バ ー ンア ウ トが起 こる こ とが考 え られ る。 しか し,こ の サポ ー トの バ ラ ンス とバ ー ンア ウ トの 関係 につ いて 大学生 を対象 に した研 究 は少 な い。 本研 究では ,大 学 生 に とつて 最 も過度 で長期的 な ス トレス場 面 で ある就職活動期 にバ ー ンア ウ トが起 こ りやす い と仮 定 し,そ のバ ー ンア ウ ト生起要 因 の 1つ に,同 時期 に就職活 動 に取 り組 む友人 との サポ ー トのバ ラ ンスの崩れ を想 定 した。 本研 究 の 結果 ,同 性 の 友人 との サ ポー トのバ ラ ンスに 限定 した分析 で は ,サ ポ ー トの入 手 。提供量 が共 に少 な い タイ プは ,サ ポー トの入 手 ・ 提供 量が共 に多 い タイプ よ り,就 職活動 バ ー ンア ウ トを起 こ しや す い こ とが示 され た。 また ,サ ポー トの入 手 ・ 提供 量が共 に少 な い タイ プやサ ポー トの入 手量 が 多 く提供量 が少 な い タイ プは ,サ ポ ー トの入 手 。提供 量が共 に多 い タイ プ よ りも , 就職活動 バ ー ンア ウ トの 1つ の症状で ある達成感 の後退 を感 じやす い こ とが示 され た。 同 性 ・ 異性 の友人合 わせ たサ ポー トの バ ラ ンス を対象 と した 分析 では ,女 性 の場合 ,サ ポ ー トの入 手量 が少 な くサ ポー トの提供 量が多 い タイプは ,サ ポー トの入手・ 提供 量 が共 に多 い タイプ よ りも,就 職活動 バ ー ンア ウ トの 1つ の症状 であ る友人回避 を感 じや す い ,つ ま り,友 人 を避 けやす い こ とが示 され た。 これ らの結果 か ら,同 時期 に就職活動 に取 り組む 友人 との 間 か ら生 まれ たサ ポー トの バ ラ ンスは ,就 職 活動 バー ンア ウ トに影響 を及 ぼす こ とが示唆 され た。 本研 究 の結果 か ら,人 と人 との サポ ー トのバ ラ ンスは ,就 職活動期 にお いて 非常 に重要 で あ るこ とが示唆 され た。 同時期 に就職活動 に取 り組 む友人 とサ ポ ー トのや りと りをす る " 際 には,“ 自分だけが辛 い"と 自分 中心の考 えを とるので はな く,“ 皆辛 い 思 い を して い る と相手 を考 えたサ ポー トの や り取 りをす る必要 が あ る。相 手 の気持 ちを踏 まえたサ ポー ト のや りと りが増 えれ ば ,サ ポ ー トの バ ラ ンスの崩れ が小 さくな り,サ ポ ー トの入手 ・ 提供 量が共 に多 くな る と考 え られ る。 この こ とに よ つて ,就 職 活動 バ ー ンア ウ トを起 きに くく す る こ とができる と考 え られ る。 大 学 生 の コー ピン グ 柔 軟 性 と精 神 的 健 康 度 との 関連 ― 対 人 ス トレス イ ベ ン ト間 で の 検 討一 201lHP025 橋 山恵 美 問題 0目 的 「ス トレス 社 会 」 と言 われ る現 代 社 会 で の ス トレス 原 因 は , どの 年 代 ・ 性 別 で も共 通 し て い る も の が 人 間 関係 で あ る (高 橋 ・ 斎 藤 ,2013)。 これ は 交友 関係 が よ り広 が る大 学 生 に も重 要 な 問 題 で あ り,大 学 生 の 最 大 ス ト レス の うち 人 間 関係 の 占 め る割 合 は 全 体 の 23.8%に も及 ぶ こ と (原 口 。尾 関・ 津 田 ,1991)等 が 分 か って お り,大 学 生 の 対 人 関係 に お け る ス トレス ヘ の 対 処 方 法 を調 べ る こ とは意 義 が あ る。ま た 一 般 的 に ス トレス 対 処 行 動 , す な わ ち コー ピン グ は 状 況 に応 じて 柔 軟 に使 い 分 け る人 の 方 が健 康 状 態 は 良好 で あ る と さ れ るが ,従 来 の 研 究 で は ス トレス フル な対 人 場 面 を特 定 化 し,そ の 場 面 を複 数 設 定 す る こ とで コー ピン グの 柔 軟性 を検 証 した研 究 は な され て い な い 。 そ こで 本 研 究 で は大 学 生 の ス トレス フル な対 人 場 面 を 3場 面設 定 し,コ ー ピン グ柔 軟 性 と精神 的健 康 度 との 関連 に つ い て 検 討 す る こ とを 目的 と した 。 方法 調 査対象者 大 学 生 120名 (男 性 44名 ,女 性 76名 ,平 均 年 齢 20.4歳 ,"=1。 15)に 対 して 質 問紙 調 査 を行 つた 。 橋本 (1997)の 対 人 ス トレス イ ベ ン ト尺 度 を用 い て ,ス トレス 場 面 を 3つ 設 定 し た 。 また加 藤 (2000)の 大 学 生 用 対 人 ス トレス コー ピン グ尺 度 (ISI)を 使 用 した 。 この 質 問紙 尺度 は 33の 項 目か ら成 り, さ らに 3つ の ス 99の 項 目数 とな っ た 。 加 えて植 田 。吉森 トレス 場 面 へ の 回答 を求 めた た め ,合 わせ て 。有 倉 (1992)の ハ ッ ピネ ス 人 度 を使 用 した 。 これ は 14の 項 目で構 成 され ,作 成 した 質 問 紙 は合 計 113の 質 問項 目数 とな った 。 結 果・ 考 察 ISIの 因子 分 析 (主 成 分 分析 ,バ リマ ッ ク ス 回転 )を 行 つ た結 果 ,3場 面 の い ず れ にお い て も 「ポ ジテ ィ ブ 関係 コー ピン グ 」,「 ネ ガ テ ィ ブ 関係 コー ピン グ 」,「 解 決 先 送 リ コー ピ ン グ」 の 3つ の 下位 尺 度 が 見 出 され た 。 これ らの 得 点 を用 い て ,コ ー ピン グ タイ プ と コー ピン グの 柔 軟性 の 有 無 との 組 み 合 わせ で群 分 け を行 つた 。 コー ピ ン グ の 柔 軟 性 有 群 ,柔 軟 性 無 群 と精 神 的 健 康 得 点 を要 因 とす る 1要 因 分 散 分 析 を行 っ た結 果 ,柔 軟性 の 群 の 効 果 は 認 め られ な か つ た。 よ つて ,対 人 ス トレス イ ベ ン トにお け る コー ピン グ柔 軟 性 と精 神 的 健 康 度 との 関連 は 見 出 され な か つ た 。この 結 果 か ら,柔 軟 に コー ピン グ を変 化 させ る こ とが , 逆 に コー ピン グ者 当人 に疲 労 を感 じさせ るな ど,精 神 的健 康 を損 ね る可 能 性 が あ る こ とが コー ピ ン 示 唆 され た 。 ま た 3種 類 の 各 コー ピン グ と精 神 的健 康 に つ い て ,ポ ジテ ィ ブ 関係 グ と解 決 先 送 リ コー ピン グは精神 的健 康 度 が 高 く,ネ ガ テ ィ ブ 関係 コー ピン グは精 神 的 健 康 度 が 低 くな る こ とが 明 らか とな った 。
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